レッドタートル ある島の物語のレビュー・感想・評価
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映画を観た人がみんな幸せな気持ちになる
スタジオジブリが、フランスとベルギーのアニメ会社と合同合作で作ったアニメーションフイルムだ。高畑勲が、アーテイストプロデューサーとして製作に関わっている。
監督: マイケル デュドック ド ヴィット
制作: 鈴木敏夫、ヴァンサン マラヴァル、パスカル コシュトウ、
グレゴワール ソレラ、ベアトリス モーデュイ
製作会社:スタジオ ジブリ
プリマ リネア プロダクション(フランス)
ベルビジョン(ベルギー)
公開: 2016年5月
この作品は、スタジオジブリにとっては、初めての国外との共同制作による作品。第89回(2016)アカデミー賞アニメ部門ベストアニメフイルム候補作。2016年カンヌ国際フイルム祭で、視点部門特別賞受賞。
総監督を務めたマイケル デユドク ド ヴィットは、スタジオジブリ本社のある東京都小金井市に一時転居して、じっくり腰をすえてジブリの面々とシナリオと絵コンテを完成させて、高畑勲らの同意を受けてから、フランスに戻って本格的な製作に着手したという。彼は「人間性を含めた自然の深い敬意、そして平和を思う歓声と生命の無限への畏敬の念を伝えたい。」と語っている。
ストーリーは
男が乗っていた船が難破し、漂流した末、無人島に流れ着く。男は島に湖を見つけて渇きを癒し、木に登り果実を取って飢えをしのぐ。やがて枯れ木を集めて筏を作り、島から脱出しようとする。しかし、やっと海洋に出たと思うと、筏が何かにぶつかって壊れてまた元いた島に泳ぎ着く。再び、今度は強化した筏で海洋に出るが、筏が何か障害物に当たって壊れてしまう。3度目に男が筏を組んで海洋に出て、筏がまた壊されたとき、男は赤い大きな亀を見つける。男は悔しさと怒りで一杯になって浜に上がって来た亀をひっくり返して灼熱の太陽で焦がして死なせてしまう。
しかし驚いたことに、翌日亀の甲羅のなかには美しい女が眠っていた。男は女に水を飲ませて世話を焼く。女は目を覚まし、やがて二人は恋に陥る。男はもう島を脱出することを考えない。二人は仲好く島で暮らして、元気な男の子が生まれる。男の子は泳ぎも潜水も上手で、大きな亀たちを友達にして成長する。年月が経ち、男の子は一人前になって、外の世界に出て行く。そして、男は年を取り、女に看取られて静かに死んでいく。女は愛する男を亡くしてひとり、海に帰っていく。その姿は大きな赤い亀にもどっていた。
というおはなし。
台詞もナレーションも全くない。あるのは、波の音。波がぶつかり、弾けて水しぶきが上がり、水の泡が砕ける。鳥たちがさえずり、木々が風にゆられ、枝がぶつかり、こすり合い、木の実が落ち、草草がざわめく。男の砂を踏む音。女の髪が揺れる音。子供が岩を走る音。男の溜息。ひそやかな女の足音。
海に沈んでいく太陽が眩しい。美しい画面が詩になっている。
女が自分の体を包んでいた亀の甲羅を海に流しに行く後ろ姿を、男が観ている。しばらくして波の間から女が、砂地に居る男を見つめる。男は、はっと気が付いて自分が着ていた、たった一枚のシャツを脱いで、波打ち際において、島の奥に入っていく。次の画面では、シャツを着た女が、陸に上がり男の後をたどっていく。このシーンが好きだ。男の、ほのかな羞恥心と、期待と、ジェントルマンシップ。とてもやさしい男なのだ。
ジブリのアニメ―ションには、いつも元気で正しいことをする女の子が出てくる。このお話も、赤い亀が男に片思いするところから始まる。赤い亀は男に恋をして、男が島を出て行って、遠くの人間社会に帰って欲しくなかった。だから彼が筏で島を脱出しようとするたびに、筏に体当たりをくらわせて、男を引き留めた。そして自分の思い通りに男の愛を受け、幸せな夫婦になり、自分が愛した男を最後まで看取って、自分の思いを遂げた。強い意志を持った女なのだ。ここまで自己完結した完璧な人生を、彼女は自分で選んで、そして生きたのだ。幸せ者と言わずに何と言おうか。
このフイルムを見た人は、みんな幸せな、優しい気持ちになることだろう。それがスタジオジブリのマジックだ。
「理解できない、意味がわからない、何が面白いの、」
日本人は製作側に何でも求めすぎでは?
日本人は何でも自分の常識内で物事を判断する
もっと世界は広いんだ
私も初めジブリ作品だと思い観ましたが確認すると会社が携わっただけで作ってはいません
この作品には無駄な言葉がないからこそ伝わる人間と亀との種族(?)を越えた温かい心が通っている素晴らしい作品だった
レビュー
ジブリと思わずに見てください
妙な余韻が残る
浦島太郎のために陸に上がって来てくれた亀が、かぐや姫のように帰っていくような…日本昔話を思い出させるお話でした。
台詞がなくても(hey!しか言わない(^_^;))、美しい映像と表現で想像力を掻き立てられます。大したことは起きないけれど、試練、孤独、絶望、愛、生命、そして再生という、人間が一生かけて経験するであろうことが描かれていました。
いかだを作れる人間なら…砂浜で眠らずに、雨風をしのげる住居を建てると思うのですがね。
美しい旋律の音楽が余韻を引き延ばし、とても切ない気持ちになりました。
見事に裏切られました
ひどい映画でした。 薄っぺらく、 ありきたりで、 退屈で、 救いようのない作品でした。 テンポも悪く、 眠くなりました。 娯楽作品としても最低ですが、 芸術作品としても見るべきかちが見当たりません。 スタジオジブリ作品ということで期待してみたのですが、 見事に裏切られました。
セリフなしじゃ伝わらない。
生命の普遍
リアリティを忘れて
あたりまえの美しい世界
アニメーションの豊かな表現に引き込まれた。シンプルにして味わい深い。物語も男女の出会い、一点の奇跡と不可思議さを残しつつ、見事に何もドラマティックな出来事がない。なのに映画を観終わったら酔っていた事に気づかされる。素晴らしい。
何か足りない
寓話か、幻か、普遍的な家族愛と人生の物語か
スタジオジブリの初海外プロデュース作。
嵐で無人島に漂着した男の数奇な運命を、台詞ナシ、美しい映像と音楽で綴る。
観る前にはしっかり睡眠を取ってから…なんて何処かで紹介され、爆睡覚悟で観たが、大体の概要は伝わってくる。
が、訴えるテーマやメッセージはなかなかに…と言うより、これ、結構な怪作、ファンタジーとして見ても異色作に思う。
序盤は無人島に流れ着いた男の島からの脱出劇。
さほど食べ物を調達しようとする描写は無く、よくそれで生きられるなぁと思うものの、孤独さや絶望感は伝わる。
何度も何度も筏を作り、何度も何度も脱出を試みるが…。
サバイバルや脱出劇としてはあまりに淡白だし、それにタイトルの“レッドタートル”は…?
何度やっても失敗、島に戻されてしまう。
そんな男の前に現れた、赤い亀。
男は、この亀が筏を壊したとカッとなり、亀を仰向けにして○してしまう。
しかし、罪悪感に苛まされ、亀に海水をかけたりしていると、何とある日、亀が赤毛の美しい女として蘇る…!
やがて女と恋に落ち、息子も生まれ、幸せな日々を送っていたが…。
家族との営み。
暮らしの恩恵。
突然の津波は苦難。
息子の旅立ち。
訪れる死…。
突飛な設定で普遍的な人生を表しているが、これはどう解釈したらいいものか…。
ちょっと残酷でありながらも幻想的で哲学的な寓話と言ったらそれまでだが、自分はこう見てみた。
実は、男は死んでいて、この奇妙な物語は男が死に際に見た幻。
愛する家族を持ち、幸せな生活を送り、人生を全うして…。
または、人間に恋した牝亀の物語。
亀としての長寿を捨ててまで選んだ、人間としての苦難と悦楽。
しかし、人間の生は儚い。
息子は旅立ち、愛する人を亡くし、再び亀となって海に還っていく。
長寿の時の中に、深い悲しみと幸せな思い出を背負って…。
何にせよ、不思議な家族愛の寓話だったら「おおかみこどもの雨と雪」の方がずっと好きだし、「君の名は。」がノミネートされて欲しかった…かな。
鉄拳は凄いw
"La Tortue Rouge" has no dialogue but beauty
"The Red Turtle" is a co-production between Wild Bunch and Studio Ghibli, directed by Michaël Dudok de Wit. Although this animated fantasy film has no dialogue, its music, sounds of natural things such as the wave of sea, winds or some foliages blown in the wind makes the film really beautiful and we feel really comfortable to hear those natural sounds through the film. The plot is very simple for anyone to understand. A man is drifted away to an isolated island where he encounters a big red turtle that turns out to be a beautiful young woman. They live together with their child and never fall apart till one of two passes away there. Though he is never able to go home and ends up living in the island for the rest of his life, the red turtle(wife) and he are meant to be there. It's such a beautiful story even with no dialogue. Perhaps if it had been for some conversations or dialogues, it could've not been that beautiful. Each Ghibli film is depicted in different ways to tell the audience something important in our lives beautifully!
It got a nomination for Best Animated Feature a couple hours ago by the way.
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