劇場公開日 2023年6月16日

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「母へのレクイエム」ザ・フラッシュ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母へのレクイエム

2023年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

DCコミックの地上最速ヒーロー・『フラッシュ』を主役にフュチャーした、SFアクション。そこに、マーベルのアベンジャーズに対抗する、ジャスティス・リーグでお馴染みのバットマン、スーパーガールと共に、嘗てスーパーマンに倒されたはずの、悪役のクリプトン星人・ゾッド将軍との死闘を繰り広げる展開。

最近は、『スパイダーマン』や『ドクター・ストレンジ』等、この手のSF作品では、マルチバーサスの世界が描かれることが多い。本作も、殺されたフラッシュことバリーの母と、母殺しの無実の罪を着せられた父を助ける為に、その事件が発生した過去に遡り、その忌わしい過去をやり直そうとする、マルチバーサスの世界での物語。

当然、バリーの若かりし頃の自分とも遭遇し、母も生きているが、過去を変えようとしたばかりに、時空が歪んでゾッド将軍が復活させ、地球の危機が訪れるという、ある意味、自業自得な内容とも言える。しかし、ラストに涙の家族愛の物語として、終止符を打っているのは、こうしたSFアクションには珍しい結末。

また、本作の見所としては、現代ではベン・アフレックが演じるバットマンも、過去の世界では、なんと80年代にバットマンを演じた、懐かしいマイケル・キートンが務め、新旧2人のバットマンが観られるのも、粋な配役設定だ。

そして、フラッシュを演じているのが『ファンタスティック・ビースト』でクリーデンスを演じた。エズラ・ミラー。決してヒーローの顔立ちではないが、その分、シュールな笑いを、あちらこちらに挟み、他のヒーローとは違うキャラクターを生み出している。更に、性格の違う過去のバリーと現代のバリーの2役を、巧みに使い分けて演じている。

その他にも、ジャスティス・リーグの面々が、チョコチョコと登場するのも、見逃さないで欲しいし、クレジットロール前に登場するブルース・ウェインを、ベンでも、マイケルでもない大御所俳優が登場させるのも、サプライズな演出。マーベル作品に負けず劣らず、豪華ラインナップな俳優陣と言える。

bunmei21