「極点、極限、究極」ヘイトフル・エイト xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)
極点、極限、究極
まあ、なんていうのかな~。
「極点」「極限」「究極」というのだろうか?
なにごとも過激さをモットーとしているタランティーノだけど、これはやりすぎじゃないのと思わせてくれる作品だ。「イングロリアル・バスターズ」はナチスドイツを、前作「ジャンゴ」ではアメリカのタブー黒人差別を隠れ蓑に好き勝手やってはいたんだけど。
今回は悪党ども。黒人賞金稼ぎだったり、女強盗だったり、首つり死刑執行人だったりする。こいつらまともな神経が皆無の極悪人ぞろい。
そこで繰り広げられるのはグロ・エロ・ナンセンス、アナーキーな世界。前の作品はグロテスクな表現でも、理由があった。敵は、嫌味なナチスの将校だったり、黒人を抑圧する傲慢な白人だったりしたんだけど、今度はどいつもこいつも感情移入できない連中なんだ。はじめにいい人はバッタバッタ殺されちゃうんだからね、まったく。
極悪人、残った8人のうち誰が生き残る?
はっきりいって、そんなことどうでもよくなってくる。
(となりで見ていたアベックの女の子なんか、頭を抱えて、目をつぶっていたからね。わかった?絶対にタランティーノの映画はカレカノジョとみたらいけないよ)かくいう僕もはやく終わらないかな、と思っていたクチです。3時間は長すぎでしょ。
でも、いまになってレビューを書いていると、あの黒人賞金稼ぎサミュエル・L・ジャクソンのぎょろりとした目ん玉が、真ん丸い鼻のアナが脳裏にこびりついてる。あの女極悪人ジェニファー・ジェイソン・リーの何人もの血を浴びた顔がクローズアップされてしまうんだ。ああ、イヤだ。
人が見たくないものを見せる。これもひとつのアートだろうとは思う。でもやっぱり好きじゃないんだよね。
(付足)アカデミー作曲賞をとったエンニオ・モリコーネの音楽はよかったですよ。