「アメリカ映画は結局「家族が一番」」ジオストーム 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ映画は結局「家族が一番」
アメリカという国では家族が一番という世界観がマジョリティを占める。トム・クランシーやロバート・ラドラムといった世界中を飛び回る主人公の小説においても、一番大切なのは自分の家族だというフレーズが見られる。
この映画も例外ではなく、人類に降りかかる大きな災難も家族の安全無事に収束させてしまっている。人間が気象を恣意的にコントロールできる時代は本当に来るのか、それはいいことなのか悪いことなのか、そういった反省は一切ない。主人公とその味方および友人たちさえ無事で幸福ならそれでハッピーエンドなのだ。
そういうアメリカの価値観には違和感を覚えざるを得ないが、こういうCGを駆使した3DのSF作品は、世界観は横に置いて、映像と音を楽しむものだ。その意味では本作品は結構な迫力の映像と音響で、とてもよくできている。宇宙には行ったことがないし行くこともないが、宇宙空間ではさもありなんという介在的な体験ができる。女性のシークレットサービスがなんとも格好がよく、いかにもアメリカ人好みのヒロインだ。
鑑賞後に残るものは何もないが、映像と音の迫力を楽しんだということで一定の評価には値すると思う。
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