「ただただカッコいい。それがアクション映画」ジョン・ウィック チャプター2 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ただただカッコいい。それがアクション映画
"ガンフー(ガンアクションとカンフーの融合)"以外、余計な要素を一切そぎ落とした、いさぎよさが光る、純アクション映画である。
引退を宣言した伝説の殺し屋、"ジョン・ウィック"が、"引退したんんだ"、"引退させねー"をバっカみたいに繰り返すだけなのだが、2時間にわたって、"ガンフー"の華やかさに魅せられる。アクション演出は、前作同様、87 eleven action designが担当している。敵と闘いながら、次の弾倉を入れ替える、流れるようなガンパフォーマンスが理にかなっていて美しい。
前作「ジョン・ウィック」(2015)のエンディングから、そのまま繋がっている。まさに"Chapter 2"(第2章)の始まりである。Chapterを切らなければ、ひとつながりの映画ともいえる。
前作は、愛犬と愛車を奪われたただけで、殺人マシーンと化して、立て続けに76人も殺しまくるだけ。冷静に考えると変な話である。今回も"血の契約"に縛られて、世界中の殺し屋から狙われるわけだが、すでに何人殺すのかが話題になっている。
近年、"純アクション"映画というのは少ない。"アクション"とはたいてい"スタント"の類義語で、映画としては何らかのストーリーが必要だから、ラブストーリーなり、復讐劇なり、SFやファンタジー要素とセットで作品になる。主たる要素がアクションより上回った瞬間、それはジャンル映画としては、別物になる。
本作は"アクション映画"以外の何物でもない。そもそも登場人物たちが、何のために闘っているのかはわからない。"組織"とは何なのか、殺し屋専用ホテルの"ザ・コンチネンタル"も見事なまでに謎だらけだ。でも、それすらどうでもいい。
"カッコいい"。確かに子供のころ観た、アクションスターの名作の想い出は、皆そんなものだ。ブルース・リーの「燃えよドラゴン」(1973)の"鏡の間"をオマージュしたシーンがあるのも、興味深い。
原作があるわけでもなく、キアヌ・リーブスが描きたいのは、ただただカッコいいことなのだろう。そして(俳優を)、"引退している"ようで、"引退していない"のはキアヌ・リーブスそのものなのかもしれない。
(2017/7/7 /TOHOシネマズ日本橋/シネスコ/字幕:松崎広幸)