「シリーズを見ていない人は無理でしょう」SHERLOCK シャーロック 忌まわしき花嫁 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズを見ていない人は無理でしょう
そもそもこのシリーズの成り立ちが、「不滅のキャラクターを、現代のロンドンに当てはめる」という斬新なコンセプトによるもの。
爛熟するロンドンの文化や文明を駆使して、大胆な推理を展開する19世紀の古典が、現在も色あせていないどころか、そのまま通じてしまうという不変性(普遍性)が面白さの根幹でした。
劇場でも公開されましたが、興行としてお金を取るには「しのびない」出来です。単体の映画としては、全く意味を成さないものになっています。
今回、カンバーバッチ版ホームズでは特別に、原作の時代をそのまま再現するというお楽しみを実現しています。その種明かしは、現在のホームズの「脳内シミュレーション」として科学捜査の未発達の時代に自分が生きていたらどうなるかという想像の産物です。
シリーズを全部見ていたら無理なく理解できるでしょうが、一本の短編としては不可解で難解なストーリーになっています。
シーズン2の最終回において、モリアーティとの対決で投身自殺をしたホームズがシーズン3で「復活」を遂げたことに端を発し、今回はそのモリアーティの「復活」がかなりトリッキーに描かれています。
製作陣がこのシリーズをいかに愛しているかが伝わってくるストーリーの作りこみと、ワトスンの意外な有能ぶり、音楽のちょっとしたお遊び(ジェレミー・ブレット版ホームズのリスペクト)、毎度仰天の謎解き、これが今後製作されるシーズン4のパイロットとして発信され、早く続きが見たくてたまらなくなる内容でした。
2016.8.3
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