「広くなった青空」ルーム everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
広くなった青空
クリックして本文を読む
監禁された母親から生まれ、監禁部屋と母親だけが全てだった5歳男児が、一芝居打って、部屋の「外」〜彼にとっては、宇宙であり、テレビでしか見たことのない世界〜に飛び出していきます。監禁部屋の天窓から見えた小さな空は、ぐるりと見渡す限り続く大きさでした。
そこは眩しいくらい明るくて広い広い世界…子供ながらの柔軟さで徐々に「普通の」日常に適応していく息子に対し、少しばかり壊れていた現実と、失われた人生を自覚し、自由になっても崩れそうになる母親がいました。
彼女にとっては、たとえ犯人の子供でも、息子は生き抜くための希望と正気を保つ勇気だったでしょう。とは言え、犯人の血を引く孫を直視出来ない彼女の父親の気持ちも分かるし、テレビのインタビューアーの質問も非常に酷でした。
捕らわれの身でなくとも自分の殻から飛び出せず、独自に創り上げた狭い世界に閉じこもる人も少なくないと思いますが、自由を自覚出来れば、世界は幾らでも広くなることを改めて認識させられました。
2回くらい泣きました。とっても良い映画でした。
コメントする