ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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紛れもなく、イーストウッド作品!
良くも悪くもイーストウッド作品!
この捻くれた感じの優しさ、大好きです!
物語の起伏を付けるわけでもなく、感動させようとする訳でもなく、たんたんと進む展開、音楽も控えめ(しかし、独特な世界観)、なのに目が離せず、最後には心にくっきり残る。
また、ドキュメンタリーの一つの在り方としての側面も持ち合わせているのではないでしょうか。
こんな映画を作れるのはイーストウッドだけではないでしょうか?
いつまでもこの人の作品を見続けていきたい、と思える数少ない監督の一人です。
だからこそ、この邦題は許せません。
製作サイドの意図をまるで無視した興行オンリーの邦題の付け方、こんなんだから邦画の配給は腐っているんですな。
しかしながら、イーストウッド監督作品を観ると、ダーティ・ハリーのハリー・キャラハンのキャラはある意味この人の等身大だったのかもしれない、といつも思うのは私だけでしょうか?
最後の副機長の言葉に。
プロフェッショナルだな。
208 seconds
記憶に新しいニュースを描いた作品。
乗員乗客全員無事でも、乗客を無闇な危険に晒したのではないかと、公聴会が開かれることに。
長年培ってきた人間の「経験」、そこから生まれる勘や決断は、方程式で計算できるものではないため、最近は軽視される傾向にすらあると思います。データ、エビデンスを基にしたあらゆる角度からの検証や考察は必要ですが、前例のない状況において、算出できることだけが正解ではないことを教えてくれた事象でした。
どんなに英断でも、着水を可能にする人間の「技術」がなければ、不可能だったのですから。
これからの時代、乗り物はどんどん人工知能による運転に取って代わられるでしょう。しかし不測の事態に、ベテラン運転手を超える判断が出来るようになるのでしょうか。
この作品ほど離陸時に緊張したことはなかったです。数えきれないほど乗っている飛行機ですが、空の旅の安全は当たり前ではないのだと、改めて思いました。
単なる時系列ではない回想録の見せ方は流石です。
全乗客の安否確認が終わるまで安心出来なかった機長の想いに感動しました。
実話モノは何かと退屈になりがちですが、短時間にまとめた無駄のない良作でした。
"A delay is better than a disaster."
英雄が、英雄であるために
眉間の皺
今の所、私にとって今年のベストムービー。非の打ち所がない良作。
トムハンクスは私の大好きな俳優の一人。そしてイーストウッドは監督としても俳優としても超一流。実力のある俳優や監督というものは決してセリフに頼ったりしない。つい最近の、説明じみたセリフに頼るあまり早口なセリフを詰め込んだ邦画(ヒット作)とはまるで違う。眉間にしわを寄せて「onehundred fifty-five」と2回呟くだけで胸にグッとくるシーンになる。
ところでイーストウッド監督はエンドロールが流れている間の、いわゆる作品の余韻というものを大切にしているように思う。観客が様々な感想を巡らせる、その空間を心地よく相応しい音楽が満たす。今作品のそれは特に心地よかったように思う。アカデミー賞最優秀エンドロール賞とかあったら、きっといい線いくと思う。
ずっと楽しみにしていた作品
ぐっとくる!感動の実話!
機長は何を守ったのか
俗物の自分としては、本当にこんな人がいたのか?と思ってしまう。主役のTom Hanksが演じるのは聖人のような機長だ。
ハドソン川の奇跡の実話は有名な話なので記憶にある人も多いだろう。凡百の映画監督がこの実話を映画化しようとすれば、まず乗客たちそれぞれの事情をオムニバス的に描き、それぞれの人生が乗っていることで飛行機を襲った危機を重大なものに感じさせる手法を使うだろう。そして無事に着水し、全員が無事でメデタシメデタシで終わるところだ。
しかしさすがにClint Eastwood監督である。凡人には決して思いつかない切り口で事故の本質に迫る。
機長には、42年間飛行機に乗ってきて随分と危ないこともあったが、常に無事に帰還できたという自負がある。だから着水が間違った選択だったという安全委員会の指摘は非常に心外である筈だ。しかし彼は決して怒ったり声を荒げたりすることはない。自分は仕事として正しい判断をしたのだし、委員たちは仕事として真実を追及しようとしているのだ。
機長が守りたかったのは自分のことではない。事故が起きたときはまず乗客乗員の生命を守ることに専念した。そして安全委員会の追及を受けたときは、家族の未来と同僚の名誉を守るために自分の判断の正しさを証明しようとした。いずれも無償の利他的な行為である。機長は筋金入りのヒューマニストなのだ。
Eastwood監督が描きたかったのは、このヒューマニズムだと思う。格差社会でギスギスしてしまったアメリカにも、こういう覚悟を決めたヒューマニストがいるのだということ。そして機長の言葉通り、救出に関わった誰もがヒューマニストであり、誰もがハドソン川の奇跡の主人公なのだということだ。いまのアメリカはナショナリストに席巻されてしまったが、少しでも良心が残っている人は、この映画を観て自分を恥ずかしく思うに違いない。
Tom Hanksのきっぱりとした英語の口調も作品を格調の高いものに押し上げている。監督、主演ともに見事な「仕事」である。
感動
押し寄せる深い感動と、人命を救った英雄の苦悩。
【賛否両論チェック】
賛:瞬時の決断で多くの人命を救った機長の毅然さと、命を助けるために奔走した人々の心の温かさに、思わず泣けてしまう。同時に、事故後の一連の疑惑の様子も詳細に描かれ、苦悩する主人公の姿にも、改めて考えさせられる。
否:ストーリーのメインは「事故の後の人間ドラマ」なので、奇跡の生還劇自体のドラマとしてみると、やや物足りない感は残るかも。
乗客乗員の生命を背負い、瞬時の判断を迫られる中で、究極の決断を敢行、見事に成功させた機長の技術・精神力に、まずは頭が下がります。そしてそんな状況下にあって、多くの人々が協力し合ったからこそ、極めて困難な救出劇が生まれたことに、思わず涙腺が緩くなってしまいます。病院へと向かった機長が、
「生存者・・・155名。」
という報告を聞き、安堵する瞬間なんかが、観ていて感動的です。
同時に、多くの人命を救ったはずの機長が、
「その判断で、逆に乗客乗員を危険にさらしたのでは・・・?」
という疑惑をかけられ、自身でもその疑念に苛まれていってしまう姿に、なんともやりきれない想いも感じます。それでもラストのシーンは、機長の毅然とした姿勢にある種の痛快感もあって、非常にステキです。
極限状態の中で、人々の持つ心の温かさに触れることの出来るような、そんな作品に仕上がっています。
酔わせて頂きました。
さすがイーストウッド
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