「ダメ男…」海よりもまだ深く 777さんの映画レビュー(感想・評価)
ダメ男…
探偵事務所で働く男が主人公。
そうそう金になる依頼は無いので、自分で情報を集めて、ある男子高校生が
女教師と交際している事実を掴めば「学校と親にバラされたくなければ
金を払え!」と脅迫する。
少年は金を払った後「俺はアンタみたいな大人にはならないよ」と言うと
主人公の男は負け惜しみに「自分のなりたい大人になれると思うなよ」
と言う。
子供を脅迫して得た金で生活する大人などには99.99%の者は
ならないのだから、どう考えても少年側が正しい。
そんな、何もかも「ダメ男」だが、女は「ダメな男ほど好きになって
しまう」というのが、理解できない。
それが演じるのが阿部寛という、背が高くイケメンでなく、名を知られて
いない顔が三枚目なら背も低い男優だったら、同様に女の観客は
好きになるか?
更に酷いのは、主人公が昔に小説で賞を得た時があるが、その後に
小説家として伸びず、ある時に出版社から久々に仕事の依頼が
入った場面。
それは小説ではなくマンガ原作の仕事であった。
編集者は「名前は別のペンネームを使いますので、アナタの小説家
としての名前に、傷は付きません」。
何だそれ? マンガ原作を書く作家に対して、不当に差別した表現。
小説家はレベルが上で、マンガ原作者はレベルが下と、誰が
決めた!?
更に是枝裕和が、前年のマンガを原作にした「海街diary」で賞を
取った翌年の作品がコレだ。
何だ? マンガに対しての恩を仇で返すやりかたは!
「海街diary」で賞を取った後に、この作品の場面を編集し直す
とか、考えなかったのか?
「そして父になる」の福山雅治の役は「金」は稼げるけどダメな男で
あったが、この作品は「『金』も『地位』も『名誉』も無い、何もかも
ダメ男」である。
詳しくはネタバレになるので書かないが「そして父になる」が
あまりに酷い尻切れトンボなラストだったので、この「全部ダメ男」の
ラストは、風で飛ばされた宝くじを拾い集めるという場面でしか、
この作品の落としどころが無かったのであろう…