「【”僕がずっと傍にいるから、君は可能性を追求するべきだ。”と彼は笑顔で言って、去った・・。安楽死、もしくは安楽死幇助という重いテーマを軸にしつつ、最後まで明るいトーンで男女の恋を描いた作品。】」世界一キライなあなたに NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”僕がずっと傍にいるから、君は可能性を追求するべきだ。”と彼は笑顔で言って、去った・・。安楽死、もしくは安楽死幇助という重いテーマを軸にしつつ、最後まで明るいトーンで男女の恋を描いた作品。】
ー 安楽死、もしくは安楽死幇助の問題はフランソワ・オゾンの「すべてうまくいきますように」でも描かれた様に重くて、解の無いテーマである。
だが、今作は重くなりがちなテーマを描きつつ、富豪だが事故により脊髄を損傷し下半身不随になり、死んだように生きる男、ウィル(サム・クラフリン)が、彼の世話の募集に来た天真爛漫で笑顔を絶やさないルー(エミリア・クラーク:今作の演技は名演であろう。)に惹かれて”自身で決めた残された時”を笑顔で姿に変化する様を描いている。
ウィル及び彼の両親の選択は、人によっては疑問符を持つだろうが、私はウィルの遺志を尊重したい。-
◆感想
・最初は不愛想で、家に閉じこもり気味だったウィルが笑顔を絶やさないルーに触発され、髭を剃って貰い自らの意思で外界に出て行く姿と、彼を楽しませるために、懸命に努力するルーの姿は沁みる。
そして、ウィルは取り戻した笑顔を浮かべつつ、”君は僕の元気の源””君は自身の可能性をもっと追求するべきだ”と家族の為に働くルーに語りかけるのである。
・介護人のネイサンと出かけた音楽界や競馬のシーン。二人で出かけたウィルが一番好きだという城のシーンも、アクセントを与えていて良い。
■少しだけ、気になった点
・ルーの恋人、パトリックはちょっと可哀想だったな・・。男として・・。
<ウィルは両親と共にスイスの自殺幇助機関ディグニダスへ行く。
ルーも煩悶しながら付いて行く。
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そしてラストシーン。
ウィルが遺した手紙を、彼が好きだった陽光が降り注ぐ巴里のカフェの路上の机で読むルー。
そこに書かれていた言葉は、ウィルが”君は自身の可能性をもっと追求するべきだ”と言っていたルーを想って”君が怒るから言わなかったけれど、君が自分の道を歩くためのささやかな支援をした。”というモノだった。
今作は、色々と考えさせられるし、哀しいが、素敵なラヴ・ストーリーであると思った作品である。>