劇場公開日 2016年5月21日

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「あと一歩だけ、もう一歩だけ前に。。思う作品」海よりもまだ深く コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0あと一歩だけ、もう一歩だけ前に。。思う作品

2023年6月11日
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鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

内容は、是枝監督の原作・脚本・監督作品。冴えない昔の栄光に縋り大人にならない阿部寛が離婚後の子供と元妻との生活に執着する。それらを取り巻く周囲を含める様々な人間が緻密に配置され右往左往する物語。印象的な言葉は、『いや俺はリョウタ(阿部寛)さんに救われましたから、恩がありますから・・・覚えてなけりゃいいんです!』との探偵事務所の同僚池松との会話。自分がリョウタに恩があるとの事で劇中では明かされていないが、阿部寛の人間性が分かる場面。自分は他人からの愛情を受けているのにも気付かずに相手には与えている深い愛情の単純な繋がりを感じた一場面です。ハナレグミの深呼吸にもその後の話か未来の話かを暗示させるようなプロモーションビデオを見て余計に世界観を妄想させました。印象的な状態は、無駄のない場面展開と風や天候が絶妙に演出されているのに驚きました。心象風景のスケッチを表現している様で美しい。印象的な場面は、🐙滑り台の中で元夫婦が大雨の中語り合う場面。別れの予感から着想したと言う事ですが愛別離苦の表現が余韻を残し、賛否両論あるとは思いますが面白い作品だと感じました。樹木希林(母)と阿部寛(弟)と小林聡美(姉)は本当の家族かと思える程の距離感と親近感は素晴らしく見応えのある自然な生活風景の映像でした。先日是枝監督の最新作『怪物』を観てパンフレットの中で脚本家坂本裕二さんが好きな是枝作品と言われていたので鑑賞しました。人間模様を描き出す間と会話のやり取りには笑えるエッセンスと名言が散りばめられ最後にはカタルシスの解放へと細やかな希望が観ていて爽やかな気持ちになる元気の出る作品です。ハナレグミの深呼吸の歌詞にも出ている通り、自分が自分を信じられない時も自分を信じてくれた人がいて、一歩だけ、後一歩だけ、もう一歩だけ前にっ・・・♪ 曲終わり部分に心が震えました。

コバヤシマル