トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のレビュー・感想・評価
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風呂場で映画の脚本
エンタテインメント色たっぷりの社会派映画
米ソ冷戦がはじまった1940年代後半から、米国では共産主義的思想の持ち主を徹底的に弾圧した。
ハリウッドとて例外ではなかった。
いや、大衆への影響が大きいことから、その弾圧はすさまじかった。
ダルトン・トランボもそのひとり。
いや、ハリウッドの共産主義の中心人物と目され、徹底的に排除された。
しかし、トランボは変名・偽名を使い、仲間とともに次々と脚本を書き続けていく・・・
という事実に基づいた映画で、とにかく面白い。
興味深い、ではなく、面白いのである。
その面白さの中心は、トランボそのひとにある。
とにかく、信念の人である。
自分を曲げない。
自分にできることは書き続けること。
ただし、主義主張、メッセージを重視するのではなく、量だ。
その量の中から、「質」が現れる。
「質」は、作品の質であると同時に、そのひとの内面の質だ。
「ひと」が認められることで、主義主張を通そうというのだ。
まぁ、やりすぎて、ワーカホリック状態になり、家族との危機も迎えるのだけれど。
この映画では、トランボを演じるブライアン・クランストンも素晴らしいが、妻役のダイアン・レインが素晴らしい。
いつもは控えめだけれども、家族の危機に際しては、言うべきことは夫に言う。
このシーンが良かった。
実話なので、エドワード・G・ロビンソン、ジョン・ウェイン、カーク・ダグラス、サム・ウッド、オットー・プレミンジャーなど、ハリリウッドの面々が登場するが、なかでも、カーク・ダグラスが酷似。
さらに、映画コラムニストのヘッダ・ホッパー役のヘレン・ミレンが憎々しくて、これまた良い。
社会派テーマをエンタテインメント色たっぷりに仕上げるのは、かつてハリウッドが得意としていたものだが、これは久しぶりにそういった類の秀作佳作である。
数々のSNS炎上が、この出来事の再演で無いと良いが・・・
第2次世界大戦終結後にアメリカで起きた赤狩りの対象となり、映画界から追放されてしまったダルトン・トランボの伝記映画。
いやぁ、あの『ローマの休日』にこう言う隠された逸話があるとは知りませんでした。脚本には、「あこの作品は、あの人っぽいよね」と言う癖が有るような気がするんですが、専門家ばかりのアカデミー会員は、見抜けなかったんですかね?あるいは、この時のアカデミー賞受賞は、陰ながらにトランボを応援していたアカデミー会員の影の努力の賜物なんでしょうか?
『ローマの休日』以外にも、大ヒット映画の脚本に関わっていたトランボは、一種の天才ですね。見た事はありませんが、『スパルタカス』とか『栄光への脱出』とか、いやぁ、すごい作品ばかり。
見ていて思ったのが、自由に考えていることを主張していくことの大切さと、それを守ることの難しさ。いまSNSでは、誤った正義感・自己の価値観の押し付けによる過剰なバッシングが多いですが、この当時の赤狩りもそれに類するというか・・・、時間軸的には逆ですね。いまの過剰なバッシング傾向は、当時の誤った赤狩りに通じるものがあると強く感じました。
ちょっと意外に感じたのが、ヘレン・ミレンが、正にbastardとでも言われるべき人間を演じていたところ。いやぁ、本当に悪くて嫌な奴でしたね(笑)。あんな役を演じられるのも、ヘレン・ミレンが一流の女優であるからなんでしょうが。
それにしても、途中までは「トランボの作品は最高だけど、トランボ本人は人間としては最低だ」と思っていたんですが、奥さんの“激怒”により改心した所も中々凄いと思います。そう言うところがないと、こう言うヒット作品ばかり書き続けられないんでしょうね。
もう一度観に行きたい!!
頑張れトランボ家
とても魅力的な映画
ローマの休日を偽名で書いた赤狩りで追放されていた、脚本家の実話。
この作品がハリウッドで作られる事が、アメリカの希望なのかな?
朝鮮戦争、ベトナム戦争、冷戦
共産主義と戦う事に大義をかけ、国民を動員する必要があったアメリカの赤狩り。
日本でもレッドパージとして、ひどい事になっていたのですが、あそれを正面から扱い、しかも娯楽的にも成功している作品は寡聞にして知りません。
脚本、演技、音楽、大勢の俳優さん達の熱意、アメリカの良心を感じました。
トランボの闘いは実力でブラックリストを無にするという、ある意味彼でないとできない闘いだった。しかし、彼は赤狩りを何も生み出さず、傷つけあっただけの時代とふりかえる。和解を信じている。これが真の勝者なのかもしれない。
素晴らしい作品
傑作です。
タイプライターは剣よりも強し!
「質の高い作品」というのはまさにこのような映画を言うのだ
と思う。
派手な爆破シーンも、
アクションシーンも、
濃厚なラブシーンも、
最先端のテクノロジーを使ったシーンも、一切なし。
それでも、二時間強まったくだれずに観られたというのが、作品としての質の高さを物語るというか。この作品こそがまさにオスカーなのでは???
トランボ役を演じたBryan Cranstonの演技が素晴らしい。妻役のDiane Laneもすごく良かった。Jazzyな音楽も私好み。
登場人物がわりと多いので、これからご覧になるかたは少し「予習」してから行ったほうがよいかもしれません。
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