「綺麗な映像と浸れない酷い説得力の無さ」君の名は。 ちみちゃんがさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗な映像と浸れない酷い説得力の無さ
最初に人が動いたシーンだけで、物凄い動きだと分かる迫力が有って、一気に引き込まれました
始めはシーン毎に美しい画面に素直に感動、音楽も趣味には合わないけど作品の空気感を良く現してたと思います。
ただ、男女の入れ替わりやタイムリープ物の要点、大事な部分を
おざなりにして美味しいトコだけ見せるような場面が続いて途中から、状況を限定して見せるコントの様な喜劇を見ている気持ちになってしまいました。
男女が入れ替わる作品の肝はお互い周囲にバレないように振舞う秘密の共有(伴って起こる親密な関係への変化)に有ると思いますが、そこは早送りで流す様に説明してしまいます。
お互いに好感を持ち合える出来事が徐々に起きて、恋の気持ちに気付く、のが大事なんですが、ここを重視せず、結果に重点を置いてしまっている。
タイムリープ物は、過去で何をして未来をどうしたいのか、が大事なんですが観客の虚を突くトリック演出の為に時間のズレがある事を説明しない、また登場人物は気付かない、ので、肝心な過去で何かをして現在が変化する様子は途中まで一切無く、話に落ちを付ける為に都合の良いタイミングで時間のズレに気付き、過去に干渉していきます。
記憶が薄れる、メモが消える、と言った切なくなる演出も説得力は無く、このタイミングで消えたら切なくなるでしょ?ってタイミングで起きる為、個人的には笑いそうになりました。
絵も音楽もキャラクターもちゃんと、良く出来てます。
だからこそ余計に酷い部分が目立ってしまっている感じです。
上等なお肉に塩コショウせずに焼いて、高級なソースをかけたような作品でした。味に深みが無くて美味しいのは最初だけです。
勿体無いな、と、思いました。