「9本目。青春ものかと思いきや…。」君の名は。 Haruさんの映画レビュー(感想・評価)
9本目。青春ものかと思いきや…。
約半年遅れでついに見ることができた。
公開された8月時点では、本作品を見る予定はなかった。
しかし、映画のランキングで長く1位を取り続けたこと、メディアにも「話題作」と評されたこと、
そして、多くの人に愛され、今でもロングラン公開中であることを知って、本作品に興味を持った。
「なぜここまでの人気作になったのか?」という疑問を持ちながら、映画館に足を運んだのである。
見終わってこの疑問を解決したかと言えば、正直分からなかった。
いや、「まだはっきりと分からない」のである。
私の中では、現在進行形での疑問として残った。
それは、もう一度見たら解決するかもしれないし、一生解決できないかもしれない。
でも、確かに言えることは、
それくらい「君の名は。」という作品が良質な作品であるということだ。
後々にも心に残る作品、というか。
今の日本、そしてこれからの日本をイメージしたものが本作品ではないだろうか。
災害で一瞬で街を壊し、平穏無事に生きていた人々が突然いなくなる。
ましてや、予告もなく突然発生する自然災害だから、誰のせいにでもできない(ような気がする)。
そして、近い未来、私たちの身にこのようなことが起きるかもしれない。
いや、いずれ起きてしまうのだ。
それが、明日かもしれないし、ほんの数時間後かもしれないし。
本作品は、そういった感覚を再確認するために、忘れないために作られたのかもしれないなぁ、と振り返りながら思った。
今の日本にマッチしている感じだったから、ここまでの話題作になったのかな?
だから、三葉に関する衝撃はとても大きかった。
予告編や本編の前半でも、そのような伏線は一切なかったから。
ある意味、本作品も「予告編に騙された」パターンかもしれない。
加えて、瀧と三葉との「時間の歪み」を改めて整理したいと思った。
こういう心理が「もう一度見たい」と思わせるんだろうなぁ。よくできてるわ。
RADWIMPSの音楽も、映画の世界観に添える感じでとても良かった。
特に「前前前世」を境に、ファンタジーな青春ものから人間ドラマに移り変わったのは、よくできてるなぁと思った。
ラストのシーンは「なぜあの終わり方にした?」という感じで、私の好みではなかったが、
今まで見た日本のアニメ映画の中で、一番良質でメッセージ性のある作品だった。
「口コミで広がった話題作」とメディアが評していたのは正しいと思う。
間違いなく、より多くの人に見てほしい作品だ。
「君の名は。」は、ただのアニメ映画ではなく、まさに「今の日本」「これからの日本」を象徴した作品だ。
忘れかけていた、そして、また起こり得るかもしれない感覚を知るという意味で、本作品をお薦めしたい。