少女(2016)のレビュー・感想・評価
全102件中、41~60件目を表示
説得力に欠ける
どんなに文明が進歩しても、日本はいまだにムラ社会である。国家という大きなムラの中に、無数のムラがある。企業や学校や各種団体などの公的な組織もそうだが、サークルや同好会などの任意のグループ、或いはママ友みたいなはっきりしない集まりに至るまで、個人の自由よりも集団の和が優先される集まりはすべてムラといっていい。仲間外れになるといわゆる村八分にされ、孤立するだけではなく、場合によっては暴力を受け、LINEやSNSで誹謗中傷され、インターネットを通じて世界中の晒し者にされることもある。
女子高生の仲良しグループも例外ではなく、仲良しグループから外れるとどんな目に遭うかわからないという相互的な恐怖心から、自分の自由を投げ出してひたすら集団に同調する。
集団の向かう方向は誰にもわからないが、建設的な方向に向かうことはない。一番よくあるのが紋切り型の価値観に従って他人を断罪することだ。「あいつ、うざくね?」と誰かが言えば、その途端にいじめがはじまる。同調圧力が強ければ誰もいじめをやめることができず、どこまでもエスカレートする。いじめた相手が自殺するか、遠いところに転校するまで終わらない。同じことは女子高生の仲良しグループだけではなく、日本中のいたるところで起きている。日本は大小のムラの集合体なのだ。
この映画では女子高生の間に普通に見られるであろういじめの場面が出てくる。いじめる理由は上記の通りで改めての理由づけは不要だが、いじめられる敦子とその友人の由紀の行動の動機が理解できない。子供のころのトラウマを引きずっているという理由だけでは、日頃の行動の理由としては弱すぎるのだ。逆にトラウマが蘇るたびに過呼吸の発作を繰り返す演出はくどすぎる。
足の怪我が治っていないふりを延々と続けられる意志の強さを持っている人は、簡単にはいじめの対象にならないだろう。敦子はどう見てもいじめられるキャラクターではないのだ。いじめにリアリティがないから、由紀が敦子のために小説を書く理由にもリアリティがない。プロットが根本から崩壊している。死ぬ瞬間の表情を見たいという台詞は、それを見たら何かがわかるという説明がなく、とってつけたようだ。小説を書く人間の精神構造はそれほど単純ではない。
原作を読んでいないので違いは不明だが、登場人物の相関関係がやたらに密集しているのも、予定調和的過ぎて現実味に乏しい。痴漢ぼったくり女子高生が自殺するのも理解できない。中年男をカツアゲするだけの度胸が据わっている女の子なら、たとえ父親が逮捕されたからといっても短絡的に自殺を選ぶことはないだろう。カツアゲ少女に、人間の出生の平等に関わる哲学があったとも思えない。
同じ湊かなえ原作の映画でも「白ゆき姫殺人事件」にはリアリティがあった。「北のカナリアたち」にはヒューマニズムがあった。しかしこの「少女」は最も平板なプロットにも関わらず、何故か最もリアリティがない。
LINEやSNSを使った同時代的な背景の映画では、リアリティがないとあらゆる説得力を失ってしまう。バラバラに登場する人物がいたるところで結びついて輪になるのは、監督としては満足なのかもしれないが、観客に訴えるものは何もない。へえ、そうだったんだ、という淡々とした感想とため息が漏れるだけだ。物語をまとめることに集中しすぎてテーマを深めることができなかったのだ。その結果、何がテーマなのかさえわからない作品になってしまった。
物語に繋がりがなくこの二人は適役?
良作?駄作?
点と点が……
見たほうがいい
本田翼は素晴らしい
少女という存在
死にざわめく青春
in MOVIX清水
監督/ 三島有紀子
出演/本田翼●山本美月●稲垣吾郎●真剣佑●佐藤玲●児嶋一哉●菅原大吉●川上麻衣子●銀粉蝶●白川和子etc.
小説家志望の本田翼とかつて剣道の有望株だったが試合中の怪我で断念した山本美月。
高校でクラスメイトから村八分を喰らい悶々と過ごす二人は、何故か「人間が死ぬ瞬間を目撃すれば、人生観が変わるかもしれない」と狂った衝撃を抱えたまま迎える其々の夏休みを描いた作品。
同じ湊かなえ原作で、《人間の死にざわめく青春》ってぇっと、松たか子×中島哲也の『告白』が未だ強烈に記憶に深く刻まれている。
教え子の中の誰かに愛娘を惨殺された松たか子先生が容赦なく復讐を遂行する『告白』は犯人探しにサスペンス要素を絡めたエンターテイメント性に打ちのめされた噺だったのに対し今作は、己の興味本意の為に他人の最期に向き合おうとする自分勝手な主人公の葛藤は、当然の如く、後味が悪く、痛々しい。
特に本田が最終的に選んだ死の標的はボランティアで潜入した小児癌病棟で闘病する子供達やから、尚更、嫌悪感が積もった。
しかし、死と対峙する運命は、皮肉なカタチで見届ける事となる。
さっきまで笑顔で仲良くしていたのに、居なくなった途端に手のひらを返す裏表激しい二面性の世界観に、「女って恐いなぁ」と、女流社会の自分の職場と重ねては、気分が沈むばかり。。。
観ていて、辟易しながらも、最後まで付き合えたのは、湊かなえならではの過去と小道具を張り巡らし、凝らした伏線で、もがく人間関係の濃密さに尽きるだろう。
裏切りの裏切りは実は繋がりだった2人の奇妙な絆は、同性の監督の三島有紀子だからこそ、生々しいまでに表現できたのかもしれない。
そんな気紛れな女心は、ゲス野郎の私にゃあ、さっぱり解りゃあしないが、テーマの《因果応報》 の意味の深さを、相変わらず薄っぺらいアンジャッシュ・大島の演技を観て、つくづく感じた。
。。。って、児嶋だよ!!
・・・性懲りもなくスベったトコロで、最後に短歌を一首
『闇綴り 紅く引きずる 水中花 もがきに笑みを 眼下の懺悔』
by全竜
人が死ぬところを見てみたい
話は良いが、出演者が残念な気がした。
「死体を見たことがある」という友達の話を聞いた由紀(本田翼さんが演じる)と敦子(山本美月さんが演じる)は、自分たちも見たいとそれぞれ行動します。しかし、その行動の中で、2人それぞれが、お互いにとって大切な人だと改めて気づいていくという話でした。
由紀と敦子は、それぞれが悲しい出来事があり、自分からヨルの世界に入ってしまっていましたが、そんな中で唯一の光がお互いなんだと思いました。ヨルの世界に入っているから「死」に興味があったんだと思いました。実際、最後には死に関心がなくなっているように観えました。お互いがお互いを支えいているのは良いなと思いました。
山本美月さんは、まだ女子高生にみえますが、本田翼さんは、役のせいか、無理な気がしました。
全102件中、41~60件目を表示