さざなみのレビュー・感想・評価
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良かった‼
イギリス大好き、シャーロットランブリング大好きなら分かる嬉しさ。考えさせられら話の中、男のわがままが分かるだけに辛い。シャーロットランブリングの演技はさすがだ。そうして、パーティーのなかでの男の空虚な挨拶が白々しい。と、思ったらやはり。。。
毎秒3メートル赦しの行方
どんより雲が垂れ込めるイギリスの片田舎。四十五年連れ添う老夫婦。氷山のクレバスに落ち若くして死んだ夫の前の彼女の遺体発見の報せを機に歯車が狂い始める夫婦関係。愛と憎しみ、過去と未来、赦しと拒み。妻が屋根裏部屋で夫が撮影した前の彼女の写真を映写機で観るシーンが印象的だった。ラストシーンもまた凄かった。言葉の少ない映画にあって、喋らない演技で魅せてくれたシャーロット・ランプリングが本当に素晴らしい。そして邦題「さざなみ」は原題よりも数十倍良い。
女心と秋の空・・
結婚45周年記念パーティを控えた妻の微妙な心の揺れを描いた作品。女心は灰になるまで秋の空だ。何年経っても消えることはない。映画の最後のパーティでの妻の複雑な表情は・・2015年のイギリス映画。
世の男どもよ、女を甘くみるなよ。捨てられるのはお前だぞ。
結婚45周年パーティーを週末に控えた老夫婦のもとに、夫の昔の恋人の遺体発見の報がとどく。
妻は、「昔のことよ」と気にも留めなかったのだが、次第次第に明るみになっていく、夫の気持ちと秘めた過去。それが知らず知らずに、夫婦関係の崩壊へと傾いていくのだ。間抜けなことに、そのことを当の夫が気づいていないのだから怖いとしか言えない。
かつては魅力的な大人の意見に思えたジェフの政治や同僚についての批判も、なんだかただの負け犬の遠吠えのも聞こえるてくるし、結婚「45」周年記念パーティーでの涙のスピーチも、しらじらしく聞こえてくる。何事もなければ、そんなジェフのスピーチにケイトは感動し涙したのだろう。それまで堪えに堪えていた感情に、ジェフに対する腹立たしさも重なり、ダンスをしても作り笑顔を維持できない。こんな男を私は45年も惚れていたのか。そんなもろもろの感情が極まった瞬間に、あの激しい仕草へとなるのだ。ジェフは、なんでケイトが怒っているのか分からないだろうな。
パーティーのあと、ケイトは何も告げずに離婚を切り出すのだろう。そして周りの知人は、「あの夫婦、あんな楽しそうに45周年パーティーをしたばかりだというのに、世の中わからないことってあるものね」と囁きあうのだ。ケイトの気持ちを微塵も知りもしないくせに。(パーティーのあとのことは僕の妄想です。こういう妄想をさせることが監督の意図なのでしょう)
邦題のようにさざ波のように押し寄せてくる不安と疑念が、妻の感情を穏やかざるものへと変えていく様は、冷めた狂気の感すらあった。
妻を演じるのはシャーロット・ランプリング。失礼ながら、ここ数年映画にはまりだした僕には、未知の方。どうやらかつての名優だという。たしかにその評価に違わぬ名演ぶりに、背筋がひやりとした。
まだ、ひやりとする気付きがあるだけ、自分には救いがあるのだろうか、どうか。
人間という生き物の、消せない業の深さ。
♪男と女の間には~深くて暗い~川がある~
と、野坂昭如の歌声が頭に浮かんで消えなくなる一本。
そして。
♪誰も渡れぬ~川なれど~エンヤコラ今夜も舟を出す~
その先にある行く末を、主演のシャーロット・ランプリングとトム・コートネイの二人によって見せ付けられる、なんとも言えずに唇をかむような歯がゆさ。
二人の演技が文句なしに素晴らしいが故に、生々しく迫る「突きつけられる刃先の丸くなった刃の不快感」。
映画としては素晴らしい、けれど人にはお勧めし難いこの不穏な空気。
共に過ごした時間をどれだけ積み重ねようと、たった一つ投げ込まれた石で泡の様に一瞬で消え去る、消し去ることのできる人間という生き物の危うさ…
ラストの、あの男から見たら恐怖でしかない演出、そして気づかぬ阿呆といったら…
嗚呼、なんとも自分好みの「意地悪映画」なんだ、コレ!涙
絶望度は「偽りなき者」には及ばないけれど、軽く人間嫌いになりたいときにはお勧めしたい一本。
男と女とは、どこまで行っても「同一ながら別種の生き物」なんだよ…
和題がさざなみなのがわかった
”45 years”という原題からなぜ和題が「さざなみ」なのかちょっと不思議に思いながら、映画館に足を運びました。
イギリスの片田舎の木々がよく茂った小さな村にひっそりと暮らす素敵なご夫婦。
2人の歴史には思い出と共にダンスや歌がある。共通する趣味や音楽があれば話が盛り上がる。
もし自分がこの映画の主人公だったら・・・
そう考えずにいられないのか、映画の主人公と同世代の方が多かった気がする。
ラストは呆気ない気もしたがやはりそうか、と思うところもあった。
とても静かな映画だが素晴らしい演技と人間心理を巧みに描いた良い映画だと思った。
仕方のないことなのだけれど
女は上書き保存、男は名前をつけて保存、と言うけれど、この映画では、夫が保存していたファイフルを見つけてしまった妻。消去することのできないファイル。
「告白」して、次第に気持ちが穏やかになっていく夫と、次第にざわめいてくる妻のコントラストが怖かった。
彼女はきっと、もうずっとこの気持ちを抑えることはできないんだろうな、と。
静かで、人物の気持ちがよく分かる、いい映画。
シャーロットランプリングが見れただけで満足。
愛の嵐、のセクシー画像でくっきり記憶に残っているシャーロットランプリングが素晴らしい老齢の演技で大満足。
静かな静かなストーリーと映像の中でみなぎる愛情と愛憎がひしひしと感じられました。
女性のお客様が多いのにビックリ。共感する人が多いのかなー。過去の死んでしまった夫の彼女に嫉妬してもしょうがないと思うけどなー。
過去の亡霊なのにね
最初は夫の言葉遣いに無神経なものを感じて、抑えているケイトは偉いと思って観ていました。
しかし、写真の彼女を観て壊れていく感じでした。夫の方は手紙を読んで激しく動揺したものの、そしてカチャへの思いを口に出し、ケイトに聞いてもらって落ち着いて来たように見えた。
ケイトはこれからどうするんだろう⁇
すべては最後
映像もストーリーも悪くはないけど、強く印象に残るものではなかった。しかし、フォーカスとか照明とか、様々な工夫を強く感じる。
CG技術以外にも映画における技術的進歩は確実に成されているのだと確認できた。
内容に関しては、多少飽きてしまうところは否めないけれど、最後のシーンへの重要な布石であると見終わって確信できるので、不満は全くない。
最後のシーンの演技だけで、最優秀主演男優・主演女優ダブル受賞に至っているのだと納得した。
感動と怒りと悲哀が一気に押し押せて終幕を迎えて、今までにない複雑な感情を込めた涙が溢れ出た。
ついでに─、原題と全く違う邦題もハマっていると、個人的には思った。
パーフェクトケイト
周りは劇中の夫婦と同世代の夫婦ばかりで、僕が圧倒的若者としての環境で鑑賞。
ずっと仲睦まじく過ごしてきた夫婦が結婚45周年パーティー直前のたった6日間で大きく揺れ動いていく様を見事に描いていた。
1日毎にベッドに入るまでをじっくり描いたが、夫は風であり、妻がそれによって波を立てていく。
それもさざなみどころじゃない。
あくまで過去の女性についてもマイペースな夫に対し、心の中に嫉妬の荒波を立て続ける妻は暴力行為に及ばないだけでゴーンガールのエイミーさながら。
しかもこちらは夫の涙ながらの感動的なスピーチにも、結婚式と同じ想い出の曲でのダンスにも、一切心ほだされる事なく怒りの形相で夫の手を振りほどくから45年という歳月を経ての辛みはエイミーよりよっぽど恐ろしい。
あと、妹だか友人だか忘れたけど、昔主人公の夫にファシスト呼ばわりされた事をいつまでも根に持ちまくってる彼女も怖かった。
女性への言動は十分に気を付けよう。
70歳のシャーロット・ランプリングのスタイルの良さ、ラストシーンの恐ろしさ、きっと見ていた老夫婦の夫はあらゆる絶望を持って劇場を後にしたことでしょう。
45
うーん
まず さざなみというタイトルはなんとなく理解できるけど原題の45yearsからそうなったのかなー
カチャがいきなり出てきて、いや夫中にはいつもいたんだろうな 今更カチャの存在に夫婦は違和感が溢れていって でも夫婦はいつも通りを演じる 演じれなくなる奥さんの最後の表情が頭から離れない
女優の表情が物語る
長年連れ添った相手が若き日の美しい記憶を持ち続けていた。そんな程度の秘密はどこの夫婦にも当てはまる。ただ、お互いにそのことには触れないようにしているという、世界中の夫婦が持っている知恵を、映画に登場するこの夫婦も持ち合わせている。
しかし、アルプスの氷河の下から遺体が発見されたという、一通の知らせにより、それを秘めておくことが出来なくなってしまう。
良き妻、温かき人、社交的な常識人を演じるシャーロット・ランプリングの表情が、そんな表情の合間に嫉妬で凍りついていく。
スライド写真で、夫の昔の恋人の腹部が膨らんでいるのを見たときの表情、説明的な台詞を吐かせることなく、この妻の心境の変化を語り尽している。
そして、ラストのシーンでは、彼女は夫と繋いだ手を決然と降ろす。残された夫婦の時間を、これまでとは全く異なる心境で過ごすことになることへの覚悟を決めた女の表情に圧倒される。
邦題の「さざなみ」どころか、45年間堆積したものを一気に流し去る津波である。
思い出します、氷のようなあの顔を!
ヒャー、凍りついた!
そして、シャーロット・ランプリング!美しすぎる。ジーパン姿ですら…
今から40年ぐらい前に、学校帰りに制服のまま友達数人と見に行った「愛の嵐」田舎町には、ハリウッドのパンパカ映画しかやってこず、いつも心からの満足が得られない中で、見てしまった、ヨーロッパの暗くて、深くて、妖しい闇。当時の記憶のままなので、勝手な妄想で歪んで覚えてるとは思いますけど、元ナチス党員として追われている男と、かつて男の愛玩物とされることで生き延びたユダヤの少女だった女が再会し、ドロドロの逃亡生活を送る話だったと思います。ナチスの将校クラブのテーブルの上を将校のかぶる帽子と超短パンと長靴で踊る。上半身がどうだったか、たぶん何も着てなかったかな。そうしなければガス室送りという少女の氷のような表情。それがシャーロット・ランプリングだった。それを下から見回す男たちの視線。デカダンスの極致。そこで彼女に執着した一人の男。ダーク・ボガードでしたよね。ビスコンティの「ベニスに死す」と同時期にこれにもでていたんだと、今気づきましたけど。そして、彼女に出会って、半ば監禁状態にして、社会から断絶してどんどん過去に埋没していく。しかし男は探され、追い詰められる。買い物にも行けず、飢える。やっと手に入れたいちごジャム。これを舐めるシャーロット・ランプリングのエロティシズムときたら!よくこんなものを高校生で見てたもんだと改めて思いますけど。とにかく、強烈な印象が私の細胞に刻み込まれてしまった。
数年前、彼女が久しぶりに映画に出たということで見たオゾン監督の映画は、私的にはがっかりだった。歳をとったことを確認しただけでしたから。しかし、今回は見惚れました。そしてまた、なんていう映画に出てくれたのでしょうか!愛の嵐を思い出したのは、この映画でまさにあの氷のような顔をまた見たからです!教師として普通に過ごしてきた人生の最晩年で、夫との結婚45周年を祝うパーティー。なんのことはないはずだったのに、なんていうことでしょう!
映画は、えー、そこで終わるのっていう感じで終わります。驚きます。そして彼女の氷のような顔。凍りつく。けれど惹きつけられる。ボディブローですね。
まさに「愛の嵐」からほぼ45年たってるのに、その間の時間を吹き飛ばすような一瞬。それは、またこの映画の核心として、夫に起きること。だからそれにつながっている妻にも起きる。記憶の前に現実の積み上げなんて無力…4次元を生きる人間の恐ろしい一面なのでしょうか。この映画も「愛の嵐」も、図らずも副次的なものとして同じことを描いているのかもしれないです。
GO NOWって、やたら明るい曲がラストのクレジット流れる中、ラストシーンの上辺とその奥の心の絶望的で取り返しのつかない解離に、妙な?救いなのでしょうか。この後どうなるのか…怖すぎます。そして、美しい、シャーロット・ランプリング。見に行ってよかった。
目が離せない
冒頭のクレジット表記と連動して鳴るあの音。音だけ聞くと「これ何の音だっけ?」と思い出せないまま物語が始まっていく。そんなことを忘れてしばらく経ってから、まさかの解答が。しかも、こんな形で。。ラスト数秒?いや1秒にも満たない?あのシャーロット・ランプリングがこの映画を後に語り継がれる傑作に仕上げていて、あそこは観客にとって胸が締め付けられる行き所のない感情の拠り所であったりもするだろう。でもあの後、どうなったんだろう。。気になってしょうがない。
男は未練がましく、女は灰になるまで女
川崎チネチッタで2016/04/13に鑑賞。
仲むつまじかった老夫婦の元に、亭主の結婚前の恋人の死体が氷河の中から50年前のままで見つかったと知らせが来て、その恋人の記憶が亭主に蘇り、奥さんも次第に心穏やかでいられなくなるという話。
てっきり氷河まで遺体に会いに行ってそこから扇情的な展開があるのかと思っていたけど、奥さんに気を使ったのか行かないんだよね。展開に抑揚が無くて正直少し眠くなった。
しかし蘇る昔の恋人記憶は止めようもなく、こっそり隠し持っていた彼女の写真なんかを引っ張りだして隠れて見たりする。そうだよなあ、解る気がする。50年間も氷漬けになっていた彼女を忘れ、自分だけ幸せな結婚生活を送っていたという背徳感もあったろうし^^;でも一時的な感傷に過ぎないと思うのだけど、女性にしたら自分との結婚生活全部が偽りの気持ちだったのかと思ってしまうのかなあ?変にコソコソ隠れて感傷にふけったりするから奥さんも嫉妬するんだろうなあ。
むしろ堂々と彼女の遺体に会いに行って、涙の一つも流してあげて、けじめを付けた方が良かったんじゃないかなあ?
ラストのパーティの亭主のスピーチ、普通なら奥さんが泣いちゃいそうな感動的な内容だったのに、奥さんの表情は固い。
そしてラストにダンスの後、映った彼女の無表情が怖かった。
旦那さん、穏やかな人生の最期を迎えられるのかなあ、怖いですねえw夫婦で観ることをお勧めしますw
歳重ねても達観なんてそうはできない
今のキミは
いろんな経験を乗り越えたキミ
だからキミにどんな過去があったとしても
今のキミのことが大好きだから
ボクは気にしないよ…
などと若い時分のおいらは
さらっと口に出したりしたもんです。
でも長年を共に過ごした相手に
自分の知らない過去があり
しかもその過去が今も
心の天井裏を占めているとしたら…
信頼とはいとも脆いもの。
スライド写真を切り替える音は
ケイトとジェフの間に打ち込まれる楔の音。
おいらにはそのように響きました。
シャーロット・ランプリングの
気丈で静かな佇まいは
かえって内なる感情を想起させて
その様は時に痛々しくて
抱きしめてあげたくなること度々。
パーティーの行く末が
そしてケイトのその後の生活が
思い遣られてしかたありません。
おいらとしては
人生の同志として今後を過ごすことを
お勧めしたいのですが。
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