「何者にもなれない辛さ…」何者 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
何者にもなれない辛さ…
年配には分からない、若者には共感できる映画なのかもしれません。
就職活動に一年間を捧げる大学生達。
自分をアピールすることは、トランプのダウトと同じ。
偽りのカードという手札で固めて、自分を表現し相手に認められようと頑張るのです。
嘘がバレたら終わりです。
でも、バレなければ自分を最高に演じられる最高のアピール方法。
友達をたくさん作って、仲間同士で協力することも一つの方法なのです。
しかし、仲間内の本音なんて分からない…。
協力するよ、頑張ろう、と励ましあいながら活動していても、誰かが『内定』という上がり札を手にした瞬間、仲間は崩壊してしまいます。
ツイッターで散々自分をアピールしながらも、本当の自分は違う場所にいるのです。
140文字という限られた場で選ばれた文字よりも、選ばれなかった言葉の方が圧倒的に自分のことを指しています。
それを知っているはずなのに、自分は何も進歩できないのです。
何者にもなれない…。
社会という大人の世界では、過程ではなく『結果』が全てです。
これまでは、失敗しても親や友達が自分の頑張りを認めてくれていたけれど、これからは結果が全て。
『内定』おめでとう!という言葉によって、周りの人たちに肯定されたように感じる気持ちも同じもの。
いくら頑張ってサークルや勉強を頑張っても、結果に結びつかなければ意味がないのです。
結果が出せない自分は、結局『何者』にもなれない…。
自分は何者なのでしょうか…。
その答えを見つけるために、就職活動を続ける主人公の拓人。
そんな彼の背中が観ていて痛々しくもあり、応援したくもなりました。
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