「君の声が聞こえる」ソング・オブ・ザ・シー 海のうた サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
君の声が聞こえる
ジブリ in Irelandみたいな映画。
息を飲むほど美しく、思わず圧倒されてしまうとんでも世界観。ジブリ映画を初めて見た時の感覚に、ものすごく似ている。なんて綺麗なんだ、なんて尊いんだ。初めて見る世界。何もが新鮮で目をキラキラさせてしまう。海や山などの大自然の接写にもうっとり。
そんな驚愕のアニメーションだけでもお釣りが返ってくるほどなのに、ストーリーだってこれまで体感したことの無いくらい神秘的で、言葉で表すのは至難の技だけど、もうとにかくこの映画の全てに惹かれた。
精霊とか魔法とか、浮世離れした設定は個人的に苦手で、鑑賞前はハマれるかかなり不安だった。のだけど、冒険を通して成長し、成熟していく兄弟愛・家族愛という、普遍的でどストレートだけど、この不思議な設定と見事に噛み合い、謎の説得力で強く心に響いてしまった。
主人公のベン、非常に人間味があってめちゃくちゃいい。強がっているけど、実は臆病。妹と互いに助け合いながら待ち構える苦難に打ち勝っていく。このベタな成長物語が無性に刺さるんだわ...。愛犬・クーも最高にいい。幼少期にこんな完璧な相棒がいれば、親も子も心強いよな〜。
冒頭とラスト。この対比もすごく上手に構成されている。いい人たち、いい精霊たちばかり。一見嫌な人でも心は寂しさで溢れていて、ベンが自身の成長と共に、一緒になって人生の大きな一歩を踏み出す。いやぁ〜、たまらんなぁ〜...。こんなアニメが見たかった。2014年の映画。アカデミー賞ノミネートされたことも、存在自体も全然知らなかったけど、こうやって見ることが、しかも映画館で、本当に良かった。もうすっかりお父さんの気分だよおお、、、。