「無理やりオシャレな邦題にしなくても良いのよ?」雨の日は会えない、晴れた日は君を想う たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
無理やりオシャレな邦題にしなくても良いのよ?
交通事故により妻を亡くしたことがきっかけで、破壊衝動に駆られるようになった証券会社の社員ディヴィスが、身の回りのものを破壊していくことで心の傷を癒そうとする様子を描いた人間ドラマ。
主人公デイヴィスを演じたのは『デイ・アフター・トゥモロー』『ナイトクローラー』のジェイク・ジレンホール。
デイヴィスと心を通わせる女性カレンを演じたのは『バードマン』『ヴィンセントが教えてくれたこと』のナオミ・ワッツ。
何やらオシャレな邦題がついているが、原題は『Demolition』=破壊。
何の前情報もいれていなかったので、てっきり狂気に駆られた主人公が破壊の限りを尽くすサスペンス映画かと思っていました。
実際、映画の前半では妻を亡くしたことで正気ではなくなった男デイヴィスの奇行が描かれます。
ジェイク・ジレンホールの目つきが最高でしたね。どう見てもイっちゃってる人っていう感じが良く表現されていました。
デイヴィスは家の冷蔵庫をぶっ壊し、通勤電車を緊急停止させ、会社のパソコンやドアをぶっ壊す。
当然周囲は妻を失ったショックで精神のバランスを崩してしまったのだ、と思い込むわけですが、実は問題の根本はもっと深いところにあるということがわかってくる。
彼は周囲の物質や人間関係をぶっ壊すことで問題の根本を探ろうとする。
デイヴィスと同じように問題を抱えているカレンや彼女の息子クリスと交流を深めていくうちに、物語もだんだんと文学的な深さを見せていくようになる。
こういう「愛とは何か」「生きるとはどういうことか」を問いかけるような文学的な作品、個人的に大好き。
ゆったりとした物語進行に加え、BGMの殆どはヘッドホンやカーステレオ等で実際にデイヴィスが聴いている音楽という演出が成されており、デイヴィスがヘッドホンを取るとBGMも止まる。
BGMが流れるシーンは限られているため、全体的にかなり静かな作品。
そのため、100分くらいの上映時間だが、実際にはそれよりも長く感じる。中盤ではちょっと退屈だと感じるところも正直ある。
とはいえ、物語がどのような決着をつけるのか予測できない作品だったので興味の持続力は強く、妻の秘密が明らかになってからエンディングまでは目が離せなかった。
デイヴィスとカレンの距離が近づくまでの展開は、オシャレではあるのだがちょっと無理があるかも、と思ったりもした。
深夜に突然電話してきたり、駐車場にいるのに姿は見えなかったりと、初めの方は「あ、これカレンは実はデイヴィスの作り出した妄想の女性なんだな😏」と思って見てたのは自分だけではないはず。
クリスがボコボコにされるというラストの展開も、脈絡がなくて飲み込みづらい。
デイヴィスが病院で目覚め、親密な存在は…という展開を終わりにも持ってくるという円環構造にしたいというのはわかるがちょっと無理やりだったかな?
いや、しかしクリスを演じたジュダ・ルイス、むっちゃ美少年だったなぁ。
ビジュアルの美しさや物語の静謐さを重視するあまり、映画全体が平坦になってしまっているのは事実。
もっとアクションやサスペンス要素を詰め込んだスリリングな映画にすることも出来た題材だと思うが、結果としてはこの低温な感じで良かったと思う。
デイヴィスほど極端ではないにしろ、誰しも今ある全てを破壊して新たな自己を形成したいと思う時があるのではないか。
そういう感情を少しでも抱いている人には、この映画はオススメ!
夫婦で観るのは…ちょっと気まずいかもね💦
映画の内容とは直接関係ないが、本作の邦題が相応しいかどうかというのは考えるべき問題かも。
個人的に原題を直訳するのではなく、独自の解釈から邦題をつけるという文化は結構好き。
『The Shawshank Redemption』=『ショーシャンクの空に』
『Sister Act』=『天使にラブ・ソングを…』
『The Mummy』=『ハムナプトラ』etc…
とはいえ、「おいおい、そりゃねーだろ…😓」という邦題も勿論ある。
『Guardians of the Galaxy Vol.2』=『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
『Whiplash』=『セッション』
『The Bucket List』=『最高の人生の見つけ方』etc…
本作の邦題は、作中でデイヴィスが見つける妻のメモに書かれた内容が元になっている。
「If it’s rainy, You won’t see me, If it’s sunny, You’ll Think of me」
このように書かれたメモがデイヴィスの車のサンバイザーに貼ってある。
デイヴィスはこのメモのことにずっと気づかなかったのだが、ある出来事の後でこのメモを発見し、涙することになる。
このメモ、作中の描かれ方がものすごくさりげないので、初見の時は「ん、このメモなんでこんなところに丸まって捨てられてたの?」と思ってしまいました…💦
さらに初見時、このメモの意味がよくわからなかった。
というのも、ここの日本語字幕の訳が最悪だった。
「雨の日は会えない
晴れの日は思い出す」
と字幕が出るのだが、これ妻が茶目っ気でデイヴィスのサンバイザーに貼り付けたものなんだから、こんな堅苦しい訳じゃダメでしょう👎素人でもわかるよ。
「もし今日が雨なら、あなたは私を見てくれない…(>_<)
もし今日が晴れなら、私のことを想ってね(๑>◡<๑)」
くらいの軽い感じで訳してくれないと、このメモの意味がわからん。
タイトルをカッコ良くする為にこのメモの訳をキザったらしくしたんだろうけど、その為に作品の意に沿わない訳をするのはどうかと思う。
よって、本作の邦訳はダメ〜🙅♂️
いつもありがとうございます。
この作品は初めてギレンホールを知りました。ギレンホールの魅力がたっぷりです。
たなかなかなかさんはとても詳しく書かれているのでとても参考になります。
ホント!
レビューの、「フォロー」「フォロアー」さんのレビューを捜索するのは至難の業です。
特にレビューの膨大な人気作品や、レビュー投稿の多いレビューアーさんだと「あの人はどんな感想かな?」と探し始めてもくじけて断念。
事務局にはバナーを設定して下さいと2回提案してあります。
「検討致します」との回答メールはだいぶん前にありました。
たなかなかなかさんからも是非事務局をつついて下さいね
😁✌️
私は元々、このサイトを映画鑑賞のデータ集積として使っていました。
人様にレビューを公開し始めたのは、昨年の5月からです。
”データベースとしての機能は優れていますが・・”
仰るよう通りだと思います。が、今でもこのサイトにレビューアップしているのは、名も知らぬ素晴らしきレビュアーの方々の存在です。
ミリタリー関係にとても詳しい方からイロイロ教えていただいたり、朝から笑えるレビューを読ませていただく猫好きのレビュアーの方や、”お守りの方”や”鼻の長い人”からは優しき言葉を頂いたり、このサイトには知的レベルが高く、心優しきレビュアーの方が多いと思います。
私はSNSが余り好きではないのですが(当然、インスタグラムとか、Facebookは登録していますが、使いません。矛盾してますが・・)このサイトは私にとって、この一年で貴重な場となりました。
では、又。
たなかなかなか様
寛容なコメント、ありがとうございます。
叱られるかと思いましたので・・。
では、又。
これからも、宜しくお願いいたします。(政治家みたい・・)
こんばんは、共感のポチありがとうございました!
BGM の使い方の件、気づきませんでした。
「メモ」の訳は最悪でしたね。もしかしたらアメリカ人には当たり前のフレーズなのかも。でも日本の上映字幕であれではバツです。
最後の最後に妻の生き様が、尺も短くサラリと、そしてずっしりと明かされましたね。
観客としての僕は「あッ!」と声もなく悲鳴を上げましたがアホなデイヴィスには「メモ」や「メリーゴーランド」は通じたのだろうか。
デイヴィスはちゃんと「どんでん返し」を感じてくれたんだろうか。
噛み合わない、交わらない、結局家庭内別居の夫婦で終わっていたのなら悲しいなと、乖離されたままのアホなデイヴィス夫妻を見ながら思いましたよ。
トホホ。
ではまた、きりん
今晩は。
”雨の日は会えない、晴れた日は君を想う”
いつも、有難うございます。
映画は当たり前ですが、観る人によって感想は変わりますし(近作のTENETの感想の違い・・)、レビューを拝読しましたが、感想は私とほぼ同じでした。
只、私は今作の邦題は主人公の身勝手な妻への想いを見事に、且つアイロニックに表現した秀逸な邦題だと思いましたので・・。
お気に障ったら申し訳ないですが。
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ここからは、独り言です。このコメントは直ぐに消されるので、敢えてここで書きます。
この映画レビューサイトの共感システムに最近、違和感を覚える事が多く。
卑近な例で言えば、金曜日にレビューを挙げた方に対して、あっという間に30件以上の共感がされるという事実。
先日、私のレビューに不思議な事が起こりました。あるレビュアーの方の名前を微妙に変えて私のレビューに、一気に30件以上の共感がありました。そこには、”これで公正なシステムになるでしょう・・”と言うメッセージがありました。
この映画サイトの運営の方々には真剣に対応方法を考えて頂きたいのです。
では、又。
勿論返信不要です。