「「純文学は死んだ。」」海よりもまだ深く 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
「純文学は死んだ。」
「純文学は死んだんだよ」のような台詞が劇中にあったが、まさにその通りを体現する一本。
近頃不発の続いた是枝監督の、本領発揮。
「なんでも無いようなことが幸せだったと思う」いつものテーマの裏の悲喜こもごもが、主演のネームバリューに食いつぶされた「海街」や、設定の特異さでイマイチだった「歩いても歩いても」と比べて非常に伝わりやすく良かった。
ただ。
「観終えて何の感想も湧かなかったわ~久々のハズレ引いたわ~」
鑑賞後のエレベーターに乗り合わせたカップルの女性の言葉。
そもそもソコが是枝映画なのに、多分にこれが今の日本の観客の実情なんだろう。
「映画を観る」のではなく、「観に行ってやる」自分物差しの風潮。
分かりやすく噛み砕いてもらわないと観られず、分からなければ理屈抜きでプンスカする。
喉から手が出るほどに欲しい製作費を、「フジテレビ映画」に頼ったのも大問題だなぁ。
フジと関わって評価が上がった映画がかつて一作品も無いし、むしろ日本映画を腐らせた元凶なんだもの。
監督との噛み合わせが悪すぎるし、儲け至上での宣伝がマッチする作品では無いのがまた不幸なんだよ。
作家性と商業性のまさに波打際を見た作品。
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