劇場公開日 2016年10月1日

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「悩み多き高校生、バンドはうまくいくのか?」イエスタデイ(2014) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悩み多き高校生、バンドはうまくいくのか?

2020年1月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ビートルズの新発売のレコードにリアルタイムで感動している高校生たち。やっぱりコレだよな~などとワイワイ騒いでいたけど、グンナーの兄ちゃんもバンドをやりながらベトナム反戦運動に目覚めていく様子がサブストーリーとして存在する。

 生まれたときからポールに似てると言われていたキムはベースしかないと確信していたが、映画館で出会った少女ニーナに恋をしてしまう。別れ際のキスが忘れられず、本名も住まいもわからないままラブレターを書き続ける。これがそのまま歌詞にすれば立派な曲になるだろうになと、大人目線で見てしまう。

 それぞれ抱える悩みも違うが、転校生セシリアの出現によってキムは新たに恋をする。絡んだヘビを離してあげたことでセシリアもまんざらではないのだが、付き合い方もぎこちないキム。彼女は金持ちのお嬢様なのだが、父親に会うと、外国語でパーティで演奏しなさいなどとチャンスをくれる。しかし、借りたアンプが故障して、パーティはしっちゃかめっちゃか。他の3人のメンバーもそれぞれ悩みを解消したように開き直り、あるライブハウスに出演することも決まるのだが・・・

 60年代のアメリカ青春映画にも似ていて、骸骨の標本ダンスなんてのは既視感いっぱい。音楽や恋よりもタバコや酒に溺れるんじゃないかと心配もさせるけど、自分の信じた道を進むことに明るさと誠実さが現れていた。音楽もビートルズだけじゃない!ブルースで曲を作るんだという現実も潔かった。終盤にはベトナム反戦デモも描かれていて、当時の世相と音楽・恋愛という青春そのものが自分の若き時代も想起させてくれて、どことなく懐かしい気分に浸れることができました。

 ビートルズの音源としては「シー・ラブズ・ユー」、「Sgt.ペパーズ」、「レット・イット・ビー」のみ。途中、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」もカッコよく演奏するが、どことなく妄想みたいだった。でも、ビートルズとオセロのバンドメンバーがいなければ紡げなかった青春時代。しみじみと懐古的雰囲気に浸れる作品。

kossy