「アウトサイダー的視点、ここでも健在」ハドソン川の奇跡 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
アウトサイダー的視点、ここでも健在
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前作に続いて英雄と呼ばれた男の心理面を映像に刻んだイーストウッド。96分という上映時間は彼の監督作として最短である。とはいえ、終わりなき地獄を描いた前作とは全く違ったやり方で、今回は一瞬の閃光をあまりに鮮やかな手腕で捉えてみせる。そこには英雄礼賛を持ち出すのではなく、イーストウッドならではのアウトサイダーとしての視点が絶妙な具合に浮かび上がってくる。
“サリー”が闘う相手は調査委員会ではない。最終的に対峙すべきは自分自身であること、自分の中にこそ答えがあることを彼は十分に知っている。映画のかなりの部分を割いて繰り返される飛行シーンで、彼は自分が間違っていなかったか、他に何か方法はなかったのか寝ても覚めても検証し続ける。決して自己弁護に陥らず、自らに対してもアウトサイダー的視点で引き金を引き、答えを求めようとするその姿にこそ、イーストウッド作品の主役に通底する戦い方、孤高の生き方がある。
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