「愛に貫かれた海洋冒険活劇」アクアマン みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
愛に貫かれた海洋冒険活劇
傑作という言葉が相応しい作品である。予告編はキワモノみたいな印象だったが、世界的なヒット作品であり、“百聞は一見に如かず”という心境で鑑賞した。本作は、海洋を舞台にした、アドベンチャー、アクション、ラブストーリー、家族愛など、多彩な要素を巧みに詰め込んだ、愛と冒険の物語である。
本作の主人公は、灯台守である人間の父と、アトランティスの末裔である海底国・女王の母を持つアーサー。彼はアクアマンとして正義のために闘っていた。一方、彼の異父兄弟であるオームは、海底国のリーダーとなり、人類征服のため、人類への攻撃を開始する。主人公は、人類存亡の危機を救うため、オームとの闘いに挑んでいく・・・。
冒頭を観て、これは凄いと思った。ド派手なアクションではなく、一途な愛を紡ぐことから始まる物語に、本作が、アクション映画の範疇を超えた作品であると感じた。女王役のニコール・キッドマンが際立っている。彼女の奥深い瞳が素晴らしい。アクションシーンでの鬼気迫る鋭い眼差し、愛に満ちた家族への暖かな眼差し。美しさと強さを併せ持つ女王役を好演している。
武骨だが心優しい、従来のヒーロー像に囚われない、個性的な主人公が良い。彼は、どんな時でも他者を思い遣る優しさを失わない。そのことが終盤の展開への伏線になっている。
本作は、古典的な物語であり、過去作のエッセンスを散りばめているので、既視感はあるが、分かり易く、感情移入し易い。本作の売りである、海中アクションシーンは、予想がつかない展開の連続。斬新でありスピード感に溢れていて見応え十分。青、白、黒を基調にした海中映像美も素晴らしい。特にCG技術を駆使した海底都市の美しさは圧巻である。
ラストシーン。愛で始まった物語は愛で結実する。本作は、愛に貫かれた独自の世界観を持った、エンターテイメントに徹した作品である。このままで終わって欲しくない。続編を観たい。そう思わせる作品である。