「ケレン味たっぷり映像の」ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
ケレン味たっぷり映像の
ティム・バートン監督らしさ全開のダークファンタジー。
フロリダに住むティーンエイジャーのジェイクは、折り合いの悪い両親よりも祖父のエイプを慕っている。エイプはジェイクが少年の頃から、自身が体験したという冒険の話をジェイクに語って聞かせていた。
ある日、エイプが何者かに襲われる。死の間際にジェイクに”島に行け、鳥が全てを教えてくれる”と言い残して息絶える。すると、物陰から突然化け物が現れるがすぐに姿を消してしまう。
祖父の言葉通りにジェイクは祖父が残した手紙を手掛かりに、父とともにケインホルム島に向かう。エイプの昔話に何度も出てきたミス・ペレグリンと不思議な子供たちが暮らしたという館にジェイクは向かうが、そこは1943年の9月3日にドイツ軍に爆撃されて、今は廃墟となっていた。
途方に暮れるジェイクの前に数人の子供が現れ、ジェイクを洞窟の中に誘う。
その洞窟の先には、空襲で破壊されて廃墟になったはずの館があり、ミス・ペレグリンが館の入り口に佇んでいた。
そこから館の中での不思議な子供たちとの話になっていくんだけど、ホラ話か作り話かと思ったら、その不思議なお話は現実でした的な寓話は定番と言えば定番。でも、そこに出てくるそれぞれの子供たちの個性がちょっと一風変わっているからオリジナリティを感じるのかも。蜂の子とか怪力ちゃんとかね。
クライマックスで、その不思議な能力を全面に使って戦うというわけでもないところが歯痒いけど子供だからそんなもんかも、と思うし、この映画の主題はそこじゃないんだなーとは思った。
じゃなきゃ、ある子の能力が無双すぎちゃって全部一瞬で敵が全滅しそう。
ちょっとループの理論とかインブリンの定義とか、原作を読まないと理解できなさそうな設定もあるけど、まああんまり難しく追いかけなくても物語自体は十分楽しめる。
そこはティム・バートンらしいちょっとダークな色合いのファンタジー映像で十分補完してくれると思う。
主人公は縞のパジャマの少年で主役ブルーノ君を演じたエイサ・バターフィールド、物語のカギになるミス・ペレグリンを演じるのはエヴァ・グリーン。エヴァ・グリーンの目力の強さがミス・ペレグリンのキャラにピッタリマッチしていて美しい。ティム・バートンの好きな勝気そうな女性。
こういう作品はあんまり難しく考えずに映像の中にどっぷり没入するのが一番。少し設定に説明不足なところがある分-0.5だけど、限りなく星5個に近い上質エンタメ作品。