ヘイル、シーザー!のレビュー・感想・評価
全64件中、1~20件目を表示
【”24H働く何でも屋の映画プロデューサーの懺悔の日々。”今作はコーエン兄弟がスター多数を起用した映画製作あるあるコメディである。登場スター、何人分かるかな!】
■1950年代、ハリウッド。
映画プロデューサー、エディ・マニックス(ジョシュ・ブローリン)の朝は告解室で懺悔を告白するところから始まる。
彼の仕事は、女優ディアナ・モラン(スカーレット・ヨハンソン)と、”お話し”し、西部劇では通用するが舞台劇では大根役者のホビー・ドイル(オールデン・エアエンライク)を、名監督のローレンス・ローレンツ(レイフ・ファインズ)に無理やり主役を演じさせ、度々やって来る双子の記者(ティルダ・スウィントン)をあしらう。
そんな中、古代ローマ映画の主役ベアード・ウィットロック(ジョージ・クルーニー)が、映画製作会社に不満を持つ脚本家たちに誘拐されてしまうのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・昔、”24H働けますか!”と言うCMがあったそうだが、今作の映画プロデューサー、エディ・マニックスの何でも屋っぷりが結構笑える。
・西部劇では通用するが舞台劇では大根役者のホビー・ドイルを、名監督のローレンス・ローレンツに無理やり主役を演じさせるシーンでの、二人の掛け合いが可なり可笑しい。アンナに大根役者なのに、主役って・・。クスクス。
・エディ・マニックスが、誘拐されたベアード・ウィットロックが、脚本家たちに感化されたことに腹を立て、ベアードをビシッっと何度も引っ叩くシーンでの、ジョージ・クルーニーの怯えた表情は、滅多に見れないであろう。クスクス。
■資料を読むと、エディ・マニックスは実在した映画プロデューサーで、映画の全てを管理し、時には悪辣な事もしていたらしいが、コーエン兄弟はそれをネタにしているのかな。
観ていると、エディ・マニックスは自身が手掛けた映画を愛していた気がするのだがなあ。
<今作はコーエン兄弟がスター多数を起用した、映画製作あるあるコメディなのである。>
みんな役者やねえ〜〜(笑)
懺悔すればいいのか!
人柄の勝利
思考がちょっとおもしろい
んだこれ?
なんだが、個人的には好き。
これほんと、なにやってんだろう、がずっと続く。そして最後までいく。そこに文句を言うのも、おもしろがるのも、たぶんどちらでもいい。
どの方向にもベクトルが振れない、それは作品中で徹底している。最たるシーンでいうと、へイルシーザーのクライマックス撮影で、ジョージクルーニーが名セリフをまさに演じ切ろうかというところ、セリフど忘れでカット。これ、セオリーでいくと鑑賞者を飲み込めるところだけど、放り出している。
このマヌケな間を、見えずづらいけど確実に意図してる。何の意味があって?と思うけど、感覚的にそこに引っかかってしまっている、その思考がちょっとおもしろい。その点、ビッグリボウスキが近いのかな、おそらく着眼点のずれを狙ってやってる。ま、これ評価はされない、だろうな。。
「ザ・プレイヤー」の再来
ブラックコメディ
コーエン兄弟の作品にはヲタク気質が詰まっている。
毎回作中に少しブラックなテーマを織り込み、特にコメディを描くときにはそのブラックさが濃くなる傾向がある。
本作も1950年代のハリウッドスタジオの黄金期後半を舞台にスタジオ崩壊と資本主義、さらには宗教的な皮肉も入った内容の濃いコメディに仕上がっています。
コメディ
コメディというジャンルは映画界でも極めて難しいジャンルとされています。それゆえ、コメディ映画のスターは限られているし、コメディを撮れる監督も限られています。さらにブラックコメディとなると、さらに死のうが卓越した一握りの監督にしかできないことです。イニャリトゥがメキシコから才能をひけらかしてる現在ですが、コーエン兄弟はその中でも何本もの良作をコンスタントに世に送り出している素晴らしい監督です。
まず、一番印象に残るのはキャスティング。本作では、親交の深い大物を多く使って、ハリウッドの黄金期をパロディ満載に作り上げていますが、コーエン兄弟作品で自分が好きなのはサブキャラクターです。本作でも、掃除のおばちゃんや、秘書のレディー、エキストラの役者など、そのシーンを印象的かつ、見た目を面白くする役者が揃います。
脚本
ブラックコメディというジャンルのそのブラックの部分を表現するための演出、セリフがコーエン兄弟の醍醐味。ストーリーには直接関係ないが、コメディ部分と相まって、舞台となっている時代の歴史や、宗教的ジレンマを表現してリウのが見応え十分。観直してもなんども楽しめるのが長く愛される理由。げんこ的なこだわりも尋常ではないので、作品によって異なるワードのチョイスや、アクセントの違いなどは英語で見ることでさらに楽しめること間違い無いでしょう。
撮影
コーエン兄弟の撮影監督といえばこの人。ロジャー・ディーキンス。コメディからサスペンス、SF、ウエスタン、アクションまでここまで完璧に作り上げることのできる人はいないでしょう。完璧としか言いようがない照明とフレーミングはそれだけで、映画館に行く価値がある。
次回のコーエン兄弟とのコラボレーションが楽しみ。
コーエン兄弟の作品はこれからもたくさん紹介したいので、今日はこの辺で。
演技下手な俳優が1番
古き良き?ハリウッド映画の時代
観るのも演るのもマニアック
ハリウッド映画最盛期の1950年代のとある大手の製作会社の責任者ジョシュ・ブローリンは、所属女優や監督のゴシップの後始末に奔走する日々。
相変わらずトラブルの山に四苦八苦する最中、スタジオが最も肝入りで製作していたローマ史劇のスペクタクル超大作の主演俳優ジョージ・クルーニーが共産主義者グループに誘拐する事件が発生し、スター奪還に一肌脱ぐクライム喜劇。
オスカー監督であるビッグネームの最新作にも拘わらず、静岡ではマニア映画の聖地・サールナートホールでヒッソリ上映していたぐらいだったので、期待度ゼロで鑑賞したが、
「解る人に解りゃイイ」と観る客を選ぶ開き直り精神は、ブレてなくて、かえって潔いぐらいだ。
ミュージカル、西部劇、時代劇etc. 最も活気に溢れていた映画産業の華やぎの片隅で、共産主義者を弾圧していった悪名高き“赤狩り”が垣間見えていく。
云わばハリウッドの光と闇を兄弟特有の皮肉屋スピリッツで小突く世界観は面白いけど、観終わると清純派ミュージカル女優スカーレット・ヨハンソンの美貌&裏の顔以外、何も印象は残らない。
良い意味でも悪い意味でも、大衆娯楽の典型とも云えよう。
訛りがキツい若手俳優の演技を大物監督がイライラしながらダメ出しして矯正したり、ゴシップ誌記者のティルダ・スウィントンが瓜二つの双子姉妹で相手が混乱するetc. のシーンは、昔、コント55号やドリフのコントでよくネタにしていたオーソドックスなギャグで、ベタベタでも1周廻って笑ってしまう。
ゆえに、懐古的な了見で向かい合えば、其れなりに楽しい映画なのかもしれない。
では、最後に短歌を一首
『星いずこ 浮わつくイモの 後始末 夢に追われし 真っ赤な博打』
by全竜
全64件中、1~20件目を表示












