裸足の季節のレビュー・感想・評価
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happy-sad
自由を求めて
裸足
美しい。
ある意味桃源郷か
自由をつくづく感じる幸せ。
ラーレ
5人姉妹のゴワゴワした長い髪の毛の美しさ、スリムジーンズに赤いバンズ。トルコの片田舎がまるで南仏みたい。靴下とか鉛筆とかスリッパとか水着とか、いちいち垢抜けてる。特筆すべきは冒頭の制服。白シャツにタータンチェックのスカートに黒いタイツに、オールスター。で海に飛び込む。ココとまだ5人揃ってる時に窓辺で寝転んだりしてるとこがピーク。勿論、そんなのは本題じゃないのだけれど、2番目の姉が検査医師にうそぶく、世界中の男とやっても傷付かないというか、私は変わらないこの世界と同じように的な、凛とした美しさがラーレ達にはあって、やるやられるの価値観でしか計れない上の世代だとか、助けにならない同年代の男どもを軽々超えていく。3番目のお姉ちゃんのくだりもそういうことで、このまま年取ってここにいても仕方がないから、一番綺麗な時に次に行く。叙情なんて要らない。サクッと次に行く。ソフィアの夜明けもそうだったけれど、あの辺りの色付いた空背景にバスとか路面電車とか撮ると、ハッとする程画になる。スーパーの宅配やってるヤシンがやたら良い兄貴。ラーレはなんだかバルテュスの描く少女みたい。
おもしろいけど
●文化の違い。目線の違い。
クライマックスの夜から目覚めるシーンは夢か現実か。音楽が幻想的で素晴らしかった。サッカー観戦の爆発的な弾けっぷりはもう最高!5人姉妹のキラキラが眩しい。
だが、光の裏には影がある。こんなに考えさせられる作品も珍しい。
決してトルコの片田舎の話でなく、これがこの国の女性たちのリアルなのか。少女たちがキレイで若すぎるのは、慣習への抵抗をすこしでも明るく健やかに表現したかったのだろうか。これが鑑賞直後の率直な印象。皮肉でなく。男女の目線の違いもあるのだろうけど。鑑賞後、その場で頭を抱える海外の男性がいたのが印象的だった。
観終えてから背景を知る。15歳以下の少女の強制結婚は世界で毎年1,400万人以上。インドとイスラム教国が大半を占める。伝統や慣習、貧困がその理由だという。そして、イスラム法では女子は9歳で大人扱い。ちなみに同法は結婚以外の性行為を認めていない。
冒頭、海辺のシーンからの家族の罵倒は、監督の実体験。まったく反抗できなかったという。だから監督は少女たちをヒロインにしたかった。ラーレは自身の理想像だと。
叔父はその名のとおり、エロルだ。人非人。祖母も自分が通って来た道だ。男たちよりは理解があるけど、伝統や慣習には従順だ。こうして村社会は守られる。籠の中の鳥は「Mustang(野生馬)」を夢見て抗う。
人は育ってきた文化や環境が当たり前だと思ってしまう。とはいえ、ヤシンのような青年や「行かせてやれ」という男性もいるのは救い。世界は広い。自分の道を切り開いたラーレに、明るい未来が待っていることを切に願う。
女の子というだけで不自由な社会
トルコの田舎町。
ソナイ、セルマ、エジェ、ヌル、ラーレの5人姉妹は、10年前に両親が他界したため、祖母と叔父夫婦に育てられている。
ある日、海辺で数人の男子生徒とふざけている様子を隣人にみられ、それがイスラムの戒律に背いていると、祖母と叔父に見咎められ、その日から外出を禁じられてしまう。
しかし、好奇心旺盛な年ごろの彼女たちの衝動を止めることはできない。
それが高じたため、遂には、祖母と叔父は、ソナイとセルマに縁談話を持ちかけてくる・・・
というハナシが、末娘ラーレの視点で描いていきます。
原題は「MUSTANG」、野生の馬。
5人姉妹を、野生の馬になぞらえたタイトル。
いくら戒律で檻の中に押し込めようとしても、彼女たちの自然に湧き上がる(性衝動を含めての)欲求を押さえつけることはできない。
そんな彼女たちの生態を、手持ちカメラが活き活きと捉えられている。
それにしても、イスラム社会の中でも先進的な(と思われる)トルコでも戒律は厳しく、特に、娘の処女性は揺るがすべからざるもの。
この戒律の厳しさの中心にいるのが、男性だけでなく、年配の女性たちの方がより厳格なのだから、なかなか社会が変革するのは難しいだろう。
また、あまりあからさまに描かれてはいないが、叔父は隠れて、娘たちに性的虐待を行っているあたり、かなり戦慄する。
最後、自由を求めてラーレとヌルはイスタンブールを目指すのだけれど、「そんな、ふたりだけで大丈夫かしらん」と心配になったが、都会のイスタンブールでは女性保護の活動もあるのだろうと感じさせたラストであった。
(冒頭に、そのカギは描かれていましたね)
生命力溢れる美少女たちと美しいトルコに釘付け
素敵でキュートで愛らしい
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