神様メールのレビュー・感想・評価
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かわいく生死を扱う作品
かわいい系の映画のようだけど、かわいいだけじゃない。重い……そう!これは、かわおも映画!(は?)
もとい、
「ぼーっとしてるともったいない」と、自発的に思わせてくれる作品です。
ちょっと今すぐに繰り返し観賞するには気が進まないので(重くて)、
繰り返し観賞することがあるかわからないけど、
作品じたいのストーリー(?)は、
主人公の「勝手な父親への怒りや反発、それと自立」くらいしか読み取れなかったんだけど
この映画は、ストーリーやキャラクターをたのしむよりも、
全体を俯瞰から眺めるというか…
観賞後に、「死ぬことと生きること」を観るものに考えさせるというメッセージがものすごく強い。
さらには、ラストね。
神様から女神さまに世代交代されるんだけど、
神様がつくった「決まりごと」は、「再起動」により
新しい「決まりごと」に生まれ変わる。女神さまが創っていく。
神様がつくった人間たちの、神様が決めた余命データは削除され、
女神さまは、七色のような色鮮やかな花を空に咲かせた。
それはまるで、運命は決められたものじゃない、と言っているように見えた。
「自分が生きたいように一所懸命生きるのよ(余命なんか気にしないで)、
命はたのしい素晴らしいものよ、謳歌しなさい」と言ってるように思えた。
答えに正解はない。
重要なのは、ひとりひとりが考えること、自分の生き方と向き合うことに。
もしも自分なりの答えを出して持つことができれば、
これから自分が生きていく指針になるのだと思う。
あ、そうすると…、さっきキャラクターを楽しむ作品じゃないって言っちゃったけど、使徒たちそれぞれの生き方は見張るものがありますね。
聖書とか使徒?とかまったく知らないけど
わかったらもっと楽しめたかな?
逆にいうと、知らなくても観れます。
すごい作品でした。
監督からの「分かりやすい優しい」メール。
生涯ベスト、という映画の評価や考えることはしたことがない。生涯で好きな映画は変わるからだ。というのはあまのじゃくなオレでなくてもそうだと思う。例えば「ロッキー」が好きだったころはあっても、今では「ロッキー4」のほうが好きなのだが、それは、オレがいつ、どういう状況で観たか、ということのほうが、映画の質よりも大事だと思っているからだ。
「ロッキー」があったからこそ、スタローンはスターになったが、「ロッキー4」があったからこそ「オレの」スターになった。
映画とはそういうものだ。
そんなオレでも、いまだかつてない映画体験をした1本がある。質とか、どういう状況とか一切関係なく、オレのチンケな脳みそを揺らして、なだめて、覚醒させた1本がある。
「ミスターノーバディ」
ジャコ・バン・ドルマルの名前はオレの脳みそに刻み込まれてしまった。その彼の最新作がいよいよ公開される(というよりひっそりか)という。
観るのが怖い。うれしすぎて怖い。だが、あれ以上のモノは出てきやしないのでは、という不安もある。
気付けば、出張帰りの新横浜から直接ららぽーと横浜へ。
「神様メール」
神様批判等のくだりはここでは触れない。分からないし。
というより、そんな見方をしては、この映画の「陽気さ」「優しさ」「美しさ」を斜に構えてしまって見損なってはもったいない限りだ。
前作「ミスターノーバディ」は、人生の分岐点ですべての選択肢を実践した男が、選べる可能性こそ、「人生の豊かさ」、「人の豊かさ」と知った物語とするならば、今回は選択を奪われた人たちの、生き様をどう締めくくるか、という物語。
締めくくる、というのは、神様が使うPCからメールで余命を宣告された、というものだが、その設定はどうでもよくて、締めくくる、という状況を強制的に与えられたら何をするか、という、まあ、よくある余命もの、といってもいい。
そう、前作とは、設定が違えど、これもまた、人生賛歌。
人は重大な局面に直面すると、心のままに、行動することができるか?それぞれの登場人物を描く、ある種のオムニバスもの、と言ってもいいだろう。
それを、「とんでもない」美しい映像で描くのだから、たまらない。
特に、余命を知って保険屋から「狙撃者」になった男のエピソードが美しい。特に鏡に映った自分との抱擁。(書いても意味わからんよな)には、一瞬にして本気で涙がこぼれてしまった。
また登場人物それぞれの心の中にある「音楽」がこれまた、美しい。クラシックに疎いオレでも、なんとその人物とシンクロした選曲なのか、と息をのむほど。
前作「ミスターノーバディ」が役者、映像、音楽、脚本、演出とパーフェクトだったのに対して、今回は徹底してコメディ色を強め、前作よりも分かりやすく俺たちを応援する。
分かりやすい、というのが今回最もドルマルが狙った点なのかもしれない。
神様批判、風刺、というには、鑑賞後、こちらの心が優しくなりすぎている。
追記
次は何年待たされるのだろうか。楽しみで、不安でたまらない。
好みが極端に分かれるシニカルなコメディ
セリフが文学的なのか、たまたま翻訳字幕担当の松浦美奈さんの意思が働いたのか、はっきりしませんが、使われる言葉は直感的で、無機質な塊のようなものばかりです。
日本人の大多数は、一神教に対するニュートラルな志向があるので、案外、抵抗なくこの映画の世界観を受け入れられるのかもしれません。
神様が、そこら辺にいるようなむさいおじさんで、そのあまりに暴虐な振る舞いに我慢できなくなった神の子エアが、兄である同じ神の子イエスのアドバイスに従って、人類の救済を求めて6人の使徒を探して旅をするという風変わりなコメディです。
見せ方がとてもスタイリッシュで、人間の「余命」がメールで届くというシチュエーションを一瞬で分からしめる面白さや、探し当てた使徒たちの、それぞれが持つ奇妙な価値観に共感を覚える語り口に加え、ダビンチの名画「最後の晩餐」を使った使徒たちが増えていくヴィジュアルなど、おとぎ話として楽しめる映画です。
神職の男が実物の神に馬乗りで殴り掛かったり、結婚関係の破綻よりも目の前の欲望を優先する人間の業など、シニカルな目線で愚かさをあぶり出し、神様を信じる人には受け入れがたいような描写があふれていますが、あえてタブーに挑んだブラックなユーモアが新鮮な驚きを感じます。
ひとりの少女のロードムービーとして見ても、楽しめますね。
ただし、結末にはかなりがっかりしました。とにかく、ありとあらゆる秩序が崩壊するさまを、肯定的に、ライトに、受け入れてしまう人間なんて、そんなにたくさんいるでしょうか?
エンディング前までは今年ベスト級
そもそもファンタジー系の作品であったが、ラストはよりファンシーでファンタジーになって、もう少し控え目に着地してくれればと不満が出てしまった。
それでも、そこに至るまでは本当に面白くて、こんなに面白い脚本はそうそうないぞというくらいで、今年観た映画の中でもベスト級になり得た。
と、かなりテンション高く感じていたのだけれど、どうやら全くつまらない人もいるようだ。
どんな作品でもつまらないと言う人はいるが、本作の場合は人数が多いように見える。
いくつかレビューを読むかぎり、この作品を楽しむためには、ほんの少し聖書についての知識が必要なようだ。
私は不可知論者だ。だからかどうか分からないけれど、神を信奉する人に興味があるし、神にも興味がある。
興味があるから聖書や神についての映画は結構好きで、よく観る。
聖書は読んだことはないけれど、多少のことは分かる。
聖書をなぞった多少のことや、創世についての多少のことくらいの予備知識は必要かもしれない。
内容について。
神の行為や、聖書関連についてコメディ調で非常に笑えた。聖書を知らなくとも笑えるところはあったと思ったが、つまらなかった人はそのへんはどうなんだろう。基本的にはコメディだと思うのだが。
神関連のパートがコメディである一方で、余命を知らされた人間たちのシリアスさがギャップとなって不思議な雰囲気をかもすのが良い。
人間たちは、余命のせいで無気力になる者や有意義に過ごそうとする者など様々な態度をとり、そこも興味深い。つまりはどう生きるかの問題であり、余命を知らなくとも本来なら考えなければならないことでもある。人は必ずいつか死ぬのだから。
もっと言うならば、神は生き方にまでは干渉してこないわけで、神の存在そのものが大した意味を持たないことも意味する。
神様の物語であり人間の物語でもある。関係しているようで絶妙に関係していないところがいい。
あとは、エアが人間界で最初に出会うホームレスの男性がいいキャラクターだと思った。
彼は筆記係で使徒ではないが唯一、エアとずっと行動を共にする。
最初こそ当然ながら全くエアを受け入れないが、次第に口数が少なく表情も真剣に変わっていく様は面白い。
神と対峙した場面ではエアを守ろうと立ち塞がったりもした。
なんでこの人、使徒じゃないんだ。多分エアに一番傾倒してたぞ。
男的なものの終焉
笑える所もあるし、楽しい展開もあるけど
本当の所を理解しようとすると、結構難しい作品かも〜〜
神様が単なる横暴親父と言う設定は
男性中心社会の行き詰まりを感じさせる。
特権階級男性=神様によって行き詰まった社会を救うのは
主人公の少女や少年であり、ホームレスの男性であり
心を病みかけている男女であり、
何より全く存在を無視されている奥さんだったり、
何の特権も力も無い人々。
その構図がやっぱ面白いよね〜〜。
日々の世界の酷い出来事の連続に
ともすれば絶望しそうになるけど
世界を救うのは名も無き人々、と思えば
少し希望が持てるかも〜〜
そんな映画に思えました。
寿命メールを受けとって、
色んな事にチャレンジするお馬鹿な兄ちゃんが
要所要所でいい味出してます。(笑)
意外にシリアスもの
コメディと思って観たが全然違っていて、どちらかというとシリアスものに近い。それはそれで良かったのだが、最後の展開でそれまでの雰囲気を台無しにしてしまった。
あと、カトリーヌ・ドヌーヴが出ていて、結構うまい演技をしているが、 彼女の若い頃にファンだった私としては、この映画のあのような役をやるのを見るのは、ちょっと辛いな。
私だったら
ドジな神様の作り出した世界で
奇想天外
もし自分の余命を知ったらどうなるのだろうをテーマにおかしな神様の娘が自分の使徒を見つけて新・新約聖書を作ろうとする奇想天外なぶっ飛んだコメディ。(子役がでているが子供には見せられません)
神様一家がおかしいのは勿論、使徒も癖が強い面々、荒唐無稽も極まれり、ドヌーブの彼氏がサーカスのゴリラとはなんたる暴挙。
神様一家がしがないアパート暮らし、おまけに人間並みの生活感、父はエホバの神らしいがサディストで暴君、DV親父、兄がキリストで主人公のエア(ピリ・グロワーヌ)はその妹、ここまでは良いとしてお母さんはマリアだったら女神ではないでしょう、後妻かな?
原題:Le Tout Nouveau Testamentは新約聖書の意。父が旧約聖書、兄が新約聖書なら妹は新・新約聖書、新しい福音書を作って人を幸せにしたいという健気な志。
使徒候補はランダムに抜いてきた人別帳による、外見や体臭のように人それぞれに心の音楽と言うものがあるとしてイメージソングをつけて遊ぶのだがなかなか凝った選曲。
6人の使徒が揃ったことで奇跡が起こるのだが観てのお楽しみ。
・第一使徒:オーレリ(ローラ・ヴァーリンデン)は片腕の美女。座右の銘「人生はスケート場、大勢が滑って転ぶ」。ソウル曲:ヘンデルのアリア「私を泣かせてください」
・第二使徒:ジャン・クロード(ディディエ・デ・ネック)は独身中年、小鳥に導かれて憧れの冒険の旅に出る。ソウル曲:ラモーの「鳥のさえずり」
・第三使徒:マルク(セルジュ・ラリヴィエール)は性的妄想癖(全裸の女性多数出演)のもてない中年、初恋の娘に再会し愛を知る。ソウル曲:パーセルの歌曲「ソリチュード」
・第四使徒:フランソワ(フランソワ・ダミアン)は妻子持ちのセールスマンだが殺しが趣味の異常性格者、エアのおせっかいでオーレリに恋してしまう。ソウル曲:シューベルト「死と乙女」
・第五使徒:マルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は有閑マダム、ついにはゴリラと同棲。ソウル曲:「サンダーとブレイズ」
・第六使徒:ウィリー(ロマン・ブライド)は異常な母親のせいで膵臓を痛め余命わずかの少年、最後の望みは女性になること。ソウル曲:シャルル・トレネの「ラ・メール」
発想と映像と音楽の美しさ
フランス映画?というようなシュールな要素が所々にあった。
全体的に音楽が暗めなので少し眠くなりそうだったが(笑)言葉も映像もシュールなオシャレさがあって素敵だった。
結局全て性的な要素に繋がる部分が少し嫌な気がしたけど、ゴリラと愛し合う女性がいる辺りで嬉しかった(=^^=)
左手が踊っているところは何故か涙が出そうになった。
好き勝手に人々を苦しめた神様には、自業自得で全て悪いことが起こっていくのが面白かった。笑
私が余命宣告をされたら、逆にそこまでの間は無敵ということだからなんでも出来る気がしてしまうかもしれない。
常に死を意識して生きれたら、強くなれそうだと思った。
ファンタジーすぎて、最初は意味がわからなかった(笑)。
兄貴よ、お前はなにもせんのか
聖書にも出てこない神の娘、架空の妹エアちゃん。
古いパソコンを駆使し世界を操る神は、手は挙げないもののドメスティックバイオレンス気味で高圧的。
そんな父から隠れるようにミニチュア人形のふりをする息子(キリスト)、苛められる母(女神)。
そんな神の姿は、私から見ればイメージ通り。旧約聖書の神は平気で人ごと街を焼き尽くすし(ソドムとゴモラ)、授かった息子を生け贄にしろと言うし(イサクの犠牲)、生物滅亡計画はおこすし(大洪水)、理不尽でキレやすい。
エアちゃんが送ってしまった余命宣告メールで混乱する地上で、新たな弟子を選ぶ旅に出るエアちゃん。
弟子といいつつ人類に貢献するわけではなく、むしろエアちゃんが彼らを小さな幸せに導いていくだけで、神と娘の話の割にはだいぶこじんまりとした展開ではありました。
ただ、登場人物が聖書の教えに出てくるタブー(獣姦、離婚、性倒錯)をことごとく破っていくさまは、聖書ならびに古い固定概念に縛られず、心のままに生きることが本人にとっても周囲にとっても幸せなのだというメッセージなのかもしれない。
ついでにいえば「神」は神と言いつつ、本物の神に選ばれたただの人間なのかも?
神の部屋がコインランドリーにつながっていたり、最後の晩餐の絵画に人が増えていったりという小細工も楽しいですが、寿命があるうちは何をやっても死なないことを証明するために無謀なことばかりしでかす男に一番笑いました。
だけど、女神によって寿命がリセットされたのに気がつかずに死んでしまったのが皮肉。
もうなんかゴリラって感じ
そもそも神様ってくくりの物が人の形から始まり、自分に似たものをパソコンを使って世に作り、世界を全て作り上げ、どんな性格か、どんな過ちが起きるか、余命はいつかなど何もかもあの悪質なパパ《神さま》作り上げた世界という設定はすごく面白くて見入ってしまいました。
パッケージからしてポップな感じで笑いあり涙あり的な話なんだろうなと思っていたら、笑いは無く、割と暗めなストーリー展開でした。
ラストはメルヘンになりますが、笑いはなかったです。
ゴリラ部分は笑う部分はないんだろうけど、ある意味ギャグでした。
自分が産んだ娘により、キリストの使徒と呼ばれる6人が復活し、奥さんの手により世界は平和へと導かれました。
なんていうか全体的に最終的にSEXみたいな話でしたね。
ゴリラが衝撃的でした。
ゴリラ?!え?みたいなw
余命62年の彼は爆発して消えちゃいましたが。笑
面白いというより設定に興味があり最後まで見きれた感じでした。
別に人にはおすすめしないかな?くらいです。
期待しすぎたかな
映画館の予告で『Happy』な雰囲気満載の宣伝広告だったので、観てみたら。
結果、うーん。
ラストは今まで神である夫に虐げられてた妻、女神が世界をハッピーに変えるので、嫌な感じでは終わらないけれど。
なんせ、父親の娘エアを怒鳴り散らすシーンが多すぎて。はっきり言って不愉快でしかなく、ストーリーに入り込めなかった。
この監督の他の作品は評価高いみたいなので、今度観てみようかと思う。
神の少女が活躍するファンタジックブラックコメディ
・神の娘が父の作った世界に反発して地上に降りて6人の運命を変える、設定が明らかになったとき何だか日本の今時のアニメの題材にもってこいだと感じた
・寓話的なストーリーなのに描写はリアル
・最後の晩餐の絵に6人の使徒が増えていくのや、おバカユーチューバーの無謀ダイビングなどの小ネタ満載
・母の趣味である刺繍でのエンドロールがおしゃれ
・一つ一つのエピソードは大したことなく、ただ少女エアは可愛いかった
・ラストの重力が変わったり世界が改変される映像には驚いたが、花柄の空は気色悪く感じたよ
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