「どちらが主演男優賞⁉︎」ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
どちらが主演男優賞⁉︎
皆さまご指摘の通り、人間にはやはり『物語り』が必要なのですね。物語りのなかで語られる、愛しさ、切なさ、哀しみ、嘆き、喪失感‥‥‥等々、様々な感情がその時々の自分の状況に応じて、共鳴するからだと思います。
優れた作家の感情表現や登場人物の言葉に触れると、
まさに今の自分の思いはこれだ、と感じたり、何となくもやもやしていたことは、こういうことだったのか、とすっきりすることが多々あります。
パーキンズさんは、多くの人びとの共感を生むであろう文章力や表現力を持つ作家を見抜く力と、それをより多くの人に分かりやすく伝えるための物語りの構成力が天才的だったのですね。
ヒットしている作品に対して、大衆受けを狙って、とか、大衆迎合だ、みたいな批評を見かけることがありますが、文学や映画のような芸術作品においては、的外れな気がします。多くの人が必要としている物語りが含まれているからこそ受けるのであって、その物語りで救われる人(たとえば、自分の喪失感もこの主人公と同じことだったんだ、と思えることで気持ちが軽くなったり、自分ひとりではないんだ、と思うようなことです)がそれだけたくさんいるということだと思います。
そのヒット作品が自分にはしっくりこないという人は今現在、その物語りを必要とする状況にはないということだと思います。勿論、芸術作品としての出来不出来は大いに語られるべきですが、ヒット=受け狙いという観点はまた、別の話なのかな、と思います。そうでないと、パーキンズさんだって、大衆の受け狙いで削除しまくったことになってしまいますよね。今必要な物語りを誰にでもわかる表現で伝えることが編集者としての務めだと考えているのだと思います。
アカデミー賞の主演男優賞や助演男優賞にノミネートされるとしたら、どちらがどちらになるのでしょうか⁉︎