「雪山でのマカロニウェスタン」ヘイトフル・エイト 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
雪山でのマカロニウェスタン
タランティーノ作品の中では、これまで敬遠してきたが、今回映画館で上映するということで、初めて観た。
3時間弱の長尺だが、わかりやすく章立てしていて、思ったほど長さは感じない。会話劇が基本で、「レザボアドッグス」を思い起こさせる。マイケル・マドセンとティム・ロスも出てるし。
雪山を走る駅馬車に、モリコーネの荘厳かつ躍動的なテーマが重なる。室内での一瞬の銃撃戦と、残虐に殺される死体の数々。タランティーノは、あえて真冬の山中でマカロニウェスタンをやってみたかったのだな、ということがわかる。最後はほとんどスプラッター映画。
黒人であるサミュエル・L・ジャクソンが最も賢く、優れた人物として描かれているのは、「ジャンゴ」と同じ。ジェニファー・ジェイソン・リーの怪演ぶりは凄い。毎度ながらタランティーノは女性をいたぶるのが好きだね。(作品中では)
南北戦争をモチーフにしていることはわかるが、アメリカ人ではないので、正直ピンとはこない。ただ、ジャンル映画の皮を被りながら、本当のところで、今なお続く人種差別問題を訴えたかったと考えると、見た目以上に深いものはある。
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