「未練タラタラ」海よりもまだ深く odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
未練タラタラ
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タイトルは劇中歌のテレサテンの「別れの予感」の歌詞からとったそうだが、「海より深い・・」と言えば古今東西、母の子への愛として使われる常套句だが家族愛全体を言っているのでしょう。
これまでにもライフワークのように様々な家族の形を映画化してきた是枝監督、今回は離婚してしまった元家族を追っています。離婚大国のアメリカ映画によくありそうなプロット、海外の映画祭の常連でもありますので狙ったのでしょう。
ところが、観ての感想は役者さんの魅力以外は凡庸につきますね。
主人公はギャンブル好きで年金暮らしの母親の金までくすねる非道ぶり、どうしようもない残念な中年男、妻にも愛想を尽かされたものの未練たらしく、うじうじと付きまとう様を延々描くので観ていて辛い。
作家志望だから生活力に欠けているのは仕方ないと思うが、是枝さんのキャラ設定には疑問。
いい年をして倫理観に欠け、自己中心的な性格付けはどうかと思う。多少、リアリティを犠牲にしても爽やかさを感じる阿部さんを描いて欲しかった。
それでも主演が阿部寛さんだから悪い人には思えず救われています、そしてこれまた、母親役が一癖ある樹木希林さん、このご両人の掛け合いがこれまた素晴らしいのでなんとか観ていられました。
最後にかかる主題歌、是枝監督ご指名のハナレグミこと永積 崇の「深呼吸」、この映画の為の書き下ろしだそうだが日本語のイントネーションとは異なる抑揚の個性的な歌い方に違和感がきつく、醒めてしまいました。もちろん、感性は人それぞれですから良い悪いは言えませんがね・・。まあ、是枝作品は才能は別として感性的に私にはピンとこないと言うのが実感でした。
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