「ネット社会の就活」何者 ayakaさんの映画レビュー(感想・評価)
ネット社会の就活
就活を控え、漠然とした不安を抱えている時に、何か参考になるものがあるかと思って見に行きました。でも就活後に見たほうが、もっと共感できる部分があって映画自体楽しめると思います。
◎現実離れしたSNSの世界
就活というテーマの裏に、現在の若者とSNSの問題が示唆されていました。SNSの世界にのめり込み、ネットの世界が本当の自分の世界になってしまう。この時代、当てはまる人は少なくないはず。
拓人が演劇部であったことと絡めて、後半の舞台仕立ての演出がおもしろかったです。舞台とはいわば「虚構」の世界。
拓人が就活2年目であったこと、他人を嘲笑しながらTwitterの裏アカウントでつぶやいていたこと、後半でその事実が明かされてから、今まで起こっていたことが舞台仕立てに描かれました。拓人にとっては自分のTwitterが「現実」、現実が「虚構」の世界になっていたのかもしれません。
自分が「何者」なのか、わからなくなる。
◎検索履歴は人の心を読むツール
家庭に問題を抱えて、条件付きでしか道を選ぶことができない瑞月。就活格差のようなもの。上辺では瑞月の内定を喜ぶが、プライドが高い優等生の里香はネットで瑞月の内定先の不評を検索していました。拓人は同様に光太郎の内定先の不評を探ります。現実にこのようなことをやっている人が見ると、ドキッとする場面でした。
(そしてお互いがそれを知ると同時に、里香が拓人のTwitterのことを明かします。検索の世界でも2人は出くわしてしまっていたのですね。)
まさに時代を反映した作品。
就活に対する不安は何も取り除けませんでしたが、(←特に期待してませんでしたが、)来年の就活後にまた見たいと思います。