疑惑のチャンピオンのレビュー・感想・評価
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高みを目指す為だけに
たとえドキュメンタリーと言えども、映像が編集された時点で、そこにはどうしても作り手の意図が入ってしまう訳で。
ましてや映画はフィクションなのだから、作り手(監督)の意図を自分なりに読み取って楽しむものだと思っています。
ある意味本作は、壮大なネタバレのもと作られている映画なので、
ストーリーを追わなくてよい分、人物の心理に集中できて、ものすごく想像力を掻き立てられます。
とくに記者会見やサイン会の心理描写が見事!
同じドーピング仲間でも、ランスは陰性でフロイドは陽性。(笑)
スポーツの認知度をあげてファン層を広げるには、ヒーローの存在が不可欠でしょうが、
強いだけでなくドラマ性も兼ね備えているランスは、スポーツビジネス的には、これ以上にない優良物件だったのでしょう。
何度となくドーピングが白日の下に明らかになるタイミングがありながらも、組織ぐるみの隠蔽や、大金や圧力をかけた口封じによって、裁判にまでも勝ってしまう。
ヒーローって、多かれ少なかれ人々の欲と幻想で出来上がっていくもんなんだな。
だがしかし、ありがちな
“ヒーローに仕立て上げられて、時代に翻弄された男”や
“こんなこと仕出かしちゃったけど、本当は私達と同じ普通の男”
で終わらないのが、スティーブン・フリアーズ監督!
“純粋に高みを目指す為だけに、全てを利用した男”と読み取らせていただきました。
試写会に行ってきました
実話ベースのドラマだから、ランス・アームストロングが癌から復活して前人未到のツール・ド・フランス7連覇したことも、それが実はドーピングによるものだったことも、そして癌患者への慈善活動に積極的だったことも、周知、既知の事柄が多いけど、当時の映像を豊富に上手く挿入してて、そして何よりも、次第にベン・フォスターがランス本人に見えてきて、かなり見ごたえがありますよ。
スポーツ界に蔓延るドーピングの話だけど、スポーツに限らず、政財界で時折見られる汚職や、ボクらの周りで見かけるちょっとしたズルにも通じるところがあるように感じられたりして、ぜひ自転車好き、スポーツ好きに限らず見てもらいたい映画でした。
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