「夢から覚めず終わってしまった。」君の名は。 ビート板教室5年目さんの映画レビュー(感想・評価)
夢から覚めず終わってしまった。
この映画を心から絶賛している人はこのレビュー読まない方がいいかもしれません。
正直面白かった。大ヒットするでしょう。でも、大人としてみた時に手放しで絶賛が出来ないんです…
この作品を単純に言ってしまえば、素晴らしい運命の出会いによって結ばれるべき2人を描いた映画なのですが…
結局人同士が結ばれる上で一番の障害になるものを描いていないんですよね
どういうことかというと
2人を結びつけたのは運命です。土地の神の意思とでも思えるような何かによって2人は入れ替わり、関係を持ちます。
そして2人が結ばれる事を阻むのもこれまた運命です。自然の災害、圧倒的なパワー…
そんな大いなる何かによって運命づけられた素敵な2人を応援する気持ちはわかりますが…
これではあまりに“人の心”が描かれていないように思うんですよね。
そもそもどうして2人は惹かれあったのでしょう?ただ入れ替わってお互いの事を知っただけで人は人を愛するでしょうか?三葉は瀧のどんな性格を魅力に感じたんでしょうかね?
百歩譲って、素敵なシチュエーションでお互い惹かれあったとしましょう、でも恋愛が難しいのってその後じゃないですか?
好きなはずなのに、友達じゃなくなるのが怖い。
好きなはずなのに、向こうの心がこっちを向いていない…そういった心の動きこそが人同士を結びつける事の最大の障害なのに…
2人を引き裂くのも“運命”なんですよね、この作品は…
それは恋愛を描く上でどうなんでしょう?人の心と向き合い、2人で乗り越えていく前の、シチュエーションにドキドキしているだけの子供の恋ですよね…あまりにも綺麗な部分ばかりです。
現実の恋愛は、もっともっと相手の心と自分の心に苦しむものです。外的要因だけの出会いと、障害…そんな恋愛は見たことないです。
理想ですよね…夢なんですよ。
結局素晴らしく綺麗な、現実とかけ離れた夢を見た印象でした。
現実を描く恋愛映画は現実で参考になるんですよね、この映画にはそれがありませんでした。この映画の恋愛に憧れる程現実は残酷にのしかかってくるでしょう。
あまりに痛々しい大人の恋愛を描いたブルーバレンタインのような作品が、本物だよなと、やはり思ってしまうのです。
コメントありがとうございます。
作品自体はエンターテイメントとして非常に質が高いものですし、想像の余地があるのもわかります。新海誠監督の他作品も観てみなくてはなと思いました。
おっしゎりたいことはすごく良く伝わります。
確かに運命に惹かれて2人は結ばれていく…という点で好きになった理由、というものが明確ではないと思うのも仕方はないと思いますね。
ですが、入れ替わった自分がどうやって過ごしていたか、という点を考えたときに
三葉なら、父に「胸を張って歩け」と言われたりする、ある意味下向きな気持ちを持っていたのに、瀧のように自分を持って勝ち気ながら突き進むところ。
瀧なら三葉の優しさとか、そういう自分の持ってないものに惹かれたんじゃないかなぁー、とか考えたり出来ないでしょうか?
そういう想像をするのも楽しいんじゃないかなと思います!
(瀧が三葉を好きになった理由はなんか、普通に主観的に見てて可愛いなって思ったりとか、ちょっと下心あったのかもとか思っちゃうから適当になっちゃいましたけど 笑)
そして、2人が出会って終わりだったのでこれから苦難が振り返るだろうし、それを2人なら乗り越えられるのではないか?と考えられるのも、この作品の素晴らしさだったんじゃないかな?と思います。
長文失礼いたしました。