「歴史と記憶の迷宮に酔う」フランコフォニア ルーヴルの記憶 花火さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史と記憶の迷宮に酔う
序盤、パリ市内のドローン空撮に溢れる浮遊感。ルーヴルを舞台に霊たちが闊歩する本作にこれほど相応しい導入が他にあるだろうか。さらにその前には監督と美術品を運ぶ船の船長とのスカイプ通話が挿入され、海と船を通して『エルミタージュ幻想』とも接続する。エルミタージュはまた本作にも登場するが、絢爛さとはかけ離れた死と喪失が横溢する。時間も、空間さえも越えて歴史を眼前のものとして生々しく甦らせる88分。
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