「FEA with courage」ニュースの真相 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
FEA with courage
アメリカ大統領選挙期間中、George W. Bushの空軍州兵時代の疑惑を追求する主人公達。
テレビ局とて利益重視のビジネス企業。
スポンサーが付きやすいバラエティ番組に押され、そう簡単には黒字にならないニュース番組。どれだけ特ダネで他局を出し抜けるかという注目度とスピード重視の傾向にあり、信憑性を高めるための裏付けに割ける時間が限られていることが見えてきます。
仮説を立て、それを実証していく科学のように、報道でも裏付ける確固たる証拠・証人を集めていかなければいけないのですが、相手が本当に将軍かどうかも分からず、言葉のあやとも取れるような電話越しの一言でconfirmedとしたり、仮説に否定的な鑑定人の意見を軽視したり、素人目にも裏付け調査は不十分であったと思われます。主人公Maryのプロデューサーとしての経験と勘を、彼女の同僚、上司までもが、本人以上に頼り過ぎて公平性を見失っていたようにも見えました。
相手が権力者でも怯むな、というジャーナリストの根性と反骨精神は大事にして頂きたいです。しかし、故意でない誤報はいけないのか?ということと、疑問を呈することはいけないのか?ということは決して同じではありません。質問と好奇心を抱き続けるスタンスは勿論大切ですが、公平性と信憑性は報道に不可欠であり、そこを混同させてはならないと思います。ただ映画では、主役2人の演技が素晴らし過ぎて、同情を誘ってしまいます。
ガセネタを掴まされ、CBSは利用されただけなのか。それとも潰された真実だったのか。結局Bush本人しか分からないのかも知れません。
"Spotlight"がジャーナリズムの成功例なら、こちらはテレビ局の失敗例です。作品自体は重厚で、本作の方が主役2人に焦点が絞られており、感情移入しやすいので心を打つものがあります。
ゴミとまで呼ばれるようになった日本のマスコミ…。国家権力vsジャーナリズムのテーマは「運命の人」を思い出します。改めて良質な報道の難しさを実感しました。
"The day we stop asking questions is the day the American people lose."
> 固ゆでってなんですか?
> 作品の成熟度??
「ハードボイルドかどうか」ってことです。レビュー書き始めた最初の頃は、こんなインジケーターで観てたんだったなあ、と懐かしいですね。
> 故意でない誤報はいけないのか?ということと、疑問を呈することはいけないのか?ということは決して同じではありません。
むむ。深いですね。
> 質問と好奇心を抱き続けるスタンスは勿論大切ですが、公平性と信憑性は報道に不可欠であり、そこを混同させてはならないと思います
そうか、そういうことですね。たしかにそうですね。