「今回も惜しかった。」君の名は。 ねぎぬきさんの映画レビュー(感想・評価)
今回も惜しかった。
率直な感想としては「今回も惜しかった。」です。
新海作品は「ほしのこえ」から全て観ていますが、共通する感想は「背景など美術は他の追随を許さないくらい美しいし、音楽も含め全体的な雰囲気は良いのに、ストーリーが物足りない」です。物足りないというのは、具体的には、「作品に深くのめり込み、気が付いたら泣いていた」というような経験ができないということです。
それでも、「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」は、新海誠監督の作家性が前面に押し出されたような作風で、所謂「新海節」の神髄を味わえたと思っていたのですが、今回の作品はサービスカットや音楽が過剰で雰囲気が変ってしまいました。悪い方へ。
商業的に成功するよう最適解を求めた結果なのかもしれませんが(実際成功してるし)。
どうしてもストーリーの粗が気になって集中できませんでした。
SFファンタジーなのだから虚構の部分があるのは当然ですが、良作と言われる作品は嘘のつき方が上手く、少なくとも鑑賞中に気になるようなことはありません。
主人公に、最後に「君の名は。」と言わせたいがために、そこに向かって全ての矛盾や不自然さを無理矢理覆い隠しているような感じ。都合よく忘れ、都合よく思い付く。じっくり描かなければいけないところを描かない。観る側の想像や技量に委ねるレベルを超えていると思います。
着想は、斬新とは言えないまでも、悪くないと思いますし、糸守の伝承や組紐などの道具立ても良いと思います。
「もし、同じ設定で、優れた脚本家と組んで作ったら・・・」と妄想してしまいます。
「新海作品らしくない」から低評価なのではありません。
寧ろ、他の良作と比べて低評価にならざるを得ないというところです。
次回作に期待しています。
同感です。同じ設定でもう少しいい話ができてたと思います。
なんで都合よく忘れたり、周りも鵜呑みしたりしゃうのか、、、そういったご都合主義で安易な対応をストーリーに組み込ませずに、もう少し真摯にストーリー作りをして欲しかったと思います。
ネタバレしない範囲で、特に変なところを挙げれば、
・メモや日記で情報を交換するのに、「自分が住んでる場所」は交換しない。
(それをしちゃったら、設定上都合が悪いから。)
・「入れ替わり」が始まるずっと前に瀧が経験した、「とても印象的な出来事」を忘れている。
・三葉の荒唐無稽な「予言」を、友達があっさり信じる。
(信じるに至るような出来事が1つは語られないと説得力がない。)
・最後の方の三葉の一番の「見せ場」のはずのシーン直前で途切れる。
まぁ、厳密に「論理的な」矛盾は無いのかもしれない。
というか、それを追及できないほどに全体がボカされている。
上記のことを解決できるような設定が用意されているのかもしれないが、
それを描かなければ伝わらないし、「敢えて観客に想像させることによる効果」を
狙っているようなレベルじゃないと思う。
ましてや、小説を読まなければ解らないのでは、映画として成立していない。
ついでに・・・
「映像や音楽が高評価なのに全体評価が1なのはおかしい」という意見もあるようですが、
私は、評価というのは単純な足し算じゃないと思う。
「部品」がいくら良くても、1つ重大な欠陥があるだけで全体が崩れ去ることもある。
例えばナウシカで、「黄金の野を歩く」シーンが描かれていなかったとしたら?
それくらい重大な欠陥がこの作品にはあると思う。
「全ての矛盾や不自然さ」ってたとえばどの点なんですかね。
そういう具体的な箇所をつめてくれる人を探しています。
あげたらきりがない!とかかもしれないですけどね。
誤解してる人がいるようなので・・・
「惜しかった」というのは、「折角、美術や設定は高評価を得るポテンシャルがあるのに、シナリオが酷いせいで低評価になってしまったのが、惜しかった」と言っているわけで、低評価であることと矛盾はない。
新海監督が世界的に評価されていることぐらい知っているが、だからといって完成されているとは思わないし、ましてやこの作品の良し悪しとは無関係。
今回も惜しかったというか、単にあなたの好みが合わないだけじゃないでしょうか。
新海監督は既に世界からも賞賛されてますから完成されてます。
惜しいと言いつつ⭐️1 笑