ミモザの島に消えた母のレビュー・感想・評価
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真実と向き合わない父
淡々とした映画。メラニーロランがきれい。
原題はブーメラン。これは祖母のことだろうか。それとも真実と向き合ってこなかった父のことだろうか。
父に全く感情移入出来ない。自分の母が妻を追い詰めて殺したとして、そのままそれを隠し続けるだろうか。真相を知りたがる息子を怒鳴ってまで。
最後に誇りに思うと言われてもと思う。
ただ一番気の毒だったのは管理人夫妻かもしれない。
僕みたいな爺が見る映画じゃなかったね♥
3日くらい前に見たけど、内容は忘れました。共感させて頂いた方には申し訳なく思っています。
兎に角、見てはいますので、この文書だけでも残します。
NGワードの影響で、愛の無いAI選別なのか?
今回は別かな。みんな僕が悪いと思っています。
今度こそ言葉を選んで、愛の無いAIさんにも気を付けてレビューさせていただきます。
不快にさせた方々には大変に誠に申し訳なく思っています。
一族の恥
同性愛に対する偏見は現代でもまだまだありますが、昔はもっと酷かったですよね。女性同士なら尚更のこと。姑が一族の恥と言ってましたが、個人よりも家の方が大事な時代ならではですね。結婚制度に苦しんだ先人達に結婚制度は早かれ遅かれなくなりそうと伝えたいです。歓喜するのは女性の方が多そう。
満潮になると海に埋もれてしまう道ゴア通路。そこを水面ギリギリに車を走らせるシーンが印象に残った。
2人の娘を持つアントワーヌ(ラフィット)だったが、長女がレズビアンであることがわかり、いささかショックを受ける。母の死に疑念を抱き、父とは喋らなくなってしまったことで、セラピーにも通っている。母が溺死した前日に自分はどこにいたのか、記憶がなくなっていたのだ。悩みながらも探ろうと何度も島に向かうアントワーヌだったが、建設現場の現場監督という仕事も身が入らず、ついには解雇されてしまう。
自殺だったのか、事故だったのかさえわからず、死の疑惑を当時使用人だったベルナデットにぶつけてみるも要領を得ない。やがて、母の遺品である時計を手に入れたアントワーヌは裏に刻まれたジャン・ウィズマンという名前を知り、父にぶつけたおかげで大喧嘩。祖母の葬式にさえ呼ばれなかったのだ。
祖母が死んだことにより、ベルナデットの夫婦から当時の事情を聞くことができた。母クラリスはジーン・ウィズマンという女性と恋に落ちていたのだが、娘がレズビアンだということと重なり、重厚さを増していた。そして嫁姑の確執もあったおかげで、満潮になると水没する道路を渡って島にいるジーンに会いに行こうとした事実を知らされた。
冒頭ではアントワーヌと妹アガット(ロラン)の車が事故に遭うシーンがあるのだが、終わってみると、それがかすんで見えてしまうほど・・・
全てをオシャレにするフランス映画の凄さ
幼少期に母が死んだ。
父も祖母(父方の)もその件に関して語ろうとしない。
兄は真実が知りたい。妹は「考え過ぎ。いい加減にして。」と怒る。
ここから家族がこじれはじめる。
兄は家族・親戚の団らんをぶち壊しながら、周りから頭がおかしくなったと思われながらも真実を知ろうとする。
結果、真実が分かった時、妹が果てしなくブチ切れる。兄が驚くほどに。
母の死因は時代を反映しているものだった。
兄アントワンの娘が抱えている問題を口にするシーン。
あの瞬間、母の死因がなんとなく想像できる。
時代に不幸が重なった死のきっかけ。
後半にドラマが詰まっていて、前半は兄中心の話のため少し退屈に感じる。
でもこの構成がいかにもフランス映画っぽい。
映画を通して、フランス女性の気の強さがとても表現されていた。
そしてサスペンスな要素があるのに何故かオシャレに見えるフランス映画。
日本で同じ内容でやってもこうは絶対ならない。フランス、恐るべし。
トータルして、フランス映画っぽいフランス映画だった。(私の中で)
三代に渡る秘密を持った女性たちの物語
ことし40歳になるアントワン(ロラン・ラフィット)は、半年ほど前に離婚したばかり。
別れた妻と妹のアガット(メラニー・ロラン)が職場の同僚という少々ややこしい関係だ。
アントワンには思春期の娘ソフィー(アン・ロワレ)とも、どうもしっくりいっていない。
そんなこんなで、精神状態は、やや不安定で、セラピーにも通っているが、一向に改善しない。
というのも、以前から心を占めているのは、30年前に亡くなった母のことがあるから。
母の死に釈然としないものがあり、父親とも祖母とも関係がうまくいっていない。
不信は募るばかりで、改めて、母の死について調べてみたが・・・というハナシで、家族の秘密にまつわる、ちょっとしたミステリー映画。
ちょっとした、と書いたのは、いわゆる推理もののようなミステリーではないからだけれど、謎的要素はふたつほどある。
<以下、ネタバレ>
ひとつは、若き日の母親の行状。
もうひとつは、母親の死に、誰がどのようにかかわっていたのか。
ひとつめが、すこぶる興味深かった。
アントワンとアガットというふたりの子どもを得ていながらも、夫と姑との軋轢(というか、ほとんど被支配的情況)のなかで、若き日の母親は英国女性と恋に落ちるのである。
1980年代といえでも、閉鎖的な環境の中での、女性同士の恋・・・
それだけならば、ふーん、そうなのかぁ、といったところなのだが、この恋愛に対する感情が家族の中で、どのようになったのかが、非常に興味深い。
映画の中で、アントワンの娘ソフィーも同性愛志向であり、そのことを父親のアントワンに打ち明けられないことから、父娘の関係がギクシャクしているのは明示的に描かれている。
それだけではなく、大きく描かれないが、妹のアガットにも、その傾向がある。
(なかなか彼氏と長続きしない、ソフィーの同性愛相談に乗る、母親の形見の指輪をアントワンから贈られる、といった描写がある)
つまり、母、娘、孫に秘められた「女性の秘密」なわけである。
その源となる母親の死の直前に、母親の決定的瞬間を目撃するのが、幼いアガットだというあたりも、すこぶる興味深い。
このひとつめの家族の秘密がわかってからの後半、映画は面白くなっていくのだけれど、そこへ至るまでが、かなりもたもたして、観ていて興ざめしてしまう。
というのも、前半が、40男のアントワンが、陰鬱な顔をして、母親の死の秘密を探求するのだが、ロラン・ラフィットに深みがなく、ただただ陰鬱な顔をしているだけで、観ていて気が滅入ってしまうからだ。
ひとつめの秘密がわかるのが、ほぼ映画の中盤あたりなので、もっと早めに明らかにして、女性三代(祖母も入れると四代か)の物語が屹立していけば、もっともっと面白くなったのに、と残念。
そして、もうひとつの謎、母親の死に、誰がどのようにかかわっていたのか。
これについては、書かない。
邦題にある「ミモザの島」=ノワールムティエ島と本土を結ぶ道、塩の満干によって現れたり消えたりする道、それがうまく使われていることだけを記しておきます。
ちょっと残念なところはあるのですが、メラニー・ロランが結構好きなので点数はオマケ。
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