「不穏な空気と印象的な海のイメージ」ルイの9番目の人生 テツさんの映画レビュー(感想・評価)
不穏な空気と印象的な海のイメージ
不思議な物語だなと
オープニングではルイの今までに遭遇した命の危険が語られ、彼の人生を軽く紹介してくれる。
そこから、現在パートに移る。
崖から落ちて、ルイは意識不明。容疑者の父親は行方不明となり、指名手配とサスペンスな要素が続く。
そこに担当医パスカルが絡んでいくのだが、母親がどこか不穏な空気を醸しだしつつ、パスカルへの距離を詰めていくので、まさしく「男ってバカだな」状態に
最初は意識不明のパートと彼のモノローグで語られる過去がどう結びついて、どういう結末を迎えるのか予想がつかなかったが、“真犯人”については割と早い段階に察せるので、そこのハラハラはない(それでもどのような結末を迎えるのか気になって行くのだが)
彼の過去が明らかになるモノローグパートも彼の家族や彼自身に不穏な空気といか怪しげな雰囲気がずっと漂っているので目が離せない。
そして、パスカルの悪夢や奇妙な手紙から物語は予想外の展開へとシフトする。
パスカルとルイが何故あのような形で繋がり、手紙を書いたり、催眠状態時にはルイの経験を語ることが出来たのかは不透明(納得しきれない部分ではある。そこまでリンクするほど傾倒していたかと言われると?だし、母親の誘惑に負けてるし)だが、そこは置いておくか。
真相としては今までの全ての命の危険は母親が犯人であり、彼も大きくなるにつれ自分から母親の望むように命の危険に晒されにいったというわけで
自分と血が繋がっていながらも、歪んだ愛で繋がった母親と血の繋がりは無くとも真っ直ぐな愛で繋がっていた父親との親と子のドラマだとまとめればいいだろうか?
そこにどこかファンタジーというか不思議な要素が加わり、物語を盛り上げていると言えばいいかな?
あとは海のイメージが印象的(落ちた場所やクラゲのイメージ、シーワールド、“愛してる“の時に言ったセリフ、そしてエンディングの曲)
全て分かった上でのラストの父親とのシーンは愛を感じる良い場面でした