「闇に落ちても差し伸べてくれる救済の手」少女(2016) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
闇に落ちても差し伸べてくれる救済の手
数ヶ月前までは全くスルーしていた作品。
どういう映画なんだろうと解説など覗いてみたら、湊かなえ原作のサスペンスではないか!
そしたら急に見たくなり、今に至る。
かなり賛否両論真っ二つ。
個人的には結構好きなタイプの作品だったし、また賛否両論なのも分かる。
感想を順々に。
まず、酷評の矛先のほとんどであろう本田翼の演技についてだが、これにははっきり反論したい。
なかなか悪くなかったじゃん、ばっさー。
いつもの明るいキュートな笑顔を封印し、あんな生気を失った表情や死んだような目も出来るんだと感心。
確かに演技力は誉められたもんじゃないけど、今回ばかりは拙い演技が無機質な雰囲気にマッチ。
暗の中で時折見せる、“たっちー&すばる”との交流やラストの表情など、ああ、やっぱり本田翼なんだな、と。
本田翼の演技なんて大して見てないけど、今まで一番良かったんじゃないかな。
山本美月は受け身の側。
か弱く、脆く、こちらもいつものイメージと違う演技を披露。
稲垣吾郎とアンジャッシュ児嶋は曲者ぶりを発揮。
ハートフルな感動作が多かった三島有紀子監督だが、繊細な演出は一貫している。
陽を控えた映像が、独特な世界観を表現している。
人が死ぬ瞬間を見たいと望む二人の女子高生。
…と聞くと、いかにも“イヤミスの女王”と呼ばれる湊かなえワールドを期待してしまう。
“少女”という年齢が抱える闇、死などを散りばめ、“女子校”という名の地獄で餌食にされる陰湿ないじめ、虐待、援交など扱っている“題材”だけはR15。
しかし、それらに深く踏み込み、ドロドロしたものかと思うとちょっと違う。
ラストなど別ジャンルのようにセンチメタルで人によっては肩透かし。
あれ、こういうの期待してたんじゃなかった…と思って、気付いた。
本作は、鬱サスペンスじゃないんだ、と。
何度も挿入されていたじゃないか、「ヨルの綱渡り」の一節とその本当の意味が。
因果応報。自分が犯した罪は必ず自分に返ってくる。
それはどんな罪でも。
憎しみ。
死の望み。
しかし、実際自分が望んだ罪を目の当たりにした時、それに恐れた。
と同時に、気付いたのだ。自分がどんな罪を犯していたのかという事を。
劇中で因果応報を受けた者はゲスい奴らばかり。
自分の罪に恐れおののき、後悔した者には必ず救済の手が差し伸べられる。
救う為だったその手は、自分を救った。
闇に落ちていたのは自分だったのだ。
その時、手を差し伸べてくれる欠けがえのない存在。
闇が終わって、少女たちの救済は眩い輝き。
あの“猿かに合戦”、もっと見てたかったなぁ。
近大様
昨日は、コメント頂きましてありがとうございます。
近大様って、ランキング3位というカリスマなのですね~!
観たい映画がたくさんあって・・・なかなか追いつきませんが
また、共通の作品でお会いしましょう。
この映画の、本田翼さんを観て・・・彼女がスキになりました。
では、またm(__)m