「ブラックコメディ」ヘイル、シーザー! vary1484さんの映画レビュー(感想・評価)
ブラックコメディ
コーエン兄弟の作品にはヲタク気質が詰まっている。
毎回作中に少しブラックなテーマを織り込み、特にコメディを描くときにはそのブラックさが濃くなる傾向がある。
本作も1950年代のハリウッドスタジオの黄金期後半を舞台にスタジオ崩壊と資本主義、さらには宗教的な皮肉も入った内容の濃いコメディに仕上がっています。
コメディ
コメディというジャンルは映画界でも極めて難しいジャンルとされています。それゆえ、コメディ映画のスターは限られているし、コメディを撮れる監督も限られています。さらにブラックコメディとなると、さらに死のうが卓越した一握りの監督にしかできないことです。イニャリトゥがメキシコから才能をひけらかしてる現在ですが、コーエン兄弟はその中でも何本もの良作をコンスタントに世に送り出している素晴らしい監督です。
まず、一番印象に残るのはキャスティング。本作では、親交の深い大物を多く使って、ハリウッドの黄金期をパロディ満載に作り上げていますが、コーエン兄弟作品で自分が好きなのはサブキャラクターです。本作でも、掃除のおばちゃんや、秘書のレディー、エキストラの役者など、そのシーンを印象的かつ、見た目を面白くする役者が揃います。
脚本
ブラックコメディというジャンルのそのブラックの部分を表現するための演出、セリフがコーエン兄弟の醍醐味。ストーリーには直接関係ないが、コメディ部分と相まって、舞台となっている時代の歴史や、宗教的ジレンマを表現してリウのが見応え十分。観直してもなんども楽しめるのが長く愛される理由。げんこ的なこだわりも尋常ではないので、作品によって異なるワードのチョイスや、アクセントの違いなどは英語で見ることでさらに楽しめること間違い無いでしょう。
撮影
コーエン兄弟の撮影監督といえばこの人。ロジャー・ディーキンス。コメディからサスペンス、SF、ウエスタン、アクションまでここまで完璧に作り上げることのできる人はいないでしょう。完璧としか言いようがない照明とフレーミングはそれだけで、映画館に行く価値がある。
次回のコーエン兄弟とのコラボレーションが楽しみ。
コーエン兄弟の作品はこれからもたくさん紹介したいので、今日はこの辺で。