「良くできている」ザ・コンサルタント はりおさんの映画レビュー(感想・評価)
良くできている
もしこういうベタベタな展開が来たら興醒めするなーという展開にはならないところが特によかった。
恋愛にうつつを抜かして仕事をとちったりとかしないし。
ヒロインのデイナが可愛かった。
アーティストになりたかっただけはあって部屋の中がとってもおしゃれ。
緑の胸の開いたワンピースが似合っていた。
発達障害の描き方もよくできていた。特に主人公が口許だけを動かして話すところは見事。視線もうまく下に流れていた。
言葉のあやを真に受けてしまったときは「冗談だ」等といってトラブルをかわす「生きる力」を身に付けているというのもあるあるネタなので私自身にやっとした。
ただ、気になるところとしては、ルイス・キャロルのシーンで、アスペルガー症候群に「自閉症」の字幕をあてたところ。字幕で細かい説明をするスペースがないのはわかるが、アスペルガーは自閉症の一種であって自閉症そのものではないのだから、もしも自閉症に関連があることを字幕で表現するなら「自閉症スペクトラム」とするべきだったのではなかろうか。
というかアスペルガーって最近はまあまあ認知された言葉だしそのまま使ってもよかったと思うけど…。
これは個人的な感想だが、発達障害の人々が映画を出す場合、こだわりの強さを表現するために神経質なまでに物の場所が決まった部屋に住まわせたがるがたまにはごちゃごちゃの部屋を出したっていいんじゃないかしらとおもった。
この映画に関しては神経質な部屋の方が似合っていたけど。
うるさい音が苦手なのになぜロックを?と思うかもしれないが、規則性がある音の刺激を楽しむ発達障害者は意外に多い。ビニール袋のカシャカシャした音は我慢ならないがノイズミュージックには陶酔してしまうとか。
ところでタイトルはaccountantなのになぜコンサルタントにしたのだろう。
コンサル業もしてはいるが基本は会計士業だったし、コンサルタントの単語は出てくるもののわざわざタイトルにするほどでもなかったのに。
会計士という訳の上に「コンサルタント」のルビを振ってあったのはもう何がなんだか…。
変なビジネス英語は広まるくせに基本的な会計士という言葉が一般的にならないのはこういうところも関係してるんじゃないかなーと思ったシーンだった。