ルームのレビュー・感想・評価
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スッキリ観終われる
第88回アカデミー賞
主演女優賞受賞
とにかく演技が素晴らしい!
17歳からの7年間を部屋(納屋)に監禁された女性。
その中で生まれた息子を守り、それでもいつか外の世界(world(space))に戻ろうと願う強い想い。
外が何なのか分からずグズる息子へ希望を託し、息子に死んだふりをさせroomの外へ出す…
それぞれが過ごした7年間。
少しずつズレている心模様を繊細に描いた終盤は一挙手一投足に目が離せない。
息子に3回救われ、
エンディングロールが流れる頃にはとても清々しい気持ちで映画館を後に出来た。
オススメの一本なのは間違いない。
悪魔の子供は悪魔じゃない
監禁部屋で生まれ育ったジャックは、ジョイを3度救う。
1度目は部屋から。
2度目は自殺未遂から。
3度目の救いは、まだ部屋に囚われていた心の解放。
例え父親が悪魔でも、子供は悪魔じゃない。そして生物学的繋がりは、関係ないのだ。
何度も何度も子供は親を救ってくれる。
へやしか知らなかったジャックは、世界を知ってもへやに未練を持っている。
あのへやが全てだったから。
でも世界を知った今、へやはあまりにも狭く、縮んでしまったのかと思うほど。
この先の未来は、明るくはないかもしれないけれど、世界は広い。
どうか、過去からも境遇からも解放されてほしい。
実の祖父がジャックを見れないというのも、切なかった。子供に罪は無いのに。
レオが優しくて良かった。ジャックがトラックからジャンプしたときも、ホンモノの犬がいて、それで助かったんだよね。
子供は天使だなと思わされる映画だった。
再生の物語
演技・演出ともに素晴らしかった。監禁ものと言っても単なる暗い話でも怖い話でもなかった。
監禁中や脱走時の犯人とのシーンは手に汗握るが、メインはそこではないと思う。
視聴者は、息子ジャックの目を通して世界の見え方が変化してゆく様を体験する(ジャック視線の映像が秀逸)。
監禁小屋内での生活は、もちろん悲惨極まりないが、そればかりでもない。ジャックにとってはこの時点ではここが世界の全てであり、母子二人の仲睦まじい生活は時に微笑ましくさえある。
脱出後、二人に新たな試練が訪れる。母ジョイは、背間の好奇の目にさらされ、失った時間の大きさを思い知らされ、息子に向けられる眼差しにも傷つけられ(実父、マスコミ等(あのインタビューはひどい!))次第に心を病んでゆく。
一方、ジャックは当初は戸惑うものの、やがて母以外の人間にも心を開いてゆく。
前半は母が息子を守り抜き、後半は息子によって母の心が救われる。
ラストシーンで、二人は監禁小屋跡を訪れる。ジャックは部屋のもの一つ一つに別れを告げジョイにも促す。母の背中を押したのだと思う。人は過去をなかったことにはできない。向き合って乗り越えるしかない。
掘り下げ方が…
子役の自然さはスゴイと思ったけど、どうも掘り下げるポイントが新鮮じゃなかった。数年間閉じ込められた人間の苦悩と再生を描くなら、もっと実生活での苦しみを描いた方が良かったんじゃないか?ある意味、セリフでの説明になっている気がする。
やるんだったら、誘拐されたところからドラマをスタートさせて、逃げられない精神的な苦悩、出産からの希望、脱出からの日常生活においてのトラブル…と描いた方が面白くないか?少年の視点で描くにしては脱出してからのエピソードが薄い気がする。
これは凄い
観に行く前から面白そうだとは思っていましたが、想像を超える作品でした。
何より2人の演技が素晴らしかった。
ストーリーとしては、監禁というのが大筋ではありますが、その後にも焦点が当てられていて、二段構成になっています。
監禁中のジェイコブ君の演技も良かったですが、脱出後はさらに良かったです。本当に外を見たことがないのでは?と錯覚するほどの演技力でした。
間違いなく今年一番の作品です。
親はなくとも
特殊な環境下で育った子供の成長物語
ルームという狭い世界から出た子供、もちろん周囲は心配するし、本人も適応できていなかった・・・すぐには。
どんどん適応していく姿には、最初、外のことなんか知りたくないといって泣いていた面影はもはやない。
むしろ母親のほうが適応できなかった。が、そんな母親を理解し、応援する姿には、ただただ凄いと感心させられる。
”大人”にお勧めする作品です。
子役の子が可愛い映画
7年間監禁されていた母親が、ましてや自殺未遂した後、あのルームに戻るときに普通に立って、byeなんて言えるわけがない。立ち直りに向かう過程が早すぎで、現実味がなく感じた。それでも、部屋の外はテレビの空間だと教えて育ててきたという設定や、子役の子の演技と可愛さには賞賛!鑑賞者の心を動かすには十分だったと思う。母親の描きかたが難しいところだとは思うが、7年間の監禁の歴史や重みがあまり感じられなく、薄っぺらい物語に感じてしまった。
生まれ育った所から出ていく
出ていってから、それがどれだけ異様な所だったのかわかる。
でも誰にも話せない、わかってもらえないから、悲しませてしまうから。
子どもの強さ、柔らかさ、智慧が、自然によく描かれていた。子どもの母は、母であることで少なくともこの5年間生き延びてきた。
監禁されることがなければ、まだ大学生?
解放後の混乱は母を苦しめる。
ラストシーンは、過去の手放し。
しかし、演出、演技に観ている側の想像に委ねられている部分が多く、感動ではなく疲れが残った。
好みの映画でした
子供を守るという母の強さとその気持ちの強さから起きる葛藤、子どもの恐怖心とその恐怖から解放されたあとの順応性がうまく描かれていました
"mom say goodbye to the room"
最後のこの一言で心が軽くなりました
A boy who doesn't know what the World is ...
This film received three other academy Awards Nominations including Best Picture and Brie Larson won an Oscar for Best Actress , which made me really curious and I finally watched it today ! Although I'd already known the plot a bit ,in which a mother and her boy have been confined for seven years before the boy was born , but I didn't know what will happen to them after getting out of the ROOM . The boy has no knowledge of anything except for what he saw in the room and doesn't even know if something is real or not , while the mother suffers from some mental problems due to being confined and concerned about the kid ... he seems to miss the room where he was born and brought up and said goodbye to every furniture there at the end
Jacob is so cute and Brie Larson is like his real mother .
凄まじい演技力。
「ルーム」字幕版で鑑賞。
本当は初日に観たかったんですが、他の映画も観たかったので、公開してからしばらく経ってから観ることにしました。
誘拐されて、7年間にもわたり監禁されてしまった女性=母親、そしてそこで生まれ育った男の子ジャック。
物語の冒頭、ジャックが目覚めるシーンで、一瞬だけ女の子に見えましたw
体操をして、テレビを見て、ケーキを焼いたり、一つの「へや」の中で母と息子は楽しく過ごす。。二人だけの世界だった。
ジャックが5歳のとき、母親は、何も知らないジャックに真実を打ち明ける。
「この「部屋」の外には本当の世界がある」
母親の策で、オールド・ニックを騙し、決死の脱出に成功したジャック。そして、母親と再会した時は、グッときましたね。。
なんといっても、あの演技力!
ブリー・ラーソンの演技も抜群ですが、子役のジェイコブ・トレンブレイ君が最高。可愛いですよ。(^^)
外の世界を全く知らないので、部屋に置いてある様々な物に対して挨拶するところも愛らしい。
オールド・ニックが運転するトラックから飛び降りるシーンもヒヤヒヤしました。もう~ジェイコブ君の演技が最高ですよw
脱出後の母親の苦悩と葛藤、そして苛立ち、様々なことが丁寧に描かれてました。
総じて感動しました!アカデミー賞を受賞した理由が分かりましたねw
物語のラストで、再び監禁された納屋を訪れ、ジャックが物に最後のお別れをする所もグッときました。。
音楽もとても素晴らしかった。(^^)
いや~ジェイコブ君は天才です。
子供から見た世界の恐怖
18歳の時点で誘拐監禁され、狭い納屋で7年間監禁されていた女性と、監禁されている間に出産した5歳の子供が主人公の話。
生まれてから一度も「部屋」の外の世界を知らない子供には、いったいどんな風に世界が見えているのか。それが映画の主題であるように思った。
子供の目線からの世界と、大人の目線からの世界の「ズレ」が面白い。
監禁されている間は、母親にとっては地獄だが、子供にとっては母親と2人だけの世界で完成されている、むしろ天国と言ってよいような安心できる世界だったのかも知れない。
子供にとっては知らない大人が話しかけてくるだけでも恐怖であることとか、そっとしてほしいときに干渉してくる無神経さ。大人になるとつい、そのことを忘れてしまう。
あと思ったのは、マスコミや野次馬のお節介さ、下劣さ。このへんは日本もアメリカも変わらないのか…。皮肉なことに、母親は監禁されている間よりも、助かった後の方が辛い状況に置かれた。
何も変わらない「部屋」の外に出て、世界の大きさ、信じられないような広さを知り、また、辛いこともたくさんあることけど、次第に楽しいこともたくさんあることを知っていく。
最後、かつての「部屋」をおとずれるシーンでは、なぜだか分からないが泣ける。そこに去来する様々な思いが、なんだか誰にとっても普遍的なものを表している気がする。
幼き日の思い出、母親と2人だけの完成された世界、甘美な過去との別れを理解し、そして二度とそこにかえれないことを受け入れる。
そして、新しい希望と不安に満ちた世界へ踏み出す、さみしさ…。
『「世界」を知ること』を知る
7年間監禁された母親と、そこで生まれた5歳の男の子の監禁生活・脱出とその後を描いた物語です。
とにかくジャックが食べちゃいたいくらい可愛い。生まれてから5年間納屋の中で育った彼は、当然外の世界を知らず、髪の毛も伸び放題。でも、とても素直な子で「部屋」の中がすべてかのように教えられてきました。
ジャックはずっとこの生活が続くと思っていますが、5歳になってジャックが大きくなったことを機に、母親は脱出を決意します。
もちろん、ジャックは脱出することにすぐ納得するわけではありません。そのあたりの母親の切実な願いとジャックの素直さがぶつかるシーンは、何とも心苦しかったです。
ただ、母親が「ぬけがら」になったことをきっかけにジャックの心情に変化が現れます。
そしてついに訪れる、初めて外に出た瞬間。ジャックが初めて「世界」を知る瞬間。目に映るものが未知のもので戸惑いつつ、しっかりと母親が言った通りに勇気を振り絞って助けを求めようとするシーンは胸が締め付けられました。
無事に母親と共に本当の「世界」へ戻ってきたのもつかの間、時が過ぎてきたことや今まで閉ざされた空間で生活していたことによる歪みが生じます。
母親の周りも時を経て環境が変わってるし、ジャックにとっては階段を上り下りするのも初めてのこと。母親以外の人とはうまくコミュニケーションも取れません。
また、事実としては犯人の子供であるジャックを、母親の父親(祖父)は簡単に受け入れません。テレビのインタビューでも「生まれた瞬間に病院に預ける方が子供は幸せだったのでは?」と聞かれた母親は、精神的にまいってしまいます。
脱出できたとしても、元の世界での生活に順応する大変さ。「部屋」しか「世界」を知らないジャックの成長は、悲しくもあり切なくもありました。
母親と2人きりで過ごした「部屋」は、ジャックが生まれてから5年間生活した大切な場所です。「へや」の思い出を語るジャックに対する周りの大人たちの何とも言えない視線や返答が、また考えさせられました。
最後はどうなるかと思いましたが、「おはよう」から始まった「部屋」に「さようなら」して、2人の新たな道が拓けたようでホッとしました。
映画の中の話が実在したものに思えるくらい、母親とジャックの演技は、まさに「本物」。壮大なストーリーや派手なアクションはありませんが、心に残る一本だと思います。
もう部屋には戻らない。
好きな人と別れた。「もう少しお付き合いしたい」と気持ちは伝えたけれど、届かなかった。しつこくしても仕方がないので「アリガトウ」と笑顔で手を振ったが、残った好意のやりどころに困った。
違う感情を自分のなかに入れて、気持ちを切り替えようと、映画を見ることにした。たまたま上映していたのが、この映画であった。
主人公ジャックは、それまで暮らしていた世界が狭く、外ではいままでの常識が通用しないことを知る。彼はずっと制約されていたことに気付いていなかったのだ。外の世界は何もかも自由だ。
しかし、不便だったかつての居場所の方が居心地よく感じられる。そこには安心感があった。
別れる前のわたしも、気持ちはジャックによく似ていた。彼と付き合うということは、他の人と過ごす時間が相対的に減るということでもある。彼と共有できた常識は、ふたりだけの決めごとであった。
別れたわたしは、考えようによっては自由を手に入れたのだけど、欠点もあった彼の懐はまた、居心地のよい場所だった。
それをリセットして、新しい未来を生きる。それができなくて映画館にいるわたしはジャックと同期した。
わたしの中には、他にもたくさんの過去の欠片が蠢いている。愛されていたあの頃のわたしの記憶が、成長した違う自分になることを拒む。
未知を引き受けるというのは、それまでのアイデンティティを壊すことにつながる。不都合でも、過去の方が慣れ親しんでいて、好ましいのだ。
親子が退院するとき、医者は「子どもはプラスチックのように柔軟だから大丈夫ですよ」のようなことをいう。
そして、実際に、少しずつ、少しずつ新しい世界に慣れていく。
ラストで、彼はかつての「部屋」を見に実際に訪れる。そこには、想像していたような親密性は失われ、形骸だけが残っていた。
わたしたちが戻りたいのは、場所ではなく、過去の時間と空気なのである。それは、そのときの自分と、そのときの相手にしか作れない瞬間のものだったのである。
過去と同じ空気は、どこにも存在しえない、ということは、現在もまた偶然の奇跡であり、このレビューを書く一瞬一瞬でさえ2度とめぐり会えないものなのであった。
ああ、失われた時間を惜しむ。あなたとの会話、あなたと共有した空気、訪れた場所。
バイバイと言って決別しよう。もうとらわれない。わたしたちは現在を生きるのだ。
不思議な映画だった
ああ〜〜まず失敗したのは、先入観で見すぎた。下調べしすぎた〜〜。無駄に期待値上げてたし。
まあ、とにもかくにも第一に素晴らしいのは演技。ジャック役のジェイコブ君、アカデミー賞ブリーラーソン。最高に息が合ってたなあ。ジェイコブ君が本当に凄かった。泣き方、見上げ方、強請り方、監督大満足なんじゃないだろうか。ブリーラーソンの詰め寄る感じもリアルで、ストレスが目に見えた。
この映画はジャック目線で撮られていて、我々も彼になって見る。すると、前半部分であんなにも酷いと心の中で客観視して見ていたのにも関わらず、世界に飛び出た私の中のジャックは部屋に戻りたいと懇願するのだ。不思議な感覚だった。
あと、分かりやすい明確なハッピーエンドであってほしかったなとはおもった。残ったのは無気力感、脱力感。最後の2人の背中は、過去の記憶は決して消えないと語っているようにも見えた。
普段の生活に息苦しさを感じている人たちへ
最初は舐めてました。部屋から脱出してハッピーエンドだと思ってました。
そうじゃないんですよね。そこから先も大変なんです。騒ぐマスコミ、帰ってきた二人を受け入れられない父親、事件前の無傷だった学生時代には戻れないジョイ、そういった現実とも向き合わなくてはならない。グランマも義理のグランパも真剣に2人のことを考えてくれます。それでもジョイにとっては辛い。それを乗り越える勇気をくれるのがジャック。髪を贈るシーンで涙がこぼれました。
狭い部屋からの解放、広い社会と対峙し乗り越える解放、辛い過去を受け入れ乗り越える解放、その3つの解放が描かれていました。特殊な事件の映画ではあるけれど、これは決してわたしたちと無関係なことではないです。広い社会と対峙するのが怖い人、普段の生活に息苦しさを感じている人たちへの応援歌です。
子供を持つ身としては、ジョイの気持ちが痛いほど解りました。母親って、子への評価が自分の子育てへの評価だと思ってしまいがちです。異様な状況で育ったジャックですが、ジョイとしては精一杯愛情をかけ普通の子供と変わりなく育てた自負があります。だけど社会からは変わった経験をした親子と見られてしまう。テレビのインタビュアーが酷なことを訊くシーンがとても辛かったです。
最初出てきた時は髪が長くて女の子みたいで母親そっくりだったジャック。触れ合う人が母親だけだからそうなってしまいます。脱出後いろんな人と触れ合うことで段々と変化する、母親の分身から一人の独立した個性を持ちはじめる成長の映画でもありました。親子の絆をえがく映画でもあり、親と子はそれぞれ独立した人間なんだという映画でもあったと思います。
「いろんな人たちがいろんな形で閉じ込められている」※原作を読むと本作の凄さが更に分かる!
かなり前に観て、公開前に投稿しようと思ってたのですが、色々と悩むこともあり遅くなってしまいました。
悩んだことは、"原作を読むことをオススメするか、しないか"です。
でも、原作を読むと、「この映画がどれだけ優れているか更に分かる」という結論に達したので、お話しにきました!
原作は5歳の男の子ジャックの一人称、口語調で書かれています。
一人称のメリットは、ジャックの心理描写がしやすく、そうなると読者を感情移入させるのも容易くなります。読者は、このジャックを凄く近くに感じる筈です。
その反面、ジャックが知らないことは書きようがない。つまり、ジャックが存在しない場面は分からない、全ての登場人物はジャックのフィルターを通すので、5歳では推し量ることができない複雑な状況は書けない。といった難しさがあります。
本作は5歳の少ない語彙力(母親と常に接していたので通常の5歳より言語能力が発達している設定ですが)で、文法の間違いや、言葉の取り違いなどしながらも、いかに読者に状況を理解させるか、想起させるかといった点で、凄くよくできています。素晴らしいです。
しかし、それ以外の登場人物、特にジョンの母親ジョイ、その母ナンシー、父ロバート、ナンシーの再婚相手のレオの心理描写が(5歳から見た大人のため)悪く言えば短絡的になってしまう。"部屋"で生まれたジャックが、"部屋"から出て色んなものを知って行く過程も、5歳の語彙力ではどうしても表現が単一的になってしまいがちです。
しかし映画では、脱出して直ぐ、監禁されていた部屋で見上げていた天窓サイズの空が急に広がり、目を見張るジャックの姿。狭い部屋で母親の姿だけを追っていた視線が、それ以外の人や物に移り、視界が、ジャックの世界が広がる様を、ジャックに代わって映像が雄弁に語ってくれるのです。
また、ジャックが推し量ることができなかった、他の登場人物達の微妙な心の機微を、手練れの俳優さん達が見せてくれます。
"部屋で生まれた"ジャック。
"部屋に連れてこられ"脱出した後でも心はずっと部屋に閉じ籠もったままのジョイ。
母親ジョイの視点が加わることで、より親子の絆が強調されるラスト。
ジョイを演じたブリー・ラーソン。2015年マイベストの「ショート・ターム」で主演を演じてました。応援してます!
本作でも、被害者の顔と、息子に向ける母親の顔、見事に演じてました。
勿論、ジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんも凄いです。
"自然体の子供"という演技をちゃんとしています。
が、私は、ジョイの母親ナンシー役のジョアン・アレンがより印象に残りました。
娘との再会を喜びつつ、監禁されていた7年間を思いやりつつ、やや神経質に接しながら、でも母になっていた娘に、同じ母として時に厳しいこともついつい言っちゃう。分かります。
ジャックとジョイ。
ジョイとナンシー。
また、監禁前のジョイを知る父ロバート(ウィリアム・H・メイシー)と、知らない継父レオの対比。
2人の母親と2人の父親の視点が加わることで、よりエモーショナルな作品になっています。
5歳一人称の小説で描くのは、ちょっと難しかったところです。
小説は文字が持つ力(良さ)を最大限に発揮し、映画は映像表現の良さを最大限に発揮している点で、双方ともに素晴らしいです!
ぜひぜひ、両作を、読み、見比べて頂きたいと思いました。
レニー・アブラハムソンは、大好きな『FRANK フランク(2014)』の監督さんです。
FRANKでは、マイケル・ファスペンダーがでっかい張りぼてを被り、目に開けられた穴から外を見ていました。本作では狭い部屋に監禁された2人が、天窓から外(空)を覗いていましたね。
2作共に特殊な設定ではありますが、他者との境界線を生む経験をした人たちが、心の傷と向き合い、閉じ込められた過去の苦しみから解放される、再生と、親子の絆という、普遍的なテーマが根底にあるように思いました。
あのラストの儀式を観て、やはりどんなに優しい人達に囲まれようと、自分でドアを開けなくちゃいけないんだ。自分自身なんだ!
という、ジャックからの強いメッセージを受け取りました。
※タイトル:原作でジョイがインタビューに答えた台詞です。
とても繊細な「母子の成長記」
この作品は、母子の絆を描いた作品かと思っていたけど、ちょっと違った。母と子、それぞれの成長を描いた作品だった。
もし自分の子が生まれてからの5年間、狭い納屋の中でしか生きていなかったら。。
そして、もし自分が、17歳で誘拐され、誘拐犯の子を孕み、産み育て、7年間も幽閉されていたら。。
この映画は閉じ込められたルームと誘拐犯からの脱出劇ではない。大事なのはその後。
閉じ込められていた母と子が、いかにして変化、成長していくかを描いている。
だからむしろタイトルはout of the roomでいいとおもう。
5歳の柔軟性と24歳の脆さ、未来を築く少年と過去に縛られる女性。
同じく弱さを抱えるふたりだから、一緒だと強くなれる。だけど、弱くもなってしまう。
とても難しく、繊細な成長記であり、ラストはこのふたりの成長の証にぴったりだったと思う。
最後まで主人公の父親とジャックが愛しあえなかったのがちょっと残念だけど。
彼はレオとの良い対比になってました。ただ、レオは血の繋がりがないからこそ客観的かつ冷静、そして優しくあれたのかもしれない。
ジャックのアイラブユーぐらんま、と、こんなに狭かったっけ?〜バイバイプラントのくだりに涙が溢れました。
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