「.」キングコング 髑髏島の巨神 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。若干32歳での監督長篇デビュー作で原題"Kong: Skull Island"。全篇CGIのオンパレードで、これが気になると楽しめない。クールなシーンが随所にあり、“コング”は立姿が絵になる事に気付かされるが、特に夕陽や月光、爆炎を背にした画は痺れる程秀逸。全体に丁寧に作られている割に説明的になり過ぎず、凝ったスタッフロールの後、次作以降を暗示させる仕掛け有り。これから観る人へのアドバイスは、画面は大きければ大きい程佳く、本作鑑賞は画面のサイズに娯楽度が比例すると心得るべし。80/100点。
・敢えて云えば、人物描写に物足りなさが残るが、“怪獣映画”としては文句無しの合格点。本作以降“コング”は、『パシフィック・リム('13)』の“イェーガー”やラストシーンでの画や咆哮で示唆されている"Godzilla"、"Mothra"等と共演する事が製作のレジェンダリー・ピクチャーズより発表されている。
・当初、S.L.ジャクソンが演じた“プレストン・パッカード”大佐はM.キートンが、J.C.ライリーの“ハンク・マーロウ”中尉はJ.K.シモンズがキャスティングされていたが、両者共、スケジュールの都合で適わなかった。
・監督によると、幼少期から日本のアニメやTVゲームが大好きで、その影響を少なからず受けたと云う。ヘリコプターから“コング”が攻撃されるシーンで、垣間見られるPOVによるショットはゲームのプレイ画面によるものだと監督はインタビューで答えている。
・登場するモンスターの中、“髑髏トカゲ”のデザインは『クローバーフィールド/HAKAISHA('08)』や『SUPER 8/スーパーエイト('11)』辺りを想起したが、監督は『千と千尋の神隠し('01)』、『新世紀エヴァンゲリオン('95~)』シリーズを意識したらしい。更に監督は『ポケットモンスター 赤・緑('96)』内のモンスター“カラカラ”からインスパイアを受けたと云う。そして『キング・コング('33)』に登場する山の斜面を登る二本脚のトカゲのオーマジュであるらしい。
・J.C.ライリーの“ハンク・マーロウ”中尉の着るジャケットに書かれた"Good for your health, bad for your education"は、『AKIRA('88)』の原作コミックス版で“金田”の着る赤いジャケットの"Good for health, bad for education"を真似たものである。
・“プレストン・パッカード”大佐が叫ぶ"bitch please"は、演じたS.L.ジャクソンの代表作『パルプ・フィクション('94)』で同じ科白がある“ジュールス・ウィンフィールド”へのオマージュである。
・監督はキャストを決める際、『グエムル -漢江の怪物-('06)』、『グッド・バッド・ウィアード('08)』、ドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録('91)』を参考にしたと云う。尚、監督は『地獄の黙示録('79)』に本作のテーマや視覚的なインスピレーションを多分に受けたと発言している。
・本作の“コング”は104フィートと設定されており、北米でこれ迄に製作された内、一番大きい。これは観客に神々しい存在と感じて欲しかった為と監督は答えている。尚、映画に登場した最大の“コング”は『キングコング対ゴジラ('62)』の147フィートである。
・鑑賞日:2017年5月31日(水)