「SEXと愛」LOVE 3D りゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
SEXと愛
映画で殴られたのは初めてだった。
感覚的に脳内にきた。
あれは何だったのだろうか。
ストーリーはいたって単純である。
男が元彼女の事を回想する。そして妻子がいるのに、本当に愛しているのは元彼女の方だと気づく。ただそれだけだ。ただそれだけなのだが、これを日本で撮ったらどうだろう。
SEXの描写はあんなに映せないだろうし、大衆ウケしようと安っぽいメロドラマみたいな感じになるのではないだろうか。
ギャスパー・ノエ監督は「私のこれまでの映画とは違う。この映画は感情の激しい力、愛のエクスタシー以外の何物でもない」と語っている。
感情の激しい力か。これは納得だ。
大学でこんな経験をした事がある。
あるサークルの部長(男)に片思いしていた女が3人もいた。その男は2人の女と関係を持っていた。付き合ってはないのだが体の関係を持っていた。その事実を知ったもう1人はサークルの飲み会で過呼吸をおこして、ハァハァ言いながらその男の名前を呼ぶのだ。流石に周りの人はドン引きをしながら介抱したのだが私はドン引きしながら衝撃を受けた。こんなにも人を愛せるのかと。その後もその女は男の事が好きで好きでたまらず、何回も相談して飲んで潰れるとその男の名前を言う。
他者から見るとバカバカしくて滑稽だ。
けど若い時はここまではいかなくても恋に溺れた事がある人がいるのではないか。
映画でも似たような感覚になっていた。映画でももちろん他者のため滑稽に思いつつ、ここまで好きになれるのかと。
まさにこれが恋の力であり感情の力ではないだろうか。
あとはエクスタシーだ。
恋愛にはSEXがあるし、また、ない場合もあるが、大抵は付き合えばSEXするだろう。
皆、分かってるはずなのにそこは映画では殆どの人は観ようとしない。映画に限らずかもしれないけど。
愛とSEXには愛のないSEXとSEXのない愛があり、もちろん愛のあるSEXもある。
一番ベストは愛のあるSEXだ。と監督は語っている。私はまだ愛のあるSEXはした事ないが他の二つは経験がある。何故か今の人は愛のないSEXはダメだと言うが私はそうは思わない。実際、愛は無くてもお互いが了承してSEXしてれば楽しいしSEXが無くても愛があればデートとかでも十分満足するわけだ。
この映画は稀だが当たり前の事を映しているだけである。そこがいいのだ。
恋愛感やSEX感で観方、感じ方が違ってくるであろう、そんな作品だ。
実に愛らしく、実に滑稽だ。