「観客が戦場に放り込まれる地獄映画」ダンケルク JJさんの映画レビュー(感想・評価)
観客が戦場に放り込まれる地獄映画
DUNKIRK 第二次世界大戦海辺の町ダンケルクに追い詰められた40万人の兵士が「陸」「海」「空」3方向からドイツ軍の総攻撃を受けながら脱出を図る大傑作アクション。観客は97分間地獄の戦場に放り込まれ攻撃から逃げ惑う1人の兵士となるのである。今作に心を休める時間など存在しない。
とにかく強烈なインパクトを受けた映画!3つの時間軸で3つの物語が同時進行する。時計の音とサントラを合わしたハンスジマーのスコアが印象的で、劇中一切緊張感を途切らすことの無い演出で観客の予想を遥かに上回る絶対に忘れられない体験が出来る。
セリフもドラマも主人公もいない。正しく戦争のリアル。計算通り圧倒的な没入感で体感型映画を実現させた。ある時は陸で逃げ惑う兵士、ある時は海で溺れる兵士、ある時は空で戦う兵士、観客は休む間も無く次から次へと登場人物の疑似体験を要求される。
本物の空中戦、船の沈没、陸での戦闘、などCGを使用しない実写の凄みを自分の目で体験してもらいたい。顔の映らない敵、セリフを排除した演出など数々の名作を参考にし、一貫性を持たせた今作はクリストファーノーランの集大成である。その為にも今作を是非ともIMAXの70mmで見てもらいたい。
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