何者のレビュー・感想・評価
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就活を通して描く若者達の心理バトル劇
原作は直木賞を受賞した朝井リョウの同名小説。予告編からは、就職活動を通した大学生の青春群像劇だと想像していた。しかし、実際には、過激な心理バトル劇だった。
大学時代を演劇に打ち込んで過ごしていた主人公である拓人(佐藤健)は、親友の光太郎(菅田将暉)と共に、就活を始めることになるが、そこに、主人公が思いを寄せていた瑞月(有村架純)とその同僚の理香(二階堂ふみ)、恋人の貴良(岡田将生)が加わり、5人は一致団結して就活を行うことになる。最初は、協力し合っていた5人だったが、就職試験の出来に差が出始め、次第に気持ちがすれ違い、ギクシャクした関係になっていく。そして、内定者が出るに至って、今まで抑えていた5人の妬み、嫉みが一気に暴発し、5人の関係は破たんしていく。
芸達者の若手俳優を揃えているので、5人の若者の人物像、価値観の違いは分り易い。さらに、5人の本音の言い合いは、聞いてはいけないものを聞いてしまったようで、ぞっとするような寒気を感じる。特に主人公の一切の虚飾を取り除いた心理描写は圧倒的であり、胸に突き刺さる。夏目漱石、太宰治などの私小説を読んだ時のような衝撃がある。
本作は、5人の男女を密室に閉じ込めて就職活動という心理ゲームを仕掛けたようなストーリーである。状況によって変化していく5人の心理の過程が、前半では、役者の何気ない台詞、表情でマイルドに描かれるが、後半では、5人の独白という形で生々しく一気に描かれる。
同じ戦いをしている同僚の勝利を素直に喜ぶのは難しい。負け続けている自分が自己否定されているような気持になり、勝者への鬱憤が抑えられなくなる。同じ目的を持って一致団結していたはずの5人の絆が、簡単に崩れていくところに、他者を理解し、認めることの難しさが浮き彫りになっている。
決して楽しい作品ではなかったが、ラストで、紆余曲折がありながらも、自分が何者であるかを認識し、再び就職活動に立ち向っていく主人公の姿が凛々しかった。主人公の再生を予感させるラストだった。
57点
豪華俳優陣が出演している作品。
なんか日本の良くないグレーの部分を抽出したようなテーマで、ある意味胸グソ悪い作品でした。
佐藤健が松坂桃李の下位互換感がすごい、二次元枠も山崎賢人に取られたのでなんか微妙なポジションな気がする。
二階堂ふみはいい女優さんなので良かった、菅田と有村架純はまあ外れないよね程度。
面白かったかって言われたら、、、微妙。
自分をさらけ出せるか
就活と建前・本音がテーマ。
社会人の通過儀礼でもある就職活動を通じて、機敏な感情のブレが描かれている。
自分より先に友達が内定を取ったことへの焦りや妬みはリアルである。
特に、主人公は、冷静で分析家のキャラであるが、実際は演劇に対して強いあこがれを持っていた点は印象的だ。
演劇にはもう興味がないと、周りには公言しつつも、本当は演劇に興味があり、演劇で不器用ながらも生きていこうとしている友人を見下してしまう。
自分の本当の気持ちを出せないため、ギャップで人を裏で見下してしまうのだと思った。
つまり、自分の理想と現実が離れれば、人に攻撃的になりやすくなってしまう。
出来るだけ、自分の気持ちに正直でありたいし、つい人に攻撃的になってしまうときがあれば、自分自身に強いストレスがかかっていることを思い出したい。
レビューを書いている自分は、何者?と問われる作品
就活生達の「内定」や「1分で自分の事を話して下さい」という自己PRだけで自分の価値や存在を評価される矛盾さの中でもがく若者たちをベースに、人を勝手に評価し分かったような顔をする貴方は何者?と、それをステージから傍観する観客のように、冷静な眼差しで捉えた素晴らしい作品だと感じました。
SNSやTwitterのコメントばかりを気にして、それでその人の事を評価し勝手に決めつけて、どこか見下し嘲笑うかのような視点で見ている本人も、裏アカで自分の腹黒い部分を投稿している。それが友達にバレて初めて、自分の事を舞台で演じている演者のように、観客席から客観的に見れるようになっていく。
今はどんな事も呟きも、いとも容易くSNSなどで発信できるようになったネット社会。それに翻弄される若者達。空虚。浅い。
あなたは「何者」になりたいですか?
40点
映画評価:40点
めちゃくちゃ役者が豪華!!!
全員、今をときめく若手役者陣
佐藤健を筆頭に、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、全員主役級です。
そんな彼らが演じるのは、
我々の様な普通の事で悩む一般の就活生。
SNSを中心とした
令和の就活。
本当の自分がSNS上にいるのか、
目の前にいるのか、
この時代だからこそ、
本当の自分が解らなくなる。
どれが本心で、どれが建前で、
なにが理想で、なにが偶像なのか、
御託を陰口の様に並べても、
どんなに議論を講じようとも、
案外、素直で無垢なやつが勝っていく。
そういう世の中。
本当の自分を探して、
自分が何者なのか追い求める。
誰もが味わったであろう、
あのほろ苦さ。
そんな地味な映画。
でも役者は華やか。
これぞ本音と建前の世界。
【2021.10.16】
この時代の若者の苦悩
私自身は、就職活動に苦労することなくすんなりと仕事が決まったので、現代に生きる若者が、大変な思いをしているんだろうと想像する。裏アカウントを作り、そこには自分が言えないことを書き込む、現代のストレス発散なのか、陰湿な感じは否めない。
肉体的に疲れている状態で観たので、ちょっと眠くなった。
昔『就職戦線異状なし』最近『何者』
映画館では2016年11月13日地元のイオンシネマで鑑賞
それ以来2度目の鑑賞
大学生の就活モノ
これもまた今どきの青春映画
90年代に織田裕二仙道敦子共演の映画『就職戦線異状なし』って作品があったがあれを思い出した
槇原敬之の代表曲『どんなときも』が主題歌だった
当時はSNSなんて無かった
原作既読
文壇の風雲児的存在かもしれないが朝井リョウはあまり好きじゃない
それでも年月が経てば『桐島、部活やめるってよ』は最近面白いと思えるようになったが『何者』はそうでもない
何故かはまらない
眠くはならないが何故か退屈だ
原作は直木賞受賞作品で三浦大輔監督
佐藤健有村架純二階堂ふみ菅田将暉岡田将生山田孝之というオールスターキャストにも関わらず
むかし三船敏郎石原裕次郎浅丘ルリ子勝新太郎中村錦之助という豪華な顔ぶれで『待ち伏せ』という凡作があったがあれはあれでそれなりに楽しめた
おじさんみたいなしょぼくれたヤボテンはターゲットじゃないのかもしれない
就活中の学生さん向きかな
二階堂ふみが1番良かった
リクルートスーツなんか着たことないし就活でこんな会話したことないなあ
意識高い系って奴
見栄張っちゃってさ
イソップ童話に出てきたカラス思い出した
でもあのカラスも嫌いじゃない
意識低い系よりマシ
1番の見せ場ともいえる後味が悪いドンデン返しも好みじゃないのは自分的には致命傷
どんでん返しの名作の数々と比べると弱い
しかしそれで終わることなくラストは綺麗にまとめた
人間の業というかエグいというか空々しい
佐藤健演じる主人公はシャーロック・ホームズばりの見事な観察眼
それを生かした仕事につけば良いだろう
あとキツイ顔した女がキツい事を言うより有村架純のような女がそれをやったら胸にグサッと刺さる
天使のような悪魔の笑顔
『三月のライオン』もそうだった
あと映画は好きだけど演劇ってちょっと苦手かな
閉鎖的な人に観てほしい
〖頭にある内は 傑作〗〖やりもしなのにーーーー〗などなど
自身だけで、考え・解を出し変な方向へ進んでるなと思った
よって この作品をみ
自身の考えを他人に相談(ぶつける)することの必要性を感じた
どんでん返し?
どんでん返し的仕掛とテーマが一致しない。
感情移入を仕向けたはずの某キャラで客を肩すかしという驚愕の不誠実。
若者漂流たる就活は撮るべき切実な事柄だが、これを書き撮る作者の動機の弱さが見える。
非支持。
自分は何者か
こういう類の話って、今を生きてる人には刺さるよね。
自分はどの立ち位置だろうみたいな。
今、彼らと同じ様に就活で苦しんでいる若者は余計に刺さるんではなかろうか。
この話は就活をテーマにしているけど、人生においても自分らしさってのは良くも悪くもあって、
自分のことを客観視できるようになるまでには
私も時間がかかったなぁと。
しかし、客観視するだけではどうにもならないことがあるから人は悩み苦しむんだけど…
どうしたって、自分が見てる景色を他人に見せることはできない筈だから、
誰かの景色を見たフリせず、
誰かが辛いと言ったら寄り添う気持ちを大切にしてほしいです。
原作ファンも満足
原作のイメージ通り、新進気鋭の人気俳優たちが演じていました。特に二階堂ふみの演技は抜群に良かったです。
学生が社会人になるために、自分とは何かを考える就職する人達の心の機微には、胸をえぐられました。
朝井リョウさんの作品は、恨み嫉みなどの忸怩たる思いがたっぷりつまっているので面白いですね。
何者
誰もが世界の何者かになりたがってる。
だけど理想と現実のギャップが存在。
そんな現実を無視した何者かになれるのがネットの世界。
みんな本当の自分じゃない何者かを演じている。
自分がどういう人間かを140文字や1分間では表現できない。1人の人間を表すのは短時間では不可能なほど濃いのか。
もっと早く見るべきだったのかもしれない
映画館で宣伝してるのを眺めてから4年。ふと思い出して見たけど、あのとき見ておきたかった。就活終わっちゃったよ。
SNS・就活・演劇・友人関係…最早何でもいいから悩んでて、自分が嫌いな人は見てほしい。
主な5人の登場人物それぞれの行く末を追いながら、自分をその中に投影しながら見ると死にそうになるのでおすすめ(そうならない?その方がいいです)
単純な見るものとしては、演出が過剰だったり、描写が多かったり気になるところも若干あった。
でも、この時代の人間関係を描くストーリーとしては、こんなに良いものも無いのかもしれない。
あと、俳優の演技も良かった(山田孝之のような大学院生がいてたまるか)。
ラスト15分のゾッとする展開に拍手
就活という異常な世界を舞台に友人5人が奮闘していく。
大事件が起こるわけではないところや、淡々と展開してるように見えて少しずつ人間関係が変わっていくところ、鍵となる人物の1人が存在感だけで台詞も顔出しもないところなど、妙に「桐島、部活やめるってよ。」に通ずるところがある。
就活を経験したものにはきっと刺さりまくるんだろう。してない組からすると、就活とは恐ろしい世界なのだと、つくづく経験しなくてよかったなと思わされる。
これから就活する大学3年生あたりには、逆に見せない方がいいんじゃなかろうか。
最後の叙述トリック的展開と、そこから始まる怒濤の鳥肌タイムは、それまでの溜まった鬱憤を晴らしていく。
ゾッとするとはまさにこのこと。
それだけでも見る価値ある。
共感できる部分はあるが、、、
主人公の気持ちに共感出来る。
周囲の人に対する感情、人間味を感じました。
ただ思う事が就活時期の歳頃、私と私の周りにいた人間はこの映画に出て来る登場人物の様な大人な考え方はしていなかった。
就活と言う題材の中で描かれてはいるものの、流れている空気が凄く大人な感じがしました。
言葉のチョイス、仕草、山田孝之演じる先輩なんて、もう何かを悟っている感じだ。
就活中の歳頃なのに、自分達だけで生きている感が凄い、まるで社会人の様な生活をしている。
もっと周りの大人が絡んでいるはず、家庭の事情は少し出てくるものの足りな過ぎる。
もっと、家庭的な所、生活費の流れ、そういった就活時期にある子供らしい問題を散りばめて欲しかった。
就活中の主人公の葛藤と言うよりは、
主人公の葛藤中がたまたま就活中だった。
そう思うくらい、主人公には共感出来ても、就活にはリアルを感じれなかった。
そんな作品。
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