劇場公開日 2017年7月15日

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「変身のタイミングはこれでいいのだ!」パワーレンジャー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0変身のタイミングはこれでいいのだ!

2017年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

不感症のオトナ向け、ハリウッド版"スーパー戦隊"映画である。"子供っぽい特撮ヒーロー"という偏見は、齢(よわい)を重ねた本人の"想像力の欠如"にほかならない。何百本も映画を観て、ちょっとやそっとじゃ感動しなくなった観客には、ナイーブなセンスのかけらもないので仕方ない。

そもそも"いつかは自分もヒーローになれる"という目線で観られるかが、スーパー戦隊モノの正しい見方である。スレた大人には無理なわけ。でも、昔は子供だったでしょ。"もっと空想しろ!"である(笑)。

オリジナルは、東映の「秘密戦隊ゴレンジャー」(1975)にさかのぼる。またマーベルからローカライズ権を得て作った、東映版「スパイダーマン」(1978)に登場する"レオパルドン"が、ヒーローが操縦する巨大ロボットの元祖である。つまり最初の巨大ロボットを操ったヒーローは、日本版のスパイダーマンにほかならない。それらが融合した「バトルフィーバーJ」(1979)が、東映×マーベルの化学反応だった。以来、現在放送中の「宇宙戦隊キュウレンジャー」(2017)まで、41作品が延々と続いている。

すでにいろいろ言われているが、本作の変身までが長いとか言っている人は、戦隊モノの本質が分かっていない。"変身"+"巨大ロボット"は、必殺技である。出てきたらオワリ。水戸黄門の印籠のごとく正義は勝つ。だから特別な回を除いて、前半で出てきたらイケナイのである。

また最初からガチャガチャとロボットが暴れると、「トランスフォーマー」(2007~2017)のように目がチカチカする映画になってしまう(笑)。それはそれで好きだが…。

変身のきっかけとなる超能力メダルを見つけるところは、「クロニクル」(原題:Chronicle/2013)っぽい。学校に行って自分たちの人並外れた能力の覚醒にびっくりする。すぐにマスコットの機械生命体、"アルファ5"が登場して、スーパー戦隊ものに引き戻されるが、"アルファ5"の声優が、「SW フォースの覚醒」で、BB-8を演じたビル・ヘイダーだとはね。

というわけで、超能力の源泉は外的要因ではあるものの、5人の落ちこぼれティーンエイジャーたち個々の悩みや夢、憧れの側面を掘り下げながら、友情を築いていく中で、ヒーローが誕生するわけだ。このあたりはマーベルやDCで流行りの、"悩めるヒーロー像"のラインを踏襲している。

VFXもお金をかければ、ここまでできる。十分にして、このへんでいいだろう。これ以上の凝り方は、空想の範疇を超えてしまう。観終わって、"僕はブルーがいい"とか、"私はイエロー!"とかいえるくらいが丁度いいのだ。

5人のヒーローが揃って戦うという由来は、歌舞伎の演目"青砥稿花紅彩画"、通称、"白浪五人男"にあるといわれている。弁天小僧をはじめとする5人の大盗賊が出てきて見栄を切る。"5人そろってゴレンジャー!"という決めゼリフと決めポーズ、そして5色のスーツは見事にかぶ(歌舞)いているわけだ。

この歌舞伎編成は、Smapなどのジャニーズグループにも伝承されている。自虐パロディ的に関ジャニ∞が「エイトレンジャー」(2012/2014)をやっているが・・・。

クライマックスでは主題歌の「Go Go Power Rangers」も流れる! やはりヒーローものの主題歌は、名前の連呼がいい!!

まず以って、"日本語字幕版"で観るか、"吹替版"で観るか、であるが、一回しか見ないのであれば、せっかくのハリウッド版なので"字幕"でいかがだろうか。自分は子供と吹替版も観にいこうと思う。

(2017/7/16/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:アンゼたかし)

Naguy
2017年7月16日

面白いレビューで楽しめました

巫女雷男