「こんっな良い映画ない!」好きにならずにいられない 元カレ嫌いさんの映画レビュー(感想・評価)
こんっな良い映画ない!
ポスターが元と日本用で全く違うことで有名なこの作品。
内容は、こんなに良い映画無い…。
しかし、人によっては苦しくて悲しくて切なくて、観れないかもしれない。
本当に本当に、上手に、「孤独」「鬱」「純粋」について描かれているから。
そしてとにかく映像が綺麗で、役者が上手い!
本当にある世界を観ているかのよう。
BGMもあざとくなく絶妙に切なさを揺さぶってくる。
もう、いたる所で、フーシ!可哀想(ToT)ってなる。
でも、いたる所で、フーシ!可愛い(ToT)ってなる。
しかしながら、原題のVirginMountainで良いと思うし、ポスターもなぜあんなに落書きいっぱい書いてフーシを罵りまくったのか。分かりやすさのためか。そうか。
この映画に可愛い要素がある事は理解できたが。
邦題の「好きにならずにいられない」というのも理解できるが。
説明的すぎて。
フーシが愛されるべき孤独な大男というのは、題名によってではなく、映画を鑑賞して感じ取りたいところ。
一見全てが陰気に不幸に浸かっているように見えるかも知れないが、フーシの優しさを軸に、幸せがいっぱい詰まっている。
独りであることが当たり前なので空回る事もあるが、独りであることを最大限に満喫しているようにも見えて、私には羨ましくも見えた。
それに、フーシは良い奴だから、分かる人には愛されているし、猫も直ぐ懐いてて。
華やかな世界、羨ましがられるような職やお洒落な生活じゃないが、そこに拘ってその中で生きていないし、幸せが確かにある。
落ち込んでしまうような事ばかりあるが、フーシは我慢や忍耐とかで生きてるんじゃなく、それが当たり前で、でも芯があって、でも外向的にはなれなくて。
しかし、最後に彼は旅行へと行く。初めての旅立ち。
愛した彼女に、最高のプレゼントを残して。たぶん、ただ彼女に元気になってほしいから。
そして、外向的なのが良い!って言うのではなく、一人の友人や、恋人フェイダをはじめ、タイ料理店の店員、ラジオDJ、ゴミ収集の仕事仲間などといった、人と友好的に過ごすことの価値を丁寧に映し出している。
フーシは、「一人でいたいんだ!放っといてくれ!」とか、「ケッ。私は偏屈なんだ、だから一人で良いのだ。」みたいな所が無いから良い。
だから優しい。気取ってない。怖くない。
私はこの映画を観れて良かったし、感動して涙が出たし、何回も観ているので、そろそろDVD買おうかなと思っている。
鬱の時や悲しい時に、こんな慈愛に溢れた人間に出逢いたいし、自分もフーシみたいな心の持ち主でありたいなと思った。