「「シンゴジラ」に追い出され、締め出された子供たちが楽しめる最後の夏休み映画」ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ) しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
「シンゴジラ」に追い出され、締め出された子供たちが楽しめる最後の夏休み映画
前作「ミュータント・タートルズ」を見て、グロい亀と美女の組み合わせに、要らぬ妄想ばかりが先走ってはいたが、十分楽しい映画だった。
だが、「ニンジャ」の原題が邦題に欠けていたことに、少しだけ不満を持っていた。
だが、やはり前作の当時のベイ流行りの縦アクションと、とっても独特な雪山下りアクションが楽しかったのと、4人の亀が頭、じゃない、顔とキャラが楽しく、こりゃ続編できたらいいな、と思ったら、できちゃった。
「ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)」
吹き替え版を鑑賞。
今回は邦題に「ニンジャ」をつけてきましたな。よしよし。だが、なぜに「ティーンエイジ」をつけないのか。今回は尻の青い亀がいつまでも子供じゃいられない境遇に苦しむ物語だ。
影に生きてきた亀どもが、表に立って、顔を出して、人間の生活が出来るかも、という秘薬の登場で、苦悩し、意見が割れ、仲間割れをしてしまうのである。
だが、しょせん亀映画。どんなに悩もうが、予想通りのところに収まる。
登場人物も箇条書きで語れる程度のものである。4匹のグロく、デカイ亀。亀の扱いが上手な美女。ただのイケメン。ボケ担当。悪役。もっと悪役。バカ手下。力関係が分からない雑魚ニンジャ。
それぞれ与えられた役割そのままの働きを繰り広げてくれる。
その中で特筆なのは、バカ手下の2人のサイとイノシシ。
吹き替えは宮川大輔と藤森慎吾。これがうまい。確かに好き放題アドリブ可能なキャラではある。関西弁とサイ、というのがなぜかとてもピッタリな宮川さん。藤森さんのほうは、もっとチャラくてもよかったか。
アクションも新味と前作からの発展形が見て取れた。スカイダイビングからの、川下りアクションが特に素晴らしい。スカイダイビングの浮遊感と疾走感、川下りの水の質感。
CGの滑らかさがこれ見よがしでないところが素晴らしい。
確かに終盤に向けての展開は、もうこれまで散々、「トランスフォーマー ダークサイドムーン」「アベンジャーズ」で観てきたもの。そこにはまるで新味はない。
だが、それでいいのである。オプティマス・プライムやアイアンマンが戦った敵のようなものに亀が立ち向かうこと設定で、それでいいではないか。
キャラクター設定もアクションも何も裏切らない。これこそ、「シンゴジラ」に追い出された、締め出された子供たちが楽しめる最後の夏休み映画。
亀はグロくとも、いずれはみんなそうなるのだから、今のうちに見慣れておくのも良いだろう。
見た目はグロいが、責任感が強く、猛々しく、知的で、可愛らしい。
これこそ、まさしく亀。
この映画は、成長手前の少年が、亀を通して強い大人になることを憧れるような、ヒーローものなのだ。
追記
今回の敵との対戦で、警察との共闘で、「一皮むけた」亀の今後も楽しみだし、、サイとイノシシの生死も明らかになっていない。
続編どんどんつくってほしいなあ。