好きにならずにいられないのレビュー・感想・評価
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じわじわ
主人公フーシは見かけは太くてオタク気質だけど、とびきり優しい奴。職場の同僚や近所の人がきつい対応を後日謝罪しても「気にするな」と一言。情緒不安定でコロコロ対応が変わる彼女にも常に優しく接していました。
一方で友人やラジオDJ、タイ料理屋の主人、彼女の代わりに働いた職場の人たちが彼に好意的に接してくれます。
その彼らのフーシに向ける行為が彼の人間の器量の良さを極わだせていきます。特にいじめられるんじゃないか、そわそわして、パブでまさかビールを奢られる時の拍子抜けした表情はかわいかった笑 フーシの仕事ぶりがみんなに評価されたんだぞ、っつぶやいちゃいました。
見返りなんていらない、フーシの優しさに「じわじわ」させられた佳作でした。
その献身的な愛情ってどこから湧き出てくるんだろうって思った。 愛す...
途中ちょっと寝た
余裕がなくなったら何度でも観たい
クッションシールドのような愛
愛情とは、全身を包む柔らかいクッションシールドに例えることができる。
近くにいる人間を傷つけることなく守り、 自分自身も守るからだ。
時には、その柔らかさに甘えるために、人が近づいてくることもある。
しかし、クッションシールドのような愛情を持つ者は少ない。
なぜなら、その愛情は、作るのも保持するのも難しいからだ。
我欲が邪魔し、愛情はすぐに冷たい欲望の薄皮になってしまうのだ。
主人公を取り巻く人たちも、 うまく愛情を持てない俗物ばかり。 見た目の冴えない主人公に同情や蔑みを投げかけるが、 実際は、 彼の愛情にもたれかかって甘えているに過ぎない。
主人公のふくよかで立派な体格は、彼の愛情の柔らかさを象徴している。 なんでも作ったり直したりできる器用さは、 彼の愛情を生み出し続ける能力を暗示している
クッションシールドのような愛があれば、温かく生きていけるのだ。
そんな生き方の見本を見せてくれる、良質な一本である。
隠れた名作
繰り返すだけの、先の見えない毎日が頭っから見て取れる日常。
少し陰鬱なこの作品。楽曲や音楽が実にうまく挟まれていて、作品にすごくフィットしているんです。
主人公は気の優しいホビーマニア。自分もそっち側なんで何だか気持ちが良くわかるんですね。
そんな中でも踏み出す彼のその一歩は素晴らしい。
ダンス教室で知り合った彼女のリクエストは「アイランド・インザ・ストリーム」、服装も顔立ちもカントリーな彼女にはピッタリでした。
ダンスに触れ、外の世界を見ようと決めて、恋をして、どんどん新しい世界に歩み出すフーシ。
光が差したと思ったらすぐ陰ってしまう、ひたすらこれの繰り返し。
それでどうしても彼から目が離せないんですね。
そうして楽しみにしていた旅行は、ため息と共に終わる少し寂しい物語。それでもネガティブな部分だけでなく、楔のように深く心に刺さる作品でもありました。
隠れた名作です。
誰も成長しない話
《お知らせ》
「星のナターシャ」です。
うっかり、自分のアカウントにログインできない状態にしていまいました。(バカ)
前のアカウントの削除や取り消しもできないので、
これからは「星のナターシャnova」として
以前の投稿をポチポチ転記しますのでよろしくお願いいたします。
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ポスターを観た時はコメディー映画なのかな〜と思ったのだけど
ああ、何と悲しい映画だろうか〜。
途中まではとても良かった!
始めて女性と接する童貞男のためらいや淡い期待が
画面の中に溢れてて、ワクワクし、思わずフーシ、頑張れ!
と呟きそうになった。
大男で、見た目は全く冴えないけど
大事にしている戦争ゴッコのおもちゃが
丁寧にパッキングしてある様子や
同僚の車のエンジン音だけで調子を聞き分けるなど
本当はとてもとても繊細な男である事が解る。
料理だって出来るし大工仕事も起用にこなす。
なんでも出来る男なのに
優しくする事しか出来ない彼は最後まで優しさしか見せない。
自分の立場が悪くなっても言い訳も出来ない〜〜
そのせいで、犯罪者扱いされてしまう。
優しさ故にストーカーまがいの事をやらかす辺りから
ヤバイんじゃね?と言う空気が漂う。
優しい事は大事なのだけどもう一歩進んで、
時には強くなって何かを動かせなければ、優しさの意味が無い。
正に「強くなければ生きて行けない。
優しくなければ生きてう資格がない。」
レイモンド・チャンドラーの名言の通り。
ヒロインが途中から完全に思考停止してしまい
全く魅力が無くなって、単なるぶち切れ女に成り下がる。
そこも、入り込めない所なんだけど
この映画の様な「男は黙って〜〜」みたいな終り方が
カッコ良いと思ってる事自体が男性目線の映画なんだよな〜〜
女にとっては、「優しいだけの男」では、ダメなんだよ…
アイスランド映画って初めて見たと思う
あまりにもレビューの評判が良いので安心して視聴。
なるほど、こういうのは「好きだわー」って自信持って言える類のものだ。
高緯度の国アイスランド。
イギリスの更に北の方にぽつんと浮かぶ島。
(デンマークと交流があるんだなあ、合作という事は。
調べたら、しばらくデンマークの統治下にあったと判明)
当初、聞いた事もない言語で、いったいここは何処だろうと思いながら、寒そうな町を眺めた。
淡々とした映像に、突然挟まる母親とボーイフレンドの性行為。
成長出来ない高校男子以上に成長してない四十男。
ジオラマ作って戦争ごっこしてる。
振り回す方の彼女はもう詐欺罪レベルのメンヘラぶり。
主人公フーシに思い入れを持てば、かなり許せないんだけれど
フーシの友人は、何も言わずに彼を手伝う。
散らかった彼女の部屋を片付け食事を作り、彼女の代わりに仕事して、(挙句に仲間も出来る。)
悪気がなければ
そして、病んでいるのだから
許せる? いやいや
ゴミ女呼ばわりする母の気持ちは少しわかる、のに
初めての彼の恋を、喜ばしいと思う友人の気持ちがあたたかい。
主人公のインタビューで
当初、エジプトには行く予定だったが予算の都合でここで終わったとあった。
監督側の話だと、そこはいらない となったと。
この物語は完全なあてがき で、彼が受けないなら作らなかった映画だったとあった。
映画の手法としては、説明的な部分は全て省き
完結にストーリーが進む心地よさがある。
確かにエジプト行きがなく アイスランド国内で完結している良さはある。
誰もが言う 日本国内向けのポスターは間違っていると思う。この映画の解釈をしてなお このポスターにしたのなら
日本の映画ファンをわかっていない。侮り過ぎです。
もちろん題名も。
もうちょっと何とかならなかったのか?
メンヘラ
アイスランド映画いいな
超一途な大柄男の恋路
屈折しないフーシ
毒親からの巣立ち
映画を見ているとフーシーはシングルマザーの家庭で育ったことがわかる。序盤でフーシーに対していろいろ講釈たれる白髪の男は、実は母親のボーイフレンドであり、しかもその男と白昼堂々、おまけに息子の目の前で情事に及ぶなど母親もまともではない人とわかる。そんな母親は43の自分の息子にようやく出来たガールフレンドをヘボ女と罵ったり、息子が別居すると言ったら放心状態になったりと、いかに息子を拘束してきたのかが描かれている。
そうしたことの弊害が他の人と築く関係性にどう作用するかこの映画では上手く表現されているなと感じた。最後の場面でフーシーは一人で飛行機で飛び立つのだが、前述の文脈と映画を照らし合わせてみると、それはまさにフーシーにとって巣立ちの瞬間なのだと感じた。
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